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”比較優位の原則”から考える「仕事の選び方」と「最適な人材配置」

今日のnoteは、”比較優位の法則”をベースに考える「仕事の選び方」と「最適な人材配置」についてです。

今日、オンラインサロンでご一緒している方の紹介で、転職を考えている方と面談できる機会をいただき、その中で比較優位の話をしました。自分で切り出したのに上手に説明できなかったのでnoteにまとめてみますw


”比較優位の原則”とは

”比較優位”とは、イギリスの経済学者デヴィッド・リカードが発見した、貿易の原則で、2国間で貿易をすると、実は両方の国にとって非常にいいことがある、ということです。

例えば、A国とB国にそれぞれ労働者が200人いで、米と自動車を生産するとします。まず米について、A国は労働者100人で生産量が1000、一方B国は、同じ労働者100人で生産量は900で、全体の米の生産量は、合計1900になります。次に、自動車について、A国は労働者100人で生産量が500、B国は労働者100人で生産量が300です。全体の自動車の生産量は、合計800になります。A国は、米も自動車もB国よりも生産力が高く、これは絶対優位と言います。

しかし米と自動車それぞれを相対的に見るとどうでしょうか。米はA国が1000、B国が900なので、B国はA国の90%の生産力があります。一方、自動車はA国が500、B国が300ですから、B国はA国の60%の生産力しかありません。このように相対的に見たときに、B国はA国に対し、米生産のほうが優位だと表現します。これが比較優位の定義です。

ここで、A国とB国がそれぞれ得意分野に専念して、それ以外のものは相手国から輸入しあうと考えてみます。A国は200人の労働者のうち、生産力の高い自動車に180人、米に20人従事させ、自動車900、米200を生産します。一方、B国は相対的に優位な米の生産に特化し、労働者200人全部を米の生産に従事させ、米1800を生産できるようになりました。A国とB国の生産量の合計は米2000、自動車900となり、先ほどよりも米、自動車ともに100ずつ生産量が増える結果となりました。。

一見、A国はどちらの生産量も絶対的に多いのだから、米も自動車も自国で生産して賄えばいいように感じませんか?でも、A国、B国それぞれが自国の得意とするものの生産に特化し、他は貿易によって賄うことで、より多くのものを得ることができて全体の利益が高まる結果となる。これが、国際貿易は双方にとって利益があるという経済理論=”比較優位の原則”です。

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「仕事の選び方」も同じ

以前、↓の記事でも”比較優位の原則”を少し持ち出しながら書いたことと重複します。

「サッカー選手になる!」とか「映画俳優になる!」とかやりたいことが決まっている場合を除いて、基本的に仕事の選び方も”比較優位の原則”と同じだと考えています。

貿易と同じで、社会全体の生産や幸せの総量を増やそうと思えば、一人一人が得意分野に集中して分担し合ったほうがより豊かになれるはずです。

そして、ここで言う得意分野というのは他の人と比較して、少ないエネルギーや努力でできることを指します。

逆説的な表現で、「みんなが嫌なことが仕事の本質で、その中で自分は負担なくできることを探すのが良い」と表現する人もいますよね。(2チャンネル作った、ひろゆきさんとか)

自然とできてしまうことを中心に周りにインタビューしたり、やりたくないことをリストアップしたりする自己分析をしながら仕事探しをしていくと自分のありたい姿が見えてくるかもしれません。


「最適な人員配置」も同じ

また、比較優位の考え方はマネジメントにこそ重要です。

たまに役割に対して、メンバーごとの特徴は役割ありきで配置するマネージャーがいますが、このタイプはジャイアンに憧れていると思うので例外とします。

最近、より顕著な傾向だと思いますが人の特徴をできるだけ正確につかんで、適材適所を図るという考え方が主流になりつつあります。Aさんは営業に向いている要素を持っている(マインド、スキル、性格など)ので営業に、Bさんは事務に向いている要素を持っているので事務に、というような考え方です。

この考え方に何の反論もありませんが、欠点としては、仕事の種類と従業員数に限りがあるために全員を適材適所な思想できれいに割り当てることが物理的に不可能なことがあります。

その点で”比較優位の原則”は優れていて、Aさんが営業をやりBさんが事務をやるのは、AさんのほうがBさんにくらべてどちらの仕事でも成果を上げられたとしても、営業においてAさんがBさんより優れている度合いが、事務において優れている度合いよりも大きいからという考えになります。


例えば、営業職が5名、事務職が5名必要な組織があって、今いる10名のうち、7名がどちらかといえば営業職向き、3名がどちらかと言えば事務職向きだったとします。

このような場合、事務職向きの人は事務職に配置するとして、7名の方のうち誰を営業職にするのかですが、絶対優位の考え方で適材適所をすれば残り2名は仕事の能力以外のポイントなどで決定することになります。(最悪、揉めます)

一方、比較優位の原則にのっとれば、この7名のうち、営業職に比較優位を持つひとから5名が営業職をやり、残った2人が研究職につくのが、組織の成果の最大化の点からは最適と言え、非常にシンプルになります。(〇〇君は器用に何でもできるんだが・・こういうメンバーがもっといればなぁって思っているマネージャーは要注意!!)



最後に

僕は、人材サービスは(も)「社会の生産性向上」、「個人の幸せ」に寄与することで価値が認められると考えています。

”比較優位の原則”は人材サービスを介して、できるだけ多くの適材適所を生み出すべく大事にしている考え方にしています。

この考えの非常に優れたポイントとしては、外側と比較しているように見えて、どこまでも自分自身の内側に動機があることだと思います。

今は〇〇業界が有望と聞いたから、苦手でもチャレンジしてみよう!ではなく、自分が他の人よりも得意なことから自分のやりたいことを探していく自分と中心にしたアプローチであり、いろいろな情報が飛び交う転職マーケットの中で、混乱しすぎたり踊らされたりしないでいるためにも非常に大切な考え方です。

今日のnoteは、今から人材サービスで従事したいと考えている人や転職を考えている人の参考になれば嬉しいなーと思っています。

では、また明日!



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