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主人公が人気になりやすい理由【思考が見えるという力】

どんな作品においても主人公は人気になりやすいものです。

というか主人公が嫌われるようなものはすぐユーザーが離れるし、作品においても重要な存在であることは自明の理でしょう。

では何故、主人公は人気を得やすいのか?

答えは沢山ありますが、今日はその中の1つでもある「思考の提示」について解説します。

■思考が生み出す納得

思考の提示とは、言葉の通りに「思っていること、考えていることがユーザーへと提示される」というもの。

思考が見えると何がいいのか。簡単に言えば「行動の理由」が見えることが大きなメリットになるんです。

なぜ主人公はヒロインを助けたのか?
なぜ主人公がその台詞を言ったのか?
なぜ主人公はピンチなのに動かないのか?

こういった理由が見えないだけで、ユーザーがキャラクターに持つ信頼・不安というものは大きく変わります。

逆に言うと、しっかりとした理由があればどんな行動でもユーザーを納得させることは可能。例え殺人だろうと、動機が分かれば多少は理解出来てしまうのだから。


デメリットは後の項目で実践的に語るとして、この「思考の提示」がなぜ主人公を人気にさせるのか。

それは主人公が最も思考を見せやすい立場であるからです。

多くの作品で主人公の思考は分かりやすく見えるようになっています。モノローグ(心の声)だったり、地の文やナレーションが主人公の思考であったりと、そもそも物語は思考を元に動いていることが多いのです。

……漫画とかは基本が台詞だから、そうでもないかもだけど。


最近また1からながら見し始めた「ソードアート・オンライン」を参考に話すと……主人公のキリトくんが何を考えているかとっても分かりやすいはず。

しかし第1話ではヒロインのアスナを筆頭に、クライン、エギルなど様々なキャラクターが出てきますが、彼ら彼女らの思考はほとんど見えてきません。

何故なら主人公は直接的に思考を見ることが出来るけれど、他のキャラクターでは「言動や表情、声音などから思考を予測すること」しか出来ないから。結局のところ分かるのは思考ではなく、あくまでも予測でしかないのです。

主人公(主観的立場)とそれ以外では、思考に関する情報の濃さに圧倒的な違いがある。これこそが主人公が人気になりやすい理由だと言えるでしょう。


■思考の提示がもたらすデメリット

ここまでの話だと、とりあえずやっとけの精神で使えそうな力ですが……もちろんデメリットも存在します。世の中にメリットしかないものなんて基本ないのだ。

大きなものとして、「思考の提示」は考えを見せることが大前提なので、逆に「重要な思考を見せない」ということが困難になります

理由を見せるだけではユーザーの好奇心をくすぐれない。ミステリーとかは顕著ですが、犯人が分からないからこそ面白いものですよね。同じように全ての理由が分かってしまうと、行動に対する好奇心が生まれにくくなる

しかし思考を見せないようにすると「なぜ見せなかったのか?」と作品やキャラクターに対する不信感を生み出す理由にもなってしまう。その為にまた理由を提示する必要があるので、デメリットと言えるでしょう。


■主人公以外の思考はどう見せるべきか

第三者視点の物語とかじゃない限り、基本的に主人公の思考は提示しやすい。しかし他のキャラクターはどうするべきか。

一概に他のキャラクターも直接的に思考を見せるべきとは言えません。視点が切り替わるための説明や動機を作る必要があり、無闇に見せることは難しいから。

もちろんメリットもあるので、コストとリターンをしっかり把握した上で使っていければ問題ないかと思います。


しかしこれでは私なりの答えにもならないので、他のキャラクターの思考をどう見せるべきかを述べてみると……

間接的に「言動で見せる」ことを中心に組み立てるしかないかな。

物語の中で役割分担をして思考は主人公に、言動は他キャラクターにと私は考えてます。特に「身体の動き」「表情の動き」は主人公のことをなるべく書かないようにする。その部分は他のキャラクターに回す感じです。

書けるもの、見せられるものは限られている。だからリソース管理をして、各キャラクターの魅力を引き出せるように情報を調整する

このような考え方を元にすれば、主人公以外の思考をしっかり予測させられるかと思います。


■今日のまとめ

「主人公が人気になりやすいのは、思考の提示がされやすいからである」

思考を見せるメリット
・行動の理由が見えて、納得感を引き出す
・信頼が得やすく、不安を取り除きやすい


思考を見せるデメリット
・見せないという工夫はコスト高め
・好奇心を得にくい


主人公以外のキャラクター思考について
・視点を切り替えて見せるのはコスト高めだが、良い方法でもある
・間接的な情報を増やして予測させよう


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では、また次回お会いしましょう。

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