2022年の好きだったやつ(HIPHOP編)

もう2022年も終わろうとしてますね。
前の記事を今年の3月に書いて、大阪行くことを仄めかしてますけど、諸事情あって結局まだ実家にいるんですよね。そういう意味では去年と何ら変わらない1年だったかなと。ただ、出張は去年よりだいぶ増えたので何だか疲れたなという気もします。

音楽も聴いてはいるんですけど、やっぱりサブスク使うようになってからフィジカルで買う頻度は減ってしまってる気がします。一部のお店は今でも行ってCDやらレコードを買ってるけど、ユニオンとかブックオフにはめったに行かなくなってしまいました。昔の音楽を聴きたくなったら、以前はユニオンに行って買い漁ったりしてたんですけどね。一時期プログレの王道(クリムゾンとかフロイドとか)を聴いてみたくなったときも、ユニオン行って「同じアルバムでも紙ジャケとかリマスターとか種類ありすぎてどれ買えばいいんだ…」なんて悩みながら買ってました。話逸れますけど、プログレ聴きたくなったのは確か"マンディ 地獄のロード・ウォリアー" (2018)っていう映画の冒頭でキング・クリムゾンの"Starless"という曲がかかったのがキッカケでした。そういえば、今年観た"ブラック・フォン" (2022)でもピンク・フロイドの"On the Run"がかかってアガったな。

今年入って「ストーンズ履修しよう」と思ってApple Musicで一時期聴いてたけど、やっぱサブスクって何となく残りにくいんですよね。余裕できたらストーンズも買います。

めちゃくちゃ話逸れましたけど、今年好きだった音源の話をしようかなと思いまして。長くなりそうなのでまずはHIPHOP編です。

まずこれは外せません。ISSUGI "366247"

コンスタントにアルバムを出し続けて、ライブで全国を回り、同時にこんなにも進化し続けるラッパーはなかなかいないと思います。DJ SCRATCH NICEのトラックを中心に作られたこの作品はオーセンティックな雰囲気を漂わせつつも現行の流れも汲んだどこかサイケデリア漂う唯一無二のものになっていると思います。リリックも素晴らしく、ハードコアなMCであることを再認識させられます。"from Scratch"は今年のベストトラックと言ってもいいと思います。VANYの『VG+のコンディション 傷あり俺のSOUL』っていうラインも最高でしたね。
ISSUGIといえば11/2にWWWXで開かれたワンマンも本当に凄かったです。

そして、ISSUGIも参加したMULBE "LIFE GOES ON"もまた今年の重要作でした。

全国のラッパー、トラックメイカーと作り上げた今作は一貫してlowな雰囲気を纏っていて、ジワリジワリと沁みてきます。力強く前へ進むタフさを持ちつつも、一方では背中を押してくれるような優しさもあって、様々な媒体でも言われてますけど、まさに『SOUL MUSIC』という言葉が相応しいなと。このアルバムが出た時、ちょうど大阪行きがどうこうみたいなのでめちゃくちゃ不安で落ちてたんですけど、そんな自分に必要なのってこういう音楽だったんだろうなと思って救われたの覚えてます。"GO HARD AND CHILL"って感じで来年も頑張りたいですね。

全ての作品で素晴らしい音楽を提示してくれるRC SLUMからも今年は2枚のアルバムがリリースされました(年末にUG Noodleも出ますね)。hyunis1000 "NERD SPACE PROGRAM"MIKUMARI "CONVERSATION"です。MIKUMARIは配信まだっぽかったですが、この2枚はCDと配信でトラックリスト違うはずなので是非CD買ってください。

神戸のクルーNERD SPACE PROGRAM、ratiffとのユニットNeibissにも所属しているhyunis1000の1stアルバムは客演なしで作られ、トラックはratiffに加えてBallhead、caroline、DJ HIGHSCHOOL、UG Noodle、Uokani、残虐バッファローとバラエティ豊かなメンツが揃っています。"NERD"という言葉が入っているようにある種オタク的な側面も持ち合わせている一方で、そのラップはストリートを軽やかかつ飄々と渡り歩くような強さも感じられて、そのフレッシュさにはすごく今っぽさを感じました。こういうヤングガンが出てくるのって希望を感じるし、嬉しいですよね。Neibissも今年EP出したし、同じNERD SPACE PROGRAMに所属するseep minutesのアルバムも良かったです。

そして、RC SLUM、YOTA SQUADからMIKUMARIの3rdアルバム。その吐き捨てるようなフロウと、エグさとユーモアと哀愁が同居するリリックは今作も健在で、そこには確かにある種のキャッチーさがあります。thugとかgangsta、不良の作る音楽って、そこが本当に素晴らしく魅力的だと思います。2ndアルバムをフルプロデュースしたOWLBEATSに加えて、今作は様々なトラックメイカーも参加していて、オフィシャルレビューの『吐いたゲロは虹色』という言葉が言い得て妙だなと。個人的には、2曲目の"Warming Up"がカーペンターのハロウィンネタっぽくてアガりました(違うかもしれません)。

国内からは他にもFREEZ "NO FAMOUS"Peedog "GRAIL"YAS I AM "REBORN"なんかも素晴らしかったので是非。

USで今年序盤クラったのはV Don & Bodega Bamz "The Lost Pack"でした。

V Donといえばズッシリノッソリなトラックをイメージしますが、このコラボ作はBodega Bamzの高音で軽快なラップとのバランスが実に絶妙で、重厚さの中にも哀愁があって、数あるV Don関連作の中でもかなり聴きやすいと思います。ただ、悲しいことにこれフィジカル出てないんですよね…めちゃくちゃ欲しいのに…
一方で、3作目になったWillie The Kidとのコラボ作"Deutsche Marks 3"も相変わらず素晴らしい出来でした。

また素晴らしかったのがFly Anakin "Frank"

EvidenceやMadlibのトラックも収録された今作はソウルやジャズなんかのサンプリングもので構成されていて、相変わらずソウルフルなHIPHOPが好きな自分にはドストライクでした。聴いたことあるネタもちょくちょくあってニンマリしちゃうし、1曲目から「あ、これ最高のやつだね」と確信できる名作。ele-kingの野田努さんがレビューを書いていたのも印象的でした。関連作だとBig Kahuna OG & Graymatter "Metal Gear Solid"もめちゃくちゃ良かったです。Graymatterのトラックって、オーセンティックな感じもするんですけど、どこかグニャっててサイケデリア漂うところが好きですね。Pink Siifu & Real Bad Man "Real Bad Flights"も良かったですね。Real Bad Man関連作で一番好きかも。あと、ソウルフルといえばElcamino "Let There Be Light"も素晴らしかったです。

そして、個人的には今年ベスト級だった1枚がLloyd Banks "The Course of the Inevitable 2"

去年出た"The Course of the Inevitable"の続編的な位置付けの今作はとにかく地味です。G-Unitのようなオラオラ感も無い。でも、その哀愁にとにかくグッとくる。一時期だいぶ塞ぎ込んでしまってたらしく、それも踏まえると更にくるものがあります。声もめちゃくちゃ良いですしね。客演陣もLloyd Banksの世界に寄り添うように良い仕事してます。レコードも出るみたいなので楽しみです。
ベテラン勢といえば、Kxng Crooked & Joell Ortiz "Rise & Fall of Slaughterhouse"(タイトルがもうたまらんし、2人ともバカみたいにラップ上手い)とCormega "The Realness II"もさすがの出来でした。

ベテランの新作として、これも本当にたまらない1枚でした。Jeezy & DJ Drama "SNOFALL"。

再生した瞬間の1音目で思わずガッツポーズしてしまいました。「俺が大好きな2000年代後半のサウスだ…やったー!!!」と心の中で叫びました。もう完璧です。「これがトラップだ」と高らかに宣言するかのようなJeezyのラップと壮大なトラックでブチアガります。でも、そこには影が感じられて、その人間臭さが素晴らしく魅力的です。本当に最高です。ありがとうJeezy。
ベテランのサウスMCといえば年始に出たSlim Thug "BIGSlim"も最高でした(ジャケのダサさもナイス)。こちらはソウルネタのトラックで、LE$を客演に迎えるなど、メロウに作られていてドライブなんかにピッタリだと思います。

ここではサラッと紹介しとく程度にしときますが、Jay Worthy、Larry Juneの関連作はもう当たり前に良かったです。あんなもんなんぼあってもいいですからね。
あと今年まさかの来日だったBilly Woodsも凄かったです(ライブ行けなかったの一生後悔します)。特にPreservationプロデュースの"Aethiopes"。ドス黒く粘っこく渦巻くグルーヴに衝撃受けました。もはや恐怖すら感じる異様さ。ちょっと別格でしたね。

毎年のことですが、MuggsとHarry Fraudもドカドカ出してたし、Griselda周辺もさすがに良いの多かったですね。Armani Caesarとか初めて聴きましたが良かったです。Lukahも素晴らしかったです。

HIPHOP編はこの辺にしておきます。HIPHOP以外のやつも書く予定です(多分)。ではまた。

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