大谷翔平選手の「もう忘れました」を英語にすると?

こんにちは!

通訳者として通訳という仕事の醍醐味を感じた場面に出会ったので紹介しますね。

翔平さんの通訳者であるウィル・アイアトンさんの通訳はいつも誠実で素晴らしく、勉強させてもらってます。

最新の記者会見で面白い(と通訳者なら思うのかな)場面がありました。
以下の動画の7:15頃から。

「昨日の試合でアンパイアにボールが当たったことで、全体的にドジャースに不利な展開になったことに対して負の感情はありますか?」的な質問が記者から飛びました。

それに対して翔平さんは「もう忘れました」と。
その日本語をアイアトンさんは、「I forgot about it」とすかさず通訳。

適切な訳で素晴らしい。

I forgot about it.は、「忘れてた」「思い出せなかった」という意味が僕的には強かったのですが、調べてみると:
"I forgot about it" means to stop thinking about or caring about something or someone:
とのこと。
この場面にぴったりのフレーズですね。
咄嗟にこういう適切な訳を繰り出せるのはすごい。咄嗟の美学。

さて、改めて客観的に、自宅でくつろぎながら、なんなら昨日つくったハヤシライスを食べながら、この「もう忘れました」の訳を考えるともなく考えると、他の候補が頭に浮かんできました。

翔平さんがこの場面で使った「もう忘れました」をニュアンス意訳すると「もう過去のことです」とか、「もう全然気にしてない」とか「それ今言って何になるん?」的なニュアンスだったと思います。

そういったことを考慮すると、
「I let it go already」とかでも良いかなと思います。

あるいはもっと深く入り込めば、翔平さんは「もう忘れました」と言った後少し笑ってたので、少し笑いの要素も加えて、
「I don't even remember it」というちょっと”しらばっくれ感”を出す英語にしたら、会場が多少はクスクスなったかもしれません。

クスクスやドッカーンのタネは一つも逃したくない、というのが大阪で生まれた男の性分かもしれず、あいすみません。
ポストシーズン中の、緊張感のある記者会見でも、笑いのタネは逃したくないのです。
いや、ポストシーズン中、緊張感のある記者会見でこそ逃したくないのです!
クスクス・ドッカーンのタネを一つ残さず発芽させたい、というのがイチ大阪人通訳者の妄想、というか野望、というか、まあつまるところ皆さんからしたら「うるさいぼけ、どうでもええわ」ですね。

とまれ、アイアトンさんの通訳は素晴らしいし、
翔平さんのプレーは素晴らしい。
二人をいつも応援してます。
ありがとう!

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