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第16回キャリアコンサルタント試験学科試験解説(問1〜50)

第16回キャリアコンサルタント学科試験解説(問1〜10)

全体的に15回試験より難しくなった印象です。

特に問11〜24までは難問、捨て問の連続です。逆に25問から最後までは易しい問題の連続となっています。

個々に見ていきましょう。

第1問「平成 30 年版労働経済の分析」(厚生労働省)において述べられた、わが国の労働者の自己啓発に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。
・正社員が自己啓発を実施した 2 年後の効果としては、収入の増加には有効だが、仕事の満足度向上にはつながっていない。(P266参照ー仕事の満足度も上がっている)
・自己啓発実施を妨げる要因として、男性は仕事の忙しさ、女性は家事・育児の忙しさが最も多く挙げられている。(P269参照-自己啓発非実施者)
・自己啓発実施者の一日あたりの自己啓発時間は、就業時間が長い者ほど平均時間が短い。(P270参照)
・キャリアコンサルティングを行っている事業所は、行っていない事業所に比べると、正社員の自己啓発の実施が高まる傾向にある。(P271 参照)

✅試験機関から追加情報が出されました。全員正答です。

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問2 職業能力開発推進者に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
1. 事業内職業能力開発計画の作成と実施の業務を行う。
2. キャリアコンサルタント等の職業能力開発推進者の業務を担当するために必要な能力を有する者から選任することとされている。
3. 事業内職業能力開発計画を、厚生労働省が定める様式、記載項目に従って作成する。
4. 労働者が職業能力開発を受けるための労務管理上の配慮に係る相談・指導を行う。

✅特別な様式はないですので3が正解です。

問 3 サビカス(Savickas, M. L.)が示したキャリア・アダプタビリティの次元に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
1. キャリア自信 (career confidence)
2. キャリア自律 (career autonomy)
3. キャリア関心 (career concern)
4. キャリア統制 (career control)

・関心、統制、好奇心、自信(かとうこうじ)ですので正解は2です。

問 4 スーパー(Super, D. E.)のキャリア自己概念の理論に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
1. キャリア自己概念は、自己と他者、自己と複数の環境との相互作用のなかで修正、調整される。
2. キャリア自己概念は、ある時期(特定の発達段階)に決定されるものではない。
3. キャリア自己概念は、個人が職業に関連すると考える自己の特性群を指している。
4. キャリア自己概念は、主観的自己と客観的自己の両者が、分化しながら構築される。

✅1.2は「新版キャリアの心理学第2版」P39に記述があります。4は分化しながらというのは間違いにて正解は4です。

問 5 シャイン(Schein, E. H.)が提示した、人が生きている領域の 3 つのサイクルに関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
1. 家族関係のサイクル
2. 生物学的・社会的なサイクル
3. 私的空間のサイクル
4. 仕事・キャリアのサイクル

✅シャインの3つのサイクルは「新版キャリアの心理学第2版」P153〜154に記述があります。正解は3です。

問 6 コクラン(Cochran, L.)の理論に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
1. 1990 年代にキャリア分野にナラティブ・アプローチを導入した先駆者と言われている。
2. 意味づけがキャリアの中心的主題であることから、語りの有効性を論じている。
3. 物語が人・機動力・機会・意味・場所・出来事といった要素を統合または構成する手段であると指摘している。
4. 質問技法を、「ロール・モデル」、「よくみた雑誌」、「お気に入りのストーリー」、「モットー」、「思い出せる最も昔の記憶」の 5 つに限定して簡素化した。

✅コクランは初登場ですが、問題を読むとナラティブ・アプローチの理論家というのがわかります。項目4はサビカスの質問内容です。正解は4です。

問 7 キャリアの理論に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
1. スーパー(Super, D. E.)は、個人は多様な可能性を持っており、さまざまな職業に向かうことができると考えた。
2. レビンソン(Levinson, D. J.)は、人間の個人差と職業の職業差をうまく合致させることが、よい職業選択であると考えた。
3. クランボルツ(Krumboltz, J. D.)は、職業選択は学習の結果であって、過去に起こった出来事と将来起こるかもしれない出来事とを結びつけて解釈した結果であると考えた。
4. ヒルトン(Hilton, T. L.)は、意思決定は環境からの入力との不協和、それに対する耐性および再調整によって行われるものであり、職業選択も同じメカニズムで行われると考えた。

✅項目2が職業選択のマッチングですので、レビンソンではなくパーソンズです。正解は2です。

問 8 ゲシュタルト療法に関する次の用語のうち、適切なものはどれか。
1. エンプティ・チェア
2. スケーリング・クエスチョン
3. フェルト・センス
4. ミラクル・クエスチョン

✅ゲシュタルト療法のキーワードを覚えていればすぐ回答できます。正解は1です。あとの3つは聞いたことがないです。確実に正解したいところです。

問9 カウンセリングの理論や心理療法の名称とその提唱者、関連する用語に関する次の記述のうち、組み合わせとして適切なものはどれか。
1. フロイト(Freud, S.)、精神分析、ヒステリーの研究
2. ロジャーズ(Rogers, C. R.)、T グループ、成長への意志
3. パールズ(Perls, F. S.)、ゲシュタルト療法、脚本分析
4. 森田正馬、内観療法、迷惑をかけたこと

✅2のTグループはレヴィンで、ロジャーズは「ベーシックエンカウンターグループ」です。3のゲシュタルト療法は問題を分析はせず、「今・ここで」いかに話しているか、何を話しているかを問題にします。4の内観療法は吉本伊信です。正解は1です。

問 10 精神分析に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。
1. 人間の心的体験の世界に無意識という領域を考え、意識と無意識を連続的に捉えて概念化した。
2. フロイト(Freud, S.)は、神経症の治療法として、初めは催眠、次いで前額法、最終的に自由連想法を用いた。
3. 人格の構造として、自我、超自我、エス(イド)を仮定し、パーソナリティや葛藤のありようを理解した。
4. クライエントが過去から持ち越してきた対人関係の歪みをカウンセラーに向けて展開する現象をラポールと呼んだ。

✅ラポールの言葉は、この試験を受ける方なら誰しも知っています。正解は4です。お助け問題です。

問11〜20解説

問21〜30解説

問31〜40解説

問41〜50解説


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