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プレゼンの神の前で幸福を語る


プレゼンの世界には、澤円さんという見た目もパフォーマンスも神がかっている、世界が認めるプレゼンの神がいらっしゃいます。

先日、その澤さん主宰のオンラインサロン「自分コンテンツ化プロジェクトルーム」通称、澤サロンにおいてプレゼンの神の前でプレゼンするという望外の機会を得ました。
その時のプレゼンの内容と、神を前に、凡庸な自分がどのようにプレゼンを準備して臨んだか、を書き残しておこうと思います。

・1分プレゼンの限界
1分プレゼンのイベントが告知されたのが18日前のこと。準備期間は十分。テーマに迷いはありませんでした。しかし準備を始めると、1分にまとめるためには、想定の8割ほどは削らないと納まらないということがわかりました。普段の8割ではなく、1分プレゼン用に準備した内容の8割を削るのです。せいぜい1キーワード&1ミーイング。いや困りました。これではとても言いたいことが言えません。

・プレゼンの基本形
プレゼンにもいろいろなフォーマットがあると思いますが、私がつたないながらも身につけた基本形として、
 1.結論を冒頭に、短く述べる。
 2.その理由・意義(Why,What)を3~5センテンスで述べる。
 3.具体的なエピソードを入れる。体験談だとなおよし。
 4.言葉の定義を明確にする。
 5.聴き手のアクションに繋がるHowを提供する。
 6.未来を語る。

と言うものがあります(異論はあると思います)。1分プレゼンでは、これが全く通用しないのです。1~6を列挙するだけで1分を使いそうです。断捨離するしかありません。

・何を捨てるか?
最初の推敲では「結論」「Why,Whatを1つ」「体験談」「言葉の定義」「未来へのアクション」まで絞り込みました。息継ぎせずに早口で1分40秒ほどでしょうか。これをコンマリメソッドに従ってさらに断捨離することにしました。ときめくかどうか、で下書を眺めると……いや全部ときめきます!私の大切な言葉たちです、捨てられません。
ただそうは言っても時間には厳しい神です。1分を越えることは出来ません。また過去、他人のプレゼンが延長しまくったせいで、自分のプレゼン機会を奪われ苦い思いをした私にとっても、時間厳守は大前提です。

・捨てるのではなく、託す
そこで考え方を変えてみました。言葉を捨てるのではなく、前後の言葉をある1つの言葉に凝縮させる。大袈裟に言うと一言に想いを託す、と考えることにしました。すると、解説のいる言葉、一般的ではない単語、補語、修飾語、指示語などを筆頭に、必須とは言えない言葉をバッサリと、いえ、みっちりと主要なワードに集約することができました。これでやっと早口で1分に収まるようになりました。

・予行練習
通勤電車で声に出さず何度か予行練習をしました。原稿を見ながらなら1分で話せるようになりましたが、原稿を見ないとどうしても1~2回はつっかえてしまい1分を超過してしまいます。一言一句丸暗記して念仏のようにそらんじらないと、とても無理です。そこで1分プレゼンの動画を参考にしてみることにしました。皆さんどのように話しているのだろう?

・1分で話せ
伊藤洋一さんの「1分で話せ」をレビューしている動画たちが、だいたい書籍レビューの後に、実際に1分にまとめて話すというチャレンジをしているので参考になりました。それ以外の1分プレゼン動画と合わせて、響くプレゼントそうでないプレゼンの差に気づきました。響かないプレゼンは、内容はさておき、早口でまくし立てているだけなんですね。私の予行練習と同じです。逆に響くプレゼンには抑揚・緩急があり、人に届けるための言葉のパワーを感じました。いわば1分で話過ぎるな「1分で伝えろ」と言ったところでしょうか。

・UXとCX
私はデザイナーでもマーケッターでもないので門外漢ですが、UX/CXの講習を受けた際に聞いた「ペルソナに寄りすぎず特定の個人をターゲットにする」という学びが頭をよぎりました。本田宗一郎さんは、奥様が苦労して自転車を漕いでいるのを見て、原動機付き自転車”バタバタ”を開発され本田技研の創業に繋がったそうです。同じHONDAのフィットは、ある特定の20代後半女性社員をターゲットに作られ、結果、33年間No.1だったカローラを抜いて売上1位になりました。つまりターゲット層を限定するための手法であるペルソナなのに、かえって要素を入れすぎて誰でもない当たり障りのない存在になり勝ちなので、むしろ特定個人をバイネームでターゲッティングした方が実は多数に刺さる、という好事例です。

・あなたへ
では、特定個人に向けてプレゼンする、と言ってもサロンのメンバーとは初対面です。また用意したプレゼンは澤さんがよくご存知のはずの内容なので、澤さん個人に向けるのも変です。そこで、まだお会いした事はないけど、プレゼンの内容をご存じなく、かつ、必要としている「あなたへ」向けてプレゼンすることにしました。絶対に伝えたい、絶対に絶対に届いて欲しい、そんな想いを込めました。当日の会場へ向かう電車の中での決意です。
つまりそれがペルソナじゃないのか?というツッコミはなしです。

・完全したプレゼン原稿全文
「働き方改革を成功させるためのたった一つの方法

働き方改革を成功させるためのたった一つの方法とは何でしょうか?
ずばり、あなたが幸せになること、です。

働き方改革は、ノー残業、テレワーク、多様な働き方などの文脈で語られ勝ちですが、これらは全て How/Doing です。では、そうした働き方をするのは何のためでしょう?
……あなたが幸せになるための手段に過ぎないのです。

幸せな人は生産性で120%、創造性では300%もの成果をあげることが分かっています。そして寿命が7~9年長くなるそうです。
あなたが幸せになれば、生産性と創造性が高まり、勝手に働き方改革が後からついてくるのです。

是非この後、みなさんがお持ちの Being が、あなたが幸せになるための Being となっているかどうか考えてみてください。そして、もしそうでないなら「あなたの幸せ」をゴールに設定してください。

ありがとうございました。」

・本番に際し
今回のプレゼン大会は、オフ会のイベントでした。大人のオフ会と言えば宴会です。ええ例外なく酔っぱらいました。だってだって凄く楽しかったんです。とは言え、酔いと緊張のため、原稿のまま話したら絶対に1分に収まりそうにありません。そこで、ぶっつけ本番、アドリブでさらに短縮し、なんとか58秒で「あなたへ」語りかけることはできました。願わくば伝わっていて欲しい!

・感想
想像以上に大変でしたが本当にやれて良かったです。制約を設け、それをクリアすることで実践的なノウハウが得られました。それに、澤さんの専門分野について面前でプレゼンする、という暴挙を免じていただけてか、プレゼンの神に Good Presentation と評していただけました!まじヤバい、まじリスペクト。


サロンのオフ会でお話した方々には「準備してない、と言っておいて結構してるじゃん!試験前の学生か!」と思われたかも知れませんが、オフ会に向かう電車内でテコ入れしてから1回も練習してなかったので、ビールを流し込みながら必死にイメトレしていた本音が駄々漏れしてたためです。

発表後「どのようにプレゼンを組み立てているのか?」「プレゼンを作るうえでで意識していることは何か?」など聞いてくださった方がいて、こんな私の経験でも、ほんの少しでも誰かの役に立つのなら、と note をしたためました。


私の being の核となる要素は、今回の1分プレゼンにほぼ込められています。これを書いてしまうと、実は私のアウトプットとしてはほとんど書くことが無くなってしまうのですが、今後、この note では今回のプレゼンのネタを掘り下げたり、広げたり、付け加えたりして、主に「サラリーマンが働くことで幸せになるとは」ということを言語化していきたいと思います。

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