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プラモデル製作記 エレール 1/72 T-28 トロージャン "フェネック"


はじめに

エレールの「1/72 T-28 トロージャン "フェネック"」を作りました。型番は「80279」です。
中古ですが、長期保管されていたようでシュリンクがそのままでした。
90年代に黒箱のパッケージからリニューアルされたものと思います。

箱写真

「T-28 トロージャン / フェネック」について

「T-28 トロージャン」は、アメリカのノースアメリカンで開発された練習機「T-6 テキサン」の後継機として、同じくノースアメリカンにて開発されたレシプロ練習機です。
このうち、特にフランスの「シュド・アビアシオン」(後のアエロスパシアル、現EADS)社にて組み立て、近接航空支援が可能なようにハードポイント追加等の改修を受けた機体を、フランス空軍では「T-28S フェネック」と呼んでいました。
「ライト R-1820」という第二次大戦中の戦闘機にも使用された系列のエンジンを搭載し、戦闘機にも劣らない性能を有していましたが、この「フェネック」では大型爆撃機B-17にも用いられたスーパーチャージャー付きのエンジンに換装されています。

ちなみに、T-28は航空自衛隊でもエンジン強化型の「T-28B」を評価目的で1機購入しており、現在は「浜松広報館 エアーパーク」にて、同じく評価目的に購入した国内唯一の「デ・ハビランド バンパイア」とともに、屋内展示されています。

キットについて

エレール製キットらしく1枚ペラのインストが封入されており、モールドもあっさりとした作りです。
T-28は前輪式の機体であるため、尻もち防止におもりを入れる必要がありますが、インスト指示によると「9g」とのこと。脚がどれも細めで折れやすいため、組み立て後の保管に注意です。

デカールは

  • ベトナム共和国空軍 1st Air Commando TL371/38371

  • フランス空軍 EALA 51-3557

の2つから選択できるようになっていますが、厳密には「フェネック」と呼ばれたのはフランス空軍のT-28Sであり、南ベトナムで運用されたものは同じくCOIN機でも仕様の違う米軍供与のT-28となります。
キット自体は「T-28S」仕様ですが、パッケージのイラストは70mmロケットを19連装するロケットポッド「LAU-3」シリーズと思われるため、後者を製作する場合は吊るし物の帳尻が合わなくなります。
なお、キットには「マトラ Type 361」と思しきポッドが付属しており、外側パイロンに取り付けるようになっています。
これはSNEBの中でも標準の68mmではなく、より小径の37mmロケットを36連装するポッドです。…が、モールドが怪しく「ただの円筒」となってしまっています。
またT-28Sは内側ハードポイントにフランスのSNCASOにて製造された「12.7mm 2連装ガンポッド」が懸架できるようになっており、キットはハードポイント自体が主翼部品に一体成型されていますが、ガンポッドパーツ自体は付属しません。
(一つ後のリニューアルキットでは、ガンポッドパーツも追加されている、らしいです。)

今回はフランス空軍仕様で製作することとして、これらのパーツ、および外側パイロンについては3Dプリントで製作することとしました。

完成写真と改造点

完成写真はこちら。背景はいつもの「紙模型工房」様の「背景支援」よりダウンロードしたものです。

完成写真1

前任のT-6も練習機としてはそれなりに大きなアメリカンサイズなのですが、T-28は更に大きな印象を受けます。
実際には主翼は同じくらいの大きさなのですが、胴体がひと回り長く、更に前輪式で持ち上がっているため大きく見えるのかもしれません。

完成写真2

所属が「EALA」となっていますが、これは「Escadrille d'Aviation Légère d'Appui」のことで、日本語に訳すなら「軽支援飛行隊」でしょうか。
胴体横の部隊エンブレムから「EALA 3/5」かと思います。

完成写真3

クリアな大型キャノピーが目を引きます。
排気管後方は、汚れることが前提で黒くなっています。

完成写真4

兵装は前述したように12.7mmの2連装ガンポッドと、36連装ロケットポッド。
ちなみに内側パイロンは(こんな形状ですが)ガンポッド専用というわけでもなく、ロケットポッドも取り付けできたようです。

完成写真5

前から。
うーん、脚が華奢ですね。補強しておいた方がよかったかもしれません。

下から

吊るし物を下から。
今回は見送りましたが、ポッド式のSNEBだけでなく、レールランチャータイプのロケットも運用されていたようです。

箱と合わせて

今回はエレールの「T-28 トロージャン "フェネック"」を製作しました。
出来上がってみると練習機としては大柄な機体、攻撃用途に使われたのも頷けます。
知名度が低く、国内メーカーではキット化されていないので、興味のある方はぜひ探してみてください。


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