長靴に水が溜まるほどの

5月21日火曜日、大雨のち晴れ

「小児慢性特定疾病医療費」の「支給認定申請書(更新)兼同意書」を提出するために少しずつ集めていた書類を手に雨の中、出かける。(そのために休暇取得)

不足分の保険証のコピーを取りにまずコンビニへ。「釣り銭が切れているため使えません。店員にお知らせください」という表示。なんとも気持ちの良いスタート。
百円が切れているということだったけれど十円で済むコピー。釈然としない気もしつつレジに並んで伝える。しばらく待って補充された複合機を使ってコピー。
角合わせということに、そして出来上がりイメージを確認できるというインターフェースに気づかず、ほとんど白紙のコピーが出てきて軽く絶望する。十円無駄にした……。

* * *

聖蹟桜ヶ丘に移動し、磁気面が読み取れなくなってATMで使えなくなっているキャッシュカードの相談をする。五反田支店に2回ほど足を運んでいたけれど、その度に1時間は待つと言われ諦めていた。
再発行になると言われ、お願いする。一週間ほどで郵送、と言われる。

いや、五反田支店で待たなくてよかった。待った挙句、再発行でさらに一週間待っててね、と言われたらかなり気分を害していただろうから。

「えきねっと」でのチケット購入で、予約は完了したものの払い出しができなかった件の相談をしようと目論んでいたけれど、すでに濡れていて不快だったこともあり、また対応してくれたお姉さんがちょっと苦手な雰囲気だったので(というかお姉さん自体が苦手だ)またの機会にしようと心に決め、礼を言って銀行を後にする。

* * *

次。総合医療センターにて先日妻が発行の依頼をかけていてくれた意見書の受け取り。1500円。特段の問題もなく受領。

市役所への経路を調べると、どうやら西国分寺駅から中央線で火の駅まで行けるようだ。バスも出ているけれど歩きでも到着時刻予測が変わらなかったので歩くことにした。
そしてこれが間違いだった。大間違い。

* * *

だんだん酷くなっていく雨。気持ちに余裕がなくなっていく。それでもほぼ経路予測どおり、15分ほどで西国分寺駅に到着。
中央線を降りたあと方向を確認しつつ市役所を目指す。どんどん酷くなる雨。坂道を滝のように流れる雨水。
濡れたズボンを伝って長靴に溜まった水はくるぶしの高さまで。がっぽがっぽと不快な音を立てる。

ようやく到着した窓口で(以前は4階だったか、登るのが大変だった障害福祉課は1階に移動していた)書類を出すと、クリアファイルの端から水がしみてひどいことになっていた……。
それでも必要なものは揃っていたので受け付けてもらえた。

カバンの中まで水浸し。革の長財布、カルディのコーヒーパスポート、ハードカバーの表紙、何から何まで濡れそぼっている。
そしてお気に入りだったイカストラップが切れてなくなっていた。あわせて、こどもからもらった牛のストラップも組紐様の接着が緩んで取れてしまった。
入り口で長靴をひっくり返して溜まった水を捨てる。

さすがにもう歩く気は起きず、バスを待ち、そして電車で戻る。

* * *

帰宅後、濡れた服を脱ぎ熱めのシャワーを浴びて気分を変える。ついでに洗濯機を回す。ニンニクと唐辛子でスパゲッティを(多めに)作り食べる。

予約していた本の準備ができたとメールが入ったので図書館に受け取りに行く。『ナイルパーチの女子会』。
ちょっとだけ読む。

その時、一番恐れていたことが起きた。あの時の圭子の顔に浮かんだのと同様の困惑が、翔子とご主人の顔にも現れたのだ。まるで、普段口にしている魚が、獰猛な肉食魚だと知ってしまった時のように。怯えるような面白がるようなそんな色合い。彼らと自分との間に確かな境界線が生まれている。どうしよう、取り返さねば。嫌な汗が背中を伝う。異常な女だと思われたに違いない。

というくだりあたりまで読んで、辛くなって寝てしまう。

人間関係の、距離の取り方を間違ってしまう話は、苦手だ。

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