見出し画像

プラモデル製作記 マッチボックス 1/72 アエリタリア G-91Y

マッチボックスの「1/72 アエリタリア G-91Y」を作りました。型番は「PK-34」です。

今回のキットは、数年前にリサイクルショップでボロボロの箱を見かけ、中身が離散する前にと思い確保したものです。幸いにも部品に不足は無く、確保後すぐにチャック付きの袋に仕舞って保管したのは言うまでもありません。
一応箱の裏に「日本語説明書在中」と印字(スタンプ?)がありますが、日本語なのは機体の説明と色の名前くらいのもので、またそれも信用していいのかあやしいものとなっています。

箱(としての機能を既に失っている)
箱裏の不安な印字
あやしい日本語説明

マッチボックスといえば、ミニカーを思い浮かべる方が多いと思います。
文字通り「マッチ箱」にダイキャスト製のミニカーが入っているイギリスのブランドで、日本のトミカも影響を受けたと言われています。
経営破綻や買収等を経ていますが、現在もブランド自体は残っていて、日本でもミニカーを販売しています。
元はダイキャストメーカーですが、過去には様々なスケールモデルを出していたことがあり、今回作ったものも、その当時のもののようです。

マッチボックスのスケールモデルは2色での成形が基本で、このキットもグレーとグリーンの成形色となっていました。
実機の迷彩色(NATOスタンダード)から選択したのか、あるいはたまたまミリタリーといえばこの色だったのかはわかりませんが、パーツ分割と迷彩とは似ても似つかないため、そのまま組むと「いかにも玩具らしい」色分けとなってしまいます。

2色での成形

胴体の内側には金型の製造年の刻印があり、1979年とのことです。

1979年の刻印

デカールは台紙の変色こそあれ、それほど見た目には劣化していない印象を受けました(デカールと重なっていた説明書がすごく劣化していました)ので、トップコートを吹いて保護してからそのまま使用することにしました。
ちなみにデカールにアルファベットが振られていますが、これは説明書ではまったく使用されていません。

付属デカール

イギリスのスケールモデルといえばエアフィックスということで、後発のマッチボックスは競合しないマイナーな製品を多く出しています。
今回のG.91Yのようになかなかキット化されないような機体も多く、入手機会も限られると思いますので、これに限らず気になるキットが見つかったら確保しておくのをオススメします。

さて、「アエリタリア G-91Y」ですが、元となった「フィアット G.91」はともかく、この機体を知っている方は相当なマニアではと思います。G.91を知っているだけでもマニアかもしれませんが…
元となったG.91は「戦闘爆撃機/偵察機」としてイタリアをはじめとした数か国で運用されました。
エンジンがオーフュース単発だったG.91をJ85双発とし、設計の見直しによって大幅な性能向上を果たしたのが本機「G.91Y」です。同じくJ85双発のF-5が空対地攻撃も可能な戦闘機として優れた性能を示していたことから輸出は振るわず、イタリア空軍でのみ「地上攻撃機/偵察機」として運用されました。
元となったG.91が「F-86 セイバー」(特に「F-86Kセイバードッグ」)の影響を強く受けたと言われており、実際によく似た雰囲気です。

完成写真はこちら。令和の世にこのキットを完成させた人は数えるほどしかいないのではないでしょうか。
背景は「紙模型工房」様の「背景支援」よりダウンロードしたものです。

完成写真

正直なところ、もうひと回り大きいサイズを想像していたので、双発機の割にはコンパクトだなあという印象を受けました。
実機のサイズもF-86Fと同じくらいで、F-86D/Kよりわずかに小さいらしく、別にスケールが間違っているわけではなさそうです。

先に紹介したデカールは2パターンから選択可能で、

  • イタリア空軍 第32航空団 第13戦闘爆撃機群 「32-10」

  • イタリア空軍 第8航空団 第101戦闘爆撃機群 「8-14」

から選べるようになっています。それぞれ付属デカールより機体番号は「MM6448」「MM6453」とのことですが、どうもMM6453(c/n 2015)の機体が上記の番号をどちらも付けていた経歴があるようで、MM6448(c/n 2010)の機体はどちらの番号も付けていたことはなさそうな模様。
ただ、見た目としてはシャークマウスの機体を作りたいと思い、「32-10」にしました。

そのまま使用したデカールですが、デカールそのものよりも糊の劣化が酷く、シルバリングどころか白化した糊が特にニス部分に目立つような状態でした。
幸い(?)デカールが厚めでトップコートの保護もあってある程度耐えられそうだったので、裏技的な使い方ではありますが、貼り付けた上からクレオスのMr.グルー・アプリケーターで扱いて、劣化した糊をデカールの外へ押し出してから、隙間からマークソフター(旧製品の方)を少し染み込ませて固定するという荒療治をしています。
(たまたま破れることもなくうまくいきましたが、真似しないほうがいいと思います…)

兵装は2種類から選択できるようになっており、キットのままでも「増槽+ロケットポッド」か「ロケットポッド+爆弾」を選ぶことができます。
増槽(210gal?)はF-86同様に前期後期等あるのかもしれませんが、調べて出てくる実機写真とは全体と安定板の形状が異なっているようです。
またロケットポッドはマトラLR155のようですが、発射口の形状がディティール不足のような。爆弾はNATOの1000lb自由落下爆弾だと思います。
他で使うこともあるかも、ということで今回も3Dプリンターでフィン付き増槽とLR155を自作しています。

キット付属の増槽(上)と自作の増槽(下)
キット付属のLR155(上)と自作のLR155(下)
兵装取り付け

それぞれ、BOOTHでの頒布も行っています。

機首横に配置された機関砲は胴体と一体化されてしまっていたため、丁寧に削ってそれらしくしてみました。余力のある方は真鍮棒で作ってしまった方が早いかと思います。(特にシャークマウスのデカールを貼る場合に干渉するので、何らかの対処が必要です)

機首周り

真鍮棒といえばピトー管。説明では主翼両端にピトー管の取り付け指示がありますが、実機写真を見る限り左翼のみのようですね。

箱と合わせて

色々と手を加えましたが、こういう細かな作業が好きな方には、このキット、なかなかいい刺激かもしれません。
もちろんそのまま、大味に作っても楽しめるかと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?