舫う(moyau)=舟と舟とをつなぎ合わせること、何かを一緒に行うこと

画像1

「この人とは舫っている」

〜僕はこの地球一周の旅で、「誰もいない世界」を見たかったのではなく、「誰もいない世界はこの地上にはどこにもなく、そこには同じ地球人の誰かが元気に暮らしている」ことを確認したかったんだ〜
《書籍:スマイル!〜章:危険なルートの先にあったゴスペルの歌声より〜》


ふんわりと海に漂い、ときに島に上陸をするが、生涯を放浪をする船人に僕たちは似ている。
時代の嵐に飲まれ、世代の波に乱され、右へ左へ行ったり來たり。
ときには仲間の船がその恐怖に耐えきれず、沈没してしまう。
もやもやした世界だから、僕たちは舫うのだ。
強くお互いの絆を結び、手綱で引き付け合い、一乱が去るのを待つ。


久しぶりに、そんな舫う人に会った気がする。
いつだって、昔過ごした場所や職場はストロベリーのように甘酸っぱい。
楽しければ楽しいほど、辛ければ辛いほど、そこはそんな場所になる。
いつもの甘酸っぱさと違って、今日はブルーベリーのように熟されていたのは、彼女が手にしてくれていた本のせいかもしれない。
「スマイル!」
僕が帰国したばかりに、どうしても書きたかった想いたちの詰め込まれた本。
風化して美化する前のリアルな気持ちそのものだ。
自分で読み返して、自分に喝を入れられるのは世界に一冊だけ。
著者にしか味わえない閾値。
過去の自分をそこにとどめき漂わせる唯一の方法。


彼女は紅潮しながら、一生懸命にその書籍について感想をくれた。
冒頭の一文は僕がとても大切にしているフレーズ。
彼女は好きだと言ってくれた。

「この人とは舫っている」

直感的に感じた。
帰国して5年。
僕の世界一周の旅と冒険は、美化し始めたのではなく、少しづつ風化していってるだけだったのかもしれない。
彼女のおかげで大切な何かを取り戻した。
「明日も頑張ろう」
素直にそう思う。
「スマイル!」を上梓できて、本当に良かった。
スマイル!も喜んでくれてるはず。
旅と冒険に出て、本当に良かった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?