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アンティークカップについての考察など。

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カップや窯などについての考察をまとめております。
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2024年4月の記事一覧

釉下彩と盛上による富士絵のカップについて

この度アメリカより入手した、美しい富士絵が施された卵殻手のカップについて考察します。 小ぶりのデミタスサイズで非常に薄造り。青磁風の淡いグリーン地は釉下彩によるもので、近景には吹絵による表現もみられます。 富士山の冠雪部分は、器体に白泥をのせた"盛上"によって表現されています。 盛上とは、いわゆる"Pâte-sur-pâte" のことで、古くは中国・明時代から行われていたといわれており、ヨーロッパでは1851年頃にフランス・セーヴルのおいて新しい技法として完成させていま