"わかる"とは何か

相手の理解度を的確に捉える

最近、お客さんを含めた会議をしていると、隣に座るプロジェクトマネージャーが、いかに相手の"理解度"、"理解できていないポイント"を押さえて話をしているかがよくわかります。


相手の理解できていないポイントが明白であれば、さりげなく補足し、明白でない場合も、一旦補足した上で理解が深まったかの確認をしています。

相手が理解できているかどうか、は聞き手を観察していれば何となくわかりますが、どこが理解できていないかを見出し、適切な補足をするのは容易でないように思います。
(しかも、単純に「ここがわかっていないですよね?」と行ってしまえば、気分を害すことになりかねません)


頭の中にあるテンプレートと一致すれば、「わかる」

ここからは"畑村式「わかる」技術"の内容も参考に少し考えてみたいと思います。

頭の中では、あたかも目の前の事象が何かの形をした映像として映っているのでしょう。これを知識や過去の経験を取り込んでつくった、事象を理解するための自分なりの頭の中のテンプレートのようなものと比較します。
そして、一致していることが見つかったときにそのことが「わかる」と感じ、一致していることが見つけられないときに「わからない」と判断しているのではないでしょうか。

既にテンプレートがある場合には、そのテンプレートに一致し、すぐに「わかった」となります。
では、テンプレートがない場合には、どういった思考プロセスを辿るのでしょうか。

テンプレートがない場合、既に持っているテンプレートをもとに、テンプレートの構築を試みる

テンプレートがない場合には、新たなテンプレートを構築しようとします。
この時、一からテンプレートを構築するのは難しいですから、既に頭の中にあるテンプレートをもとに構築しようとします。

たとえば、シチューを生まれてはじめて見た人がいたとします。その人は、シチューを前にして、それがどんなものかよくわからずに困惑することでしょう。
ただし、その人はシチューの存在ははじめてでも、「みそ汁」や「スープ」などは飲んだことがあるとしましょう。
すると、みそ汁やスープのテンプレートと完全一致はしないものの、シチューというものはみそ汁やスープと同じように、「液体状のものの中に素材が具として入っているんだな」と構造の類似点を手がかりにして、新しいテンプレートをつくっていくことになります。

相手の持っているテンプレートを見抜く

実際の会議の場面を考えると、相手がどんなテンプレートを持っているかがわかれば、相手が持っているテンプレートと構築してもらうべき新たなテンプレートをつなぐための適切な補足ができます。

しかしここで問題になるのが、相手の頭の中にあるテンプレートが容易にはわからないことです。
相手が持っているテンプレートを見抜くためには、一定の経験が必要であることは間違いないですが、普段から意識し続けることで習得スピードの向上はできるでしょう。

終わりに

高校時代、わかりやすい先生は、生徒のわかっていないポイントをわかっている先生だ、と漠然と感じていました。

この感覚は、今回の本を読んで非常に腹落ち感がありました。

自分がプレゼンをしている時に、何が理解されていないかを捉えるのは難しいですが、他の人のプレゼン中に聞き手を観察していきたいですね。