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172台本作成編:シナリオと台本はどう違う?【美しょゲを作ろう】

美少女ゲーム制作日誌、 #美しょゲを作ろう

ちょっと外注仕事が立て込んでおりまして今日は簡単な記事になります。テーマは「台本作り」で、書いたシナリオからどう台本にしていくかを解説!

《シナリオと台本の違い》

シナリオと台本、つまりは「ゲームにおいてのシナリオ」と「音声収録においての台本」は意外と違います。

シナリオには音声収録の際に邪魔となる情報も多いので、そういったものを省きながら声優さんとエンジニアさん(収録をする側の人)の仕事がスムーズに進むように調整する感じかな!

例えばゲームシナリオでは、

;演技:全体アップ

とかいう画面上の演出について指示を入れたりするけど、音声的には不必要な情報だったりする。マイクから遠ざかって録るとか、特殊なことをしないなら全くいらないものなんだ。

そしていらない情報はあるだけで収録の邪魔になる。演技をするときに「これは演技に含んだ方がいいのか?」と悩んでしまうと足引っ張られちゃうもんね。

だからこそ台本を作る時は以下の2つを心掛けよう。

・声優さんとエンジニアさんの為に作る!
・音声から見て不必要な情報は削る!

なお台本印刷用のソフトとかもあって、指定した記述形式の部分は出さずに印刷……とかも出来たりする。あんまり調べたことがないのでアレだが、エロゲ会社だと自社で開発したソフトとか使ってることが多いかな。

とりあえず今回はそんな便利ソフト持ってない(調べてない)のと、シナリオの再確認も合わせて行うので手作業で進めていきます。効率悪いね、次回作の開発では改善しよう。

開かれた洋書たち


《シナリオと台本の比較!》

まだ台本化作業の途中なんだけど、今日はとある箇所を抜粋したシナリオ&台本をお見せします。どういう部分が変わっているのかちょろっと見てみよう!

■シナリオ(一部抜粋)

@D
19
;表情:頬染め

小色
「あの、いきなり、なのですが……
少し、お話を……き、聞いてもらえませんか?」

@選択肢D
20
「それよりも揺れについて聞く」→D1
「もちろんと頷き返す」→D2

@D1(Bad分岐)
21
;演出:目を見開いてビックリする
地震なら避難しなければならない。
そう思って問いかけたら、彼女は目を見開いて。

22
;表情:悲しげに
小色
「そうですか……あなたも、全てを……」

23
;演出:グッと悲しみを堪えてから、決意して
小色
「あの……その、本当に、
この揺れのことを、知りたいんですか?」

24
;演出:頷きをカメラの動きで見せる
;表情:悲しげな微笑み
少し躊躇ってから、安心させるように微笑む

小色
「……わ、分かりました。
でも、辛くなったら……言ってくださいね」

→2ーA

@D2(True)
21
;演出:カメラで頷き
その問いに頷けば、
パッと花開くように彼女は笑顔を見せた。

22
;表情:悲しげに
小色
「あ、ありがとうございます……実は今日、
最後の登校日で、友達とさよならして……」

23
;表情:悲しげな笑顔
小色
「最後だって、分かってたのに、泣いちゃって。
え、えへへ……私、本当に弱虫なんです」

→選択肢D2

シナリオではこんな感じで今作の大事な要素「クリック数」をしっかり明記してます。あとはキャラクターの表情だったり、選択肢についてだったりも書いてあるけど……

正直表情については意外とノイズになりやすい情報だ。人の表情と感情は基本的にリンクするものだけど、それだけだと味気なくなっちゃうことも多々ある。

表情では笑っているのに演技としてはやや強張っている……そんな状態もキャラクターを生かす技術だ。そういった部分が上手く働きづらくなるので、私的には表情は載せない方が無難だと思います。

そんな感じで考えつつ台本化すると!

ノートパソコンを打つ3


■台本

;==========================
■4B
小色(koi_094)
「あの、いきなり、なのですが……
少し、お話を……き、聞いてもらえませんか?」
;演技:やや緊張が増す

;◆選択肢(大)
「それよりも揺れについて聞く」↓4C
「もちろんと頷き返す」↓ブロック5

;==========================
■4C
地震なら避難しなければならない。
そう思って問いかけたら、彼女は目を見開いて。

小色(koi_095)
「そうですか……あなたも、全てを……」
;演技:記憶喪失か人格が変わってしまったかの予想がついて悲しげに

小色(koi_096)
「あの……その、本当に、
この揺れのことを、知りたいんですか?」

少し躊躇ってから、
彼女は安心させるように微笑んだ。

小色(koi_097)
「……分かりました。
でも、辛くなったら……言ってくださいね」

小色(koi_098)
「この揺れは、運転のせいでも、
自然災害でもありません……」
;演技:真面目に

小色(koi_099)
「この、私たちの世界を……
壊そうとする、化け物の咆哮……なんです」

こんな感じでまとめてみました。

表情は消しましたが、補足するような形で「;演技:」という指定を入れています。台詞と地の文、あと話の流れを見ても「どう演技してほしいか」が掴みづらそうな部分に記載した感じ。

あと収録した音声をファイル化する時のために"()"で番号を振ったり、縦書きにする予定なので矢印の方向を変えたりしました。

そして一番大きな違いは「選択肢の片方がここに記載されてないこと」かな。

シナリオではトゥルーエンドを軸にするために最初はそこから書いていったんだけど、収録としてはバッドエンドから録っていった方が感情が入りやすいと考えました。

バッドエンドでは救われない、でもトゥルーエンドでようやくヒロインの願いが叶う。そんな感情の変化をしっかり表現してほしいので収録はバッドエンドを軸にしよう……という考えで、トゥルーエンドに向かう分岐は後で記載する形に調整しました。

ノートパソコンを見る猫2

……と、今日はここで終わり。

まだ台本化作業は終わってませんが、木曜日の更新の時には本編の台本版を全部お見せできるかと思います。どんな風に変わるのか、参考にしたい方は少々お待ちください!

では、また次回お会いしましょう。


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恒石涼平@ゲームシナリオライター
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