中井久夫先生のささやかな思い出 9

阪神淡路大震災があった春、中井先生は古巣の東大分院神経科の研究会で講演された。お話しは主に震災体験であり、のちに成書になって読み返す。当時もっぱらリルケを読んでいると言われていた。
東京時代の思い出話しなどなかった。

その夕食歓迎会はなぜか新宿のトルコ料理店。多少豪華ではあるが、普段食べに行くお店ではないので中井先生のリクエストだったかもしれない。

ボランティアに行った中井先生を知らない医師から聴いた話しでは、まるで海軍司令官のような雰囲気で躁状態にみえた、歓迎してくれた勢いで新しい病棟を案内されたという。

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