出逢ったときより、妻のことを好きになった今日。

【物くれる人より遊んでくれる人。ハグよりキスをくれる人】

「物より、時間より、人そのものはそれらより尊い」

僕が子供だったときより、息子の時代はずっと色んな物が身近にあり、たやすく手に入れられる時代になった。

いろんな方が与えてくれたものを、息子は真っ先に僕に見せてきて、僕の手を取り遊び場へ連れて行く。

「ダディ、新しい新幹線がやってきたよ。これで一緒に遊ぶ理由ができたしょう!」

息子は知っている。

物はいらない。

欲しいのは、楽しい会話を共有してくれる時間。

そう、一緒に遊んでくれる人なのだ。

「物より、時間より、人そのものはそれらよりずっと尊い」

息子に異常な愛を持つ僕に対して、妻が言った言葉が僕を出逢ったときの妻よりももっともっと妻のことを好きにさせる。

「もし、輪人が今、不慮な事故で死に至っても、今を私達は生きている。生きている限り、誰かのために強く生きなきゃならない」

上っ面のハグではなく、真のある愛のキスを。

彼女は出逢ったときのようなハーブのはんなりさはなく、マザーテレサのような菩提樹的強さを持つ。

父としての僕の幼稚さとは比べ物にならないくらい、妻は母として成長している。

自分のことを恥ずかしくも思いながら、妻を頼もしく思う。

出逢ったときより、妻のことを好きになった今日。

人は人のことを好きで居続けられ、愛を増やすことができるようだ。

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