中井久夫先生のささやかな思い出 4

東大分院神経科の大先輩の女性医師に中井先生の思い出を伺う機会があった。とくに印象的だったのは、昭和50年代だと思われるか、中井先生が分院在籍時代に「たらこスパゲッティ」を作られたことだ。とうじナポリタンかミートソースしかない時代にである。どうやって知られたのか。

分院で中井先生の思い出を語ったのは、私を東大分院神経科にご紹介していただいた恩師、故・飯田真先生。飯田先生は、中井さんと呼びながら、新潟に特別講義で招待されたことを日本茶をいれながら懐かしそうに話された。 また、当時絶版だったシュルテの『精神療法研究』が復刊(現在は残念ながら絶版)されると中井さんから連絡があったというものであった。
あんな楽しそうな飯田先生は新潟では見たことがなかった。
シュルテのうつ病の悲哀不能という考え方は、ーシュルテは書いていないがー希死念慮に裏打ちされた重要な指摘であると思う。

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