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これからの時代に必要なキャリアを身に着ける方法【プロティアンキャリア】

これまでキャリアというと、会社に入り、60歳で退職するまで同じ会社で務めるのが一般的であり、その会社内で認められ昇進していくことが重要でした。そういった経験や地位をキャリアと考えられていました。

どんな仕事をするのかではなく、どんな会社を選ぶかが優先されていました。ゆわゆる就社です。会社に入り、年功序列、終身雇用といった制度で会社と個人は繋がれていました。



今回ご紹介するのは、ボストン大学教授のダグラス・T・ホール教授の「プロティアンキャリア(変幻自在のキャリア)」についてです。

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プロティアンとは聞き慣れない言葉ですが、予言と変身の能力を持つギリシャ神話のプロテウスにちなんで変幻自在なキャリアを表しています。

ホールの考えるキャリアの定義

キャリアとは、生涯にわたる期間において、仕事に関する諸経験や諸活動と結びついており、個人的に知覚された一連の態度や行動である。」と定義しています。

この前提として、4つの考え方があります。

1、キャリアとは、早い昇進や遅い昇進を意味するものでもない。

2、キャリアにおける成功や失敗は、キャリアを歩んでいる本人によって評価されるのでり、他者によって評価されるわけではない。

3、キャリアには主観的なキャリア(個人の成長に伴って変化する価値観、態度、動機)と客観的なキャリア(特定の仕事のオファーを受け入れたり拒否したりする選択行動)の双方を考慮する必要がある。

4、キャリアはプロセスであり、仕事に関する経験の連続である

要するに、個人も組織内での出世を前提としたキャリア形成ばかりを求めるのではなく、個人の仕事における心理的成功を目指す自己志向的なキャリアを求めるようになったということです。

プロティアンキャリアと従来のキャリアの比較

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従来のキャリアはまさに会社人間という、会社のため、組織のために働いてきた人たちのキャリアです。

プロティアンキャリアは、まさにこれからの働き方ではないでしょうか。組織に依存せず、自らのスキルを活かし、生きていくキャリアだといえます。

プロティアンキャリアを身に着けるにはどうすれば良いのか

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ホールは心理的成功のためには「アイデンティティ」「アダプタビリティ(適応能力)」が必要だと主張しています。

アイデンティティとは自身の興味・価値観・能力などに対する自己理解の程度、および過去と現在と未来の自己概念の統合の度合いです。

アダプタビリティとは以下の4つを意識的、かつ継続的に行おうとする傾向及びその準備度であると定義されています。。

1.反応学習する:『変化する外部環境からのサインを読み取り、その要求に反応したり逆に環境に影響を及ぼしたりするために、役割行動を発展させたり最新のものにしたりする』
【世の中の環境変化に対応して自分のキャリアをあわせていくこと】

2.アイデンティティの探索をする:『アイデンティティの維持や修正を行うために、自己に関する完全かつ正確な情報を得ようと試みる』【やりたいことやありたい自分を見つける努力(学習や経験)をすること】

つまり、自分はこういう人間であるという軸と過去と現在と未来に至り、ぶれない自分というものを持つということです。

3.統合力を備える:『自分の行動とアイデンティティの一致を保ち、環境変化にタイムリーかつ的確に応える』
【環境変化に適応する能力を備えること】

4.適応モチベーションを持つ:『1〜3の適応コンピテンス(適応する能力)を発達させたり、状況に対して応用させようとしたりする意志。』
【組織に依存せず、環境変化に対応できる自分らしいキャリアを形成したいという気持ちを持つ】

そしてアダプタビリティは次のような関数で表現されています。

アダプタビリティ=適応コンピテンス✖️適応モチベーション

適応コンピテンスと適応モチベーションを双方高めていくことが必要となります。

組織内で心理的成功を獲得する方法

⚫️すでに組織の中に存在し、日常的に身の回りで活用することができる「天然資源」を活用する。

天然資源=職務、チーム、各種委員会、フィードバック、メンタリングなど

組織にとっても、これらの資源を活用するほうが、速くかつ低コストであり、実際の仕事を通じた個人の成長を促進し、個人を巻き込みながら、組織の目標や戦略の実現に貢献することができ好都合である。

⚫️「天然資源」の中でも、仕事をともにする他者との人間関係が重要である。

一緒に働く人々は、個人が最も日常的に接する資源であり、個人の学習に大きな影響を与える。


まとめ

変幻自在のキャリアとは、環境に変化に合わせ、自分のキャリアを主体的に変形させていくことです。

その中で、自分の中で感じられる成長や仕事の満足感を成功と捉え、「自分を見つめ直し」「自分は何をしたいのか」「自分は社会に対し何ができるのか」ということを常に自問自答していくことが重要だと言えます。


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