Garmin Unbound Gravel
会場: アメリカ合衆国カンザス州エンポリア周辺
日程:2024年6月1日
結果:109位, ゴールタイム11時間40分02秒
リザルトのページ: https://www.athlinks.com/event/174195/results/Event/1064213/Course/2412548/Results
使用機材
ウェア, グローブ: パールイズミ
バイク: Cannondale SuperSIX EVO SE (goodspeed井原自転車店)
ホイール: FastFoward Drift (前後ハブ鬼ベアリング仕様)
タイヤ: Pirelli Cinturato Gravel RC X 700x40C(1.9bar)
チェーンオイル: Muc-off Ludicrous AF
バーテープ: Supacaz Super Sticky Kush
ボトルケージ: Supacaz Swipe Cage
シューズ: Giro Sector
ソックス: Giro HRC + Grip Socks
インソール: SIDAS Podiatech Custom made footbed(作成:アドバンスドフット)
アイウエア: Supacaz プロト
ヘルメット: KABUTO FLEX AIR
マッサージオイル: イナーメスポーツアロマ Summer
サポーター,コンプレッションウェア: Zamst
マットレス: 39 Design
コンディショニング:新屋カイロプラクティック
昨年に続いて2回目の挑戦となったGarmin Unbound Gravel。今年、最も頑張りたいレースの一つです。このレースは毎年コースが変わります。今年はEmporiaの北部と西部を使うコースで202.8マイル。キロメートルに換算して約326kmの長距離で行われ、もちろんワンウェイでグラベル率は99%という素晴らしいコースです。
日本からカンザスまでの移動はそれなりに時間がかかるので、日程的に昨年よりも少し余裕を持って移動しましたが、飛行機が6時間近く遅延!
なども重なり実質の移動時間は24時間以上かけて現地に到着しました。日本の自宅を出たのが朝の8時半、そこからホテルに着いたのが日本時間の火曜の夜、現地時間の火曜の午前4時半という、稀に見る長時間の移動になりました。
自分が乗る飛行機は遅延したくせに、荷物だけはなぜか先の便に載せられ、荷物だけ先に着く→夜遅いのでカウンターが閉まっていて取り出せないトラブルも笑
レースはその週の土曜日ですが昨年よりも1日余裕を持って移動してきたことが唯一の救いです。そして、行きの飛行機でも寝れたので現地についても割と元気でした。
ホテルに着いたらすぐにシャワーを浴びて午前5時ごろに就寝しましたが、翌朝は8時になんとか起きて、スーパーに買い出しに行ったり自転車の梱包をバラしたりと慌ただしく過ごし、11時過ぎにはコースチェックも兼ねた練習に出発して6時間ほど走りました
週末までの限られたトレーニング時間で300km以上の距離全てを走ってみるわけにはいきませんが、できる限り確認していきます。トレーニング初日の火曜日は160km6時間ほど、二日目は3時間で70kmほどを走り、コースの半分以上を確認することができました。コースの印象は昨年よりも路面が荒い部分が多く振動を多く感じました。
実際にコースを走ってみて一番悩んだのがタイヤの太さの選択でした。大きめの石がゴロゴロと転がっているので、太めのタイヤの方が有利かと思いますが、泥詰まり対策でフレームとのクリアランスもほしいので悩みましたが、結局は昨年と同じ40Cで走ることにしました。タイヤは、Gravel RC Xという昨年使ったものの耐パンク性強化バージョンです。空気圧のセッティングは、昨年よりもよりしっかりとしたタイヤ自体とフックレス&ワイドリムのホイールの組み合わせなので、これまでよりも下げて1.9barにしました。
レース前日の朝まで雨が降っており、軽く1時間半ほど走って帰ってくるとタイヤ周りはこの状態です。
112km地点と238km地点の2回あるチェックポイント以外ではトラブルは全て自分で対応しなければならないため、パンク修理用のCO2カートリッジをはじめ複数回のパンクに対応するためにスペアチューブやそのほか携帯工具等を工夫して自転車に装着します。補給食やボトルは昨年の経験があるので、うまく計算して必要最小限の数を持っていきます。2回あるチェックポイントで受け取るためのボトルや補給食、予備の機材も準備しておきました。
エリート男子200マイルのスタートは朝の5時50分。まだ真っ暗な中スタート。今年は準備から何から昨年の経験を活かして、かなり余裕を持ってスタートラインに立つことができました。
いよいよスタートですが、スタートして2kmも走っていないところでいきなり目の前で落車が発生。自分も転ばなかったものの完全に止まってしまいました。後ろから、止まれなかった他の選手に突っ込まれ、転んだ選手の身体が自分の自転車に絡まってなかなか再スタートできず、ここで自分のレースは終わってしまうのか?と少し焦りましたが、そこは330kmの長丁場のレースです。ニュートラル区間が終わっても集団はまだゆっくり走っていたので難なく追いつきました。
集団に復帰しても、序盤は割とコーナーが連続していて、路面状況も100%は読めないので、リスク回避のためになるべく前に上がります。序盤は本当にロードレースのような位置どり争いがありますが、そこは慣れているので難なく対応。世界チャンピオンのモホリッチやこの日優勝することになるラクランモートンが位置しているあたりに自分もポジションキープしながらレースを進めていきます。
そして、40kmを超えたあたりの最初の難関になっている路面が荒い区間に突入し て集団がペースアップ。かなりのハイペースでアップダウンをこなしますが、いくつか厳しいセクションを通過したところで角が鋭利な段差に落ちてしまい前後輪同時にスローパンクしてしまいました。
おそらく0.8気圧くらいまで下がったところで止まったので、このまま騙し騙しいけるかと思いましたが、荒れた路面の区間でホイールを壊してしまうリスクもあるのでそうもいかず、ハイペースで走る集団を尻目にストップを余儀なくされてしまいました。長丁場のレースなので、修理がスムーズにいけばすぐに復帰できそうでしたが、ここで新たな問題が発生、CO2ボンベのアダプタが破損して空気を入れられません。手動のポンプで地道に空気を入れることになりましたが、合計で10分以上かかってしまいました。大きな穴はチューブレスパンク修理キットで穴を塞ぎ、他の小さい穴はシーラントが塞いでくれると信じて、何度か止まりながら空気を継ぎ足しながら第1チェックポイントまで進みます。
その間も、自分の後ろにも遅れた選手も何人もいて、その選手たちとペースを維持しながら前を追いかけます。その時のペースは、現役のワールドツアーの選手も混じっていてかなりのハイペース。タイヤが超低圧のままで漕ぎが重い自転車で本当に辛い時間帯が続きましたが、なんとか第1チェックポイントまで到着。
ボランティアスタッフに空気を継ぎ足してもらって、補給食やボトルを補充してすぐに再スタートします。その後、やはり後輪のエア漏れが止まらないので、結局止まってチューブを入れることに。その際、空気を入れるためのCO2ボンベはないので、手動です。今回TPUチューブを初導入しましたが、これがまた悪さをしました。手動ポンプでエア圧を上げきれず、そこそこ低圧のまま再スタートしてしまったせいか、再びすぐにパンク。その後もう1回別のチューブに変えましたがまたパンク。2本持ってきたチューブを使い果たしました。この時点で、15分後にスタートした女子の先頭集団にも抜かれ、さらにその10分以上後にスタートした一般男子の集団にも抜かれます。
当然ながら順位を狙う走りはもう出来ません。しかし、ここまで来たからにはなんとしてでも完走したいと強く思いながら、バイクを走れる状態にしなければなりません。
パンク修理パッチも持っているのでパンクの穴の場所を探して直すべきか悩みましたが、パンクの仕方的にどうも普通に直してもすぐにダメになりそうでした。チューブ自体が修理不能なほどダメになっている可能性もあるので、どうするべきか迷った結果、もう一度チューブを抜いてタイヤインサートを入れてチューブレス状態にすることに。手押しのポンプでは当然ながらビードは上がらず、諦めてゼロ気圧のままベコベコのままインサートだけでなんとか走ります。
10kmほどは走ったところで、いよいよタイヤの中のインサートもダメになってきてどうしようかと思っていたところ、路肩に立ち尽くしている他のエリートカテゴリの選手を発見、止まって声をかけました。
ユタ州から来た若い選手でしたが、トラブルが続いて勝負は出来ないしもう諦めてリタイアするとのこと。ここで仲間に連絡して回収してもらうのを待っていると。ならば、CO2のアダプタだけでいいから貸してくれとお願いすると、快く貸してくれ、そしてそのまま持っていってくれと。さらには、追加の予備のチューブ(なぜか25cの幅のタイヤ用だったけど、、、)と補給食も渡してくれました。
本当に感謝しかありません。その場でチューブ交換をして走り出しました。
そして、238km地点の2回目のチェックポイントまで到着残り2kmのところで、ついに幅が違うのに無理やり使っていたチューブもダメになりパンク。チェックポイントになんとか辿り着き、そこで自分で用意していた最後のチューブに交換。再び走り出します。
そこからは、トラブルで止まっている間に抜いていった選手たちをどんどんとパ スしながら、ペースが合う選手は先頭に出てもらわなくてもついて来るだけでもいいので後ろについてもらってペースを維持
なんとか11時間40分のゴールタイムで朝5時50分にスタートしたエンポリアまで帰って来ることができました。
ログを見ると、実質の走行時間は10時間40分だったので、機材トラブルで1時間止まっていたことになります。結局、パンクが続いたタイヤは、タイヤ自体には最初のパンク以外は大きな原因は見つからず、レース中という環境でのパンク修理がうまくいかなかったということでした。そして、元々のタイヤ自体の性能が悪いということではなく、パンクの原因は完全に自分のミスだったのですが、その後、無理やり使い続けてもゴールまでなんとか持ってくれたピレリのタイヤには助けられました。低圧で走らざるおえず、ホイールにもかなりの負担をかけてしまいましたが、さすがグラベル用ホイール、トラブルなくゴールまで辿り着いて、そのまま次のレースで使えそうです。
昨年の経験から心配していた泥に関しても、レース当日は雨も降らず杞憂に終わりました。しかし、大会前日やその2日後はかなりの雨が降ったので、少し日程がずれていたら泥だらけのレースになっていたと思われます。
次また出場するとしても、毎年コースは変わりますし、最適と考えられる機材選択も毎年どころか日によって大きく変わるのでUnboundの難しさを痛感した今年のレースでした