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【歴史】CONVERSEとALL STAR

こんにちは、こんばんは。
今日はコンバースについて皆さんと一緒に深掘りしていきたいと思います。


"ONESTAR" "JACK PURCELL" "SKID GRIP" "WEAPON"


100年以上前から世に名作を送り出してきたコンバース。
その中でもALL STARの存在は一際輝いています。

"コンバースの歴史=ALL STARの歴史"
そう言っても過言ではないです。

なので本日は、数ある名スニーカーの中からALL STARにスポットライトを当てて、コンバースの歴史を紐解いていきたいと思います。


【コンバース創業】

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深い森や湿地帯が多く、冬はたくさんの雪が降り積もる米国・マサチューセッツ州で、1908年コンバースの歴史は幕を開けます。

マーキス・M・コンバースはゴム製品を扱う会社のマネージャーとして働いてましたが、その地域性に着目し"コンバース・ラバー・シュー・カンパニー"を立ち上げ、ラバーシューズの販売し始めます。

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(原型となったガロッシュ)

彼らの製品は、雨や雪に負けずに作業できる頼もしい仲間としてすぐに人々から愛され、創業から2年後足らずでコンバースは地元の有力企業となり、従業員も350人を超えるまでに成長しました。


【名作の誕生】

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ビッグCライン

大人気だったコンバース社製のラバーシューズですが、積雪の多い冬に販売が集中していたことで、通年販売できるヒット商品が欲しいとマーキス・M・コンバースは頭を悩ませていました。

そこで、彼が着目したのが"バスケットボール"でした。

当時、バスケットボールはまだ生まれたばかりの新興スポーツで、体育教師のネイスミス博士によって冬にできるスポーツとして考案されました。

ここに可能性を見出した彼は、1917年バスケットボール専用のスニーカーを発売します。それが後の”ALL STAR”です。

足首まで覆うハイカット仕様は、その当時斬新なデザインでした。

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アッパーが白のものを”NON-SKID”
茶色のものを"ALL STAR"と当時は区別していたよう。

ここに当時のALL STARの写真がありますが、今と驚くほどデザインが変わりません。その当時からすでに完成された設計だった証です。

1足完成するまでに81工程、約180人もの手を経て作られているそうで、その確かなものづくりからコンバース社は第二次大戦中は政府の軍用モデルも手がけていたほどでした。

そんなALL STAR人気が全米に広まったきっかけが2つあります。

❶Chuck Taylor

ALL STARに魅せられた男。

Chuck Taylor(チャック・テイラー)
※本名 Charles Hollis Taylor(チャールズ・ホリス・テイラー)。

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彼がきっかけの1つ目です。

当時のスター選手だったチャック・テイラーは、プロリーグに参加してから引退までその作りの良さに惚れ込み、ALL STARを愛用し続けたそうです。

そして引退後も多くのプレイヤーにALL STARの良さを伝え、普及に尽力しました。さらにはアドバイザーとして就任し、改良の様々なアイディアをコンバースに助言したのでした。

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その大きな功績を讃え、1946年には彼の名がアンクルパッチに記されるようになります。Air Jordanをはじめ、今では当たり前となったバスケットボールシューズ初のシグネチャーモデルはこうして誕生したのです。

❷YEAR BOOK

2つ目のきっかけとなったのがYEAR BOOK(イアーブック)です。

1922年、コンバースはバスケットボールの普及と振興の為、全米大学リーグでのスコアなどをまとめたイアーブックの制作を開始します。

プロリーグの発足後、内容も充実していき、1企業の冊子としてな異例の全米のバスケットプレイヤーのバイブルとなり人気を博します。

この冊子は1983年まで60年以上発行され続けました。
表紙のイラストは、家にポスターとして飾りたくなるようなユニークなデザインばかりですね。

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こうして、元々地元の靴屋さんだった
コンバースは全米に広まっていったのでした。


【30年代インソールの搭載】

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ALL STARは誕生以降、様々なマイナーチェンジが施され改良されていきます。1番最初の大きな変更は1934年の"AIR-FLO INSOLE"を採用です。

コンバースが独自開発した細かい気泡入りのクッション素材を靴底に入れることにより、クッション性が飛躍的にUPしました。


【50年代OX誕生】

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ALLSTARの発売後、同様にスポーツと関連させ"JACK PURCELL" "SKIDGRIP"と次々とヒット商品を生み出してきたコンバース。
1957年、満を持して発売されたのが"ALL STAR OX"
つまり、ALL STARのローカットです。

1960年代当時のデータでは、バスケットシューズの市場においてコンバース社は8割ものシェアを誇っていたそうです。


【60年代〜70年代は色】

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ALL STARと言えば色鮮やかなカラーバリエーションも特徴の一つですよね。
しかし発売当初は、ホワイトとブラックの2色展開のみでした。

それがバスケットボールのチームカラーに合わせて、1966年にゴールド・グリーン・オレンジ・レッド・ブルー5色のカラーバリエーションが追加され、さらに1971年にはライトブルーが加わるなど続々とカラー展開が増えていきます。

この頃からバスケットシューズの枠を超え、街履きとしても市民権を得ていきます。


【80年代は柄】

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1983年、"アンディ・ウォーホル"や"キースヘリング"らの活躍によりポップアートがこの年大流行します。それに伴い、コンバースからも次々と柄物やカラフルな色のALL STARが発売され、ファッション性がより加速していきます。

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【ディテールの変遷】

年代ごとに細かなデザインも変更されていきます。

こうしたディテールはヴィンテージの年代判別や、現行のコンバースがどの年代を再現しているかを見分ける鍵となります。


❶アンクルパッチ

ALL STARを象徴するデザインと言えばサイドにつくアンクルパッチではないでしょうか?

元々はくるぶしを保護する名目でつけられましたが、次第にデザイン性が強くなり、時代によってデザインが変化していきます。

1925年
BIG Cと呼ばれる頭文字のCを大きくする配したアンクルパッチ。
★1928年
「オールスター」を象徴する星マークが登場
1931年
文字が大文字に。
★1946年
「ALL STAR」と「Chuck Taylor」の文字が初めて登場。
1953年
「Chuck Taylor」の文字が星マークの中に移動。
1959年
「Chuck Taylor」の文字が星マーク上の左右に分割。
1962年
「Chuck Taylor」の文字が星マーク下の左右に分割。
現行の「オールスター」のベースとなるデザインが完成。
1969年
星マークの下に「®(レジスターマーク=登録商標)」が追加。


❷ヒールラベル

アンクルパッチ同様にその歴史によって姿の変わるヒールラベル。

様々ラインに分かれる現行ALL STARは、ヒールラベルでどの年代をベースにしてるかわかるので面白いディテールです。

1930年代〜50年代前半
「Chuck Taylor(チャールズ・H・テイラー)」の名前が加えられた最初のヒールラベル。

1950年代後半〜62年
3つの星が対角線上に並ぶ“三ツ星”ヒールラベル。
1960年代
3つの星が横に並ぶ“三ツ星”ヒールラベル。
1970年代
2つの小さな星がなくなった“一ツ星”ヒールラベル。
1976年〜90年代後半
ヒールラベルがホワイトに。下にMADE IN USAの文字。
90年代後半〜 MADE IN USA表記なし。

❸インソール

1934年以降インソールが採用され、クッション性やフィット感など機能面を全面に出したデザインはコンバースならでは。年を追うごとにデザインも洗練されたものになっていきます。

1960年代前半
茶色に白の曲線が入った初期のインソール。
1960年代
茶色に白の曲線が入ったインソールにMADE IN U.S.A.の文字が追加。
1970年代
青枠に黒文字のシンプルなデザインに刷新。
1970年代後半〜90年代前半
黒文字から青文字へと変更。
1990年代
枠がなくなり、「CONVERSE®」のフォントが変更。
2002年以降
MADE IN USA表記が消え、「CONVERSE®」のみに変わる。


【現代のALL STAR】

時代を追うごとに変化してきたALL STAR。

現在はALL STARと一口に言っても、異なるコンセプトの元に、様々なラインが存在します。

最後に"ALL STARの今"を見ていきましょう。

★現行ライン

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ALL STARは2001年、本国コンバースの倒産の影響で、ノースカロライナの米国工場が閉鎖して以降、日本向けの生産の中心をインドネシアに移しました。

アメリカ製のALL STARに憧れを抱く方も多いと思いますが、実はこのインドネシア工場がすごいのです。その当時のインドネシア工場のオーナーは、心底コンバース社をリスペクトしていて、このALL STARを正しく後世に残したいと考えていたそうです。アメリカ工場の設備や生産方式、秘伝のゴムの配合率まで全て徹底的に踏襲し、アメリカ製の頃のALL STARを忠実に再現しています。

★US ORIGINATOR

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2013年から始まった新ライン。
ヴィンテージモデルを再現するために、ラバーソールがツヤ加工が施されているのが最大の特徴です。シューレースは古いALL STARに見られるコットン素材を採用し、アッパーのキャンバスも洗いのかかった自然な色合い。どこかアメリカ製の頃の素朴な雰囲気を感じることのできるモデルです。

★ALL STAR Ⓡ(アール)

2023年の今年新たなラインが加わったのをご存知ですか?

"REACT"  "RECYCLE"  "REFINE"の3つ"R"を備えた次世代のALL STARをコンセプトに掲げたこのライン。

アッパー、ライニング、シューレース、アウトソール全てにリサイクル素材を採用し、オリジナルの高機能カップインソール「REACT2.0」を搭載することで履き心地がアップグレードされています。

★MADE IN JAPAN (80年代ベース)

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2013年から始まったアメリカ生まれのALL STARと日本のクラフトマンシップを融合させた日本限定ライン。US ORIGINATORの高級ラインという位置付けのようです。福岡・久留米の"Moonstar"がその生産を請け負い、熟練の職人の手で丁寧に作られている。実はこのMoonstar、90年代まで一部コンバースの生産を請け負っていたそうです。木型も80年代当時のものを採用し、ヒールラベルのデザインもその時代を踏襲しています。シャープですっきりとしたフォルムが特徴です。

インソールの印字が日の丸を表す赤が採用されていたり、ヒールラベルには"MADE IN JAPAN"の表記があったりと細かな部分に洒落が効いています。

★CONVERSE ADDICT(60年代ベース)

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コンバース生誕100周年を記念して新設されたライン。
ADDICT(=依存する、中毒)が意味するとおり、ファッションコンシャスな人たちに向けたCONVERSEの最高級ラインです。高感度なセレクトショップのみで展開されています。

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ヒールラベルから見て取れるとおり60年代のChuck Taylorを再現しています。ヒールラベルからChuck Taylorの名前が消える1976年以前のモデルをChuck Taylorと呼んで区別するそうです。またインソールも当時の仕様で、アウトソールにはビブラムソールが搭載されています。

★CT70

日本未発売のChuck Taylor 70シリーズ。通称CT70。
アメリカ本国企画のALL STARで、こちらも2013年よりスタートされました。

ADDICT同様、1960年代〜70年代のALL STAR(Chuck Taylor)を再現した復刻ラインです。ラバー部分も光沢感があり、日本モデルに比べやや黄みがかっています。また、一番の違いはカップインソール。2001年の倒産段階で、日本以外の販売権利をナイキ社が買収したことで、ナイキのインソール技術が搭載され履き心地もフカフカ感があります。

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2017年までは"プレミアムライン" という名前で1つ星のヒールラベルが特徴のラインを展開していましたが、現在は"ファーストストリングライン"の3つ星ヒールラベルのものに統一されています。

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【おわりに】

ご覧いただきありがとうございました。
いかがでしたか?

仕事柄もありますが、ALL STARを目にしない日はないといってないほど世の中に浸透した名スニーカー。

この記事を執筆するにあたり色々な資料を見ましたが、意外と知らないことだらけで面白かったです。

初めて足を入れたあの時のフレッシュな気持ちを思い出しながら、店頭のALL STARを眺めています。


今後も歴史を切り口にファッションが何倍も面白くなる記事を執筆していきますので、よかったらスキ・フォローお願いします。



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