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■『ビリチスの歌』

『ビリチスの歌』
ピエール・ルイス
鈴木信太郎 訳
角川文庫

紀元前古代ギリシャの詩人ビリチスの歌が
発見されて、19世紀末に
ピエール・ルイスがフランス語で発表。
その後、戦後の日本で鈴木信太郎が飜訳。

という設定で書かれています。
偽書、なんてよばれかたもするよう。
どこからどこまでが本当なのか。
なんだか不思議。

私が入手した本は昭和52年改版初版。
以前紹介した、私が生まれる前に発刊された本は
『ビリチスの歌』のこと。

ビリチスの恋が
歌、詩にのせて表現されています。
見開きに一つ、それが300ページほど。
恋に憧れている時期からはじまって、
少しずつ心情が移り変わっていくようです。
官能美を表現している部分がみられるが、
鈴木信太郎の訳が良いからなのか、
「工口」にはなっていない。
発刊当時としてはわからないが、
令和に生きる私には、
少し古風な表現が穏やかであり厳かであり、
柔剛かね揃えた歌に感じました。
これを意図して訳していたのか、
後の時代の人がどう読むか考えていたのか、
鈴木信太郎さん、素敵な御方。
ピエール・ルイスの19世紀末のフランス語なら、
ビリチスの古代ギリシア語なら、
どんな風に読めるのかな。
そんな想像を引き出されてしまう。

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