北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 後編

11月17日日曜日、晴れ

『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 後編』を読み終える。前編の導入で「そういうことかな〜」と匂わされていた伏線は想像していたとおりに回収された。

* * *

三部作で少女(と一部少年)たちの高校生活三年間が描かれるのは、長さといい展開といいピタッとハマるものがあってよいですね。
新入生としてうろたえながらも成長していく姿、はるか遠くに先をゆく先輩の姿とそれへの憧憬が描かれる第一年目。身近になった先輩と新しく入ってきた後輩とに翻弄されながらも中堅として働く第二年目。最後、最高学年としての責任と重圧、変わっていないように感じる自分への不甲斐なさを噛みしめながらも十二分に成長して役割を果たし、そして望みも叶える第三年目。

3冊通してきているので「めざせ全国金賞!」が読書としても当たり前になっている。楽しさなんて二の次、実力主義で結果を残せというピリピリした中で、あたらしく入ってきた実力も兼ね備えたライバル(?)が「わたし、辞退しようか?」と今回3回に増えたオーディションのたびに問いかけ、そのたびに「遠慮なんかせず堂々と戦ってほしい」と返す主人公・久美子。そう返す裏で(哀れみをかけられているんだろうか?)などと勘ぐってしまうあたりが、なんというか負ける側っぽくて辛みがある。

おかげで実力主義でワンマンなはずの滝先生への疑念まで芽生えてしまい、トランペットソロを争って部を割らんばかりにゴタゴタした一年目の香織先輩と麗奈のエピソードが繰り返されるかのよう。しかも今回、主人公が香織先輩ポジション。「私先輩の味方ですから!」「頑張ってください!」とか、えらいこっちゃで〜。
しかも言わずともツーカーだったはずの麗奈は(ライクでなくラブな)滝先生を信じぬものは部長失格とまで面罵する始末。そうでなくても滝先生パトロールで部内がギクシャクしているときに。

楽しく合奏できればよいというのと、コンクールで良い成績を残すために最大限の努力を惜しまないというのと。北宇治の三年間は後者だったわけだけれど、そんな中でも参加の仕方にグラデーションはあったわけで、今回のエピソードに緊張感をもたらしてくれたライバルのあり方は、その色味の幅を広げてくれたものだったとおもう。

* * *

アニメから入った北宇治高校吹奏楽部の三年間、小説でもとても楽しく読み終えることができた。

三年目は映画化されるんだろうか? それともアニメだろうか?

映画の『リズと青い鳥』と『波乱の第二楽章』ももう一度観たいなあ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?