LE LABO 解説
2006年NYC Elizabeth Street 233にて創業。
2014年エスティーローダーグループの傘下に入る。
LE LABO 創業者
Eddie Roschi(エディ・ロスキー)
Fabrice Penot(ファブリース・ペノー)
ブランド名の由来
LE LABO(実験室)というコンセプトの背景には、
人々に創作の裏側にある研究室を覗いてもらいたいという考えからLE LABOというブランド名となったそうです。
LE LABOのスタイル
ニューヨークの街と日本の哲学、侘び寂び、
そしてソローの思想に強く影響を受けている。
LE LABOの特徴
真の香水と呼べるような芸術性と職人芸を体現する魂が込められた製品作りを目指しており、原料費に一切の制限をかけず、調香師の創造性を最大限発揮できる自由な環境作りを目指している。
LE LABOにはメイド・トゥ・オーダー方式が用いられており、店内で販売されている好きな香りとボトルサイズを伝える事で、実際に調合室の中で調合している様子を見学しながら商品を受け取る事が出来るという非常に珍しいサービスを行なっている。(一部店舗限定)
メイド・トゥ・オーダー方式を採用した理由として、その場で調合してお客様にお渡しする事により、お客様の知識を深めて頂くという事に加え、より新鮮な香りを体験して頂きたいという想いが込められている。
LE LABOのフレグランスやキャンドル等の製品には、ラベルに名前や好きなメッセージ(最大23文字)を入れる事が出来る。
レフィル
使用済みのフレグランスボトルを渡す事で、
同じ香りを詰め替える事が出来る。
(一部店舗限定)
香水の名前
主役となる香料と数字がタイトルとなっている。
数字は使用している香料の数を表しており、調香師のスタイルとも言える。
画家に例えると沢山の色を使う画家もいれば、単色を好んだり少ない色で絵を描くタイプの画家もいるように、調香師もそれぞれスタイルを持っていると語っています。
本題と考察
ここからはLE LABOの歴史と会社を支えた二つの香りを紹介すると共に、彼らのスタイルである侘び寂び、ソローの思想について考察
LE LABO一号店があるエリザベスストリートには多くの銅像、街を彩る豊かな緑と小さな公園が点在しており、エディとファブリースはゆったりとした時間を過ごせる野外美術館のような街並みを気に入り、お店を構えたのかもしれませんね。
そんな二人は日本の代官山にLE LABO二号店をオープンする事になるのですが、それは彼らが大切にしている侘び寂びという考え方や日本の伝統、文化、日本人が持つ繊細さや気遣いなどを気に入り、日本という国を選んでくれたのではないかと思います。
香りについて
LE LABOはクラシックコレクションの大部分を占める10種類の香りと共に創業されました。
なかでも創業当初ベストセラーとなり会社の成長を支えたローズ31は売り上げの60%を占めるほど人気だったそうです。ローズ31は中性的な種類の薔薇を使い、性別を選ばず非常に長持ちする香りです。ローズ31の功績もあり、新店舗をオープン、新製品の開発も行い2011年頃にサンタル33が登場します。ご存知の通りサンタル33もベストセラーとなり、この二つの香りはLE LABOを代表する香りとなりました。
侘び寂び
日本人が大切にしている侘び寂びという考え方は、主にボトルデザインとリフィルに表れているのではないかと考えていて、とてもシンプルなボトルに侘び(質素な物にこそ趣を感じること)、長く使えるリフィルを寂び(時間の経過によって現れる美しさ)として表現しているように思います。長く使うことでボトルに擦り傷が付き、ラベルが剥がれていく様相は香水を大切に扱ってきた事を示す証であり、侘び寂びという概念を上手く表していると感じました。
ソローの思想
彼らは環境問題に対する意識の高さがあり、動物性製品、防腐剤、着色料などを使用しないと明言しています、その考え方にはソローの思想が大きな影響を与えているのではないかと思います。
Henry David Thoreau
ヘンリー・デイヴィッド・ソロー
森の生活をはじめ、人間と自然との関係をテーマにした作品で知られる人物であり、現在の生態学に通じる考え方を提唱したことから、アメリカでは環境保護運動の先駆者としても認知されています。また、ソローは不服従の人としても認知されており、1846年アメリカにおける奴隷制度やメキシコ戦争に対する抗議として、税金を払わない納税拒否という手段を取る事で、政府に対して抗議をしました。その結果収監されてしまうが、大勢の人々にその名が知れ渡り、非暴力を貫いた市民としての抵抗は後のガンディーにまで影響を及ぼしたとされます。
エスティーローダーとの関係性
2014年頃にLE LABOはエスティーローダーに買収されています。ブランドが巨大グループの傘下に加わると、より大きな収益を得る為に方向性の変更を余儀なくされ、ブランドの本質が崩れ本来の良さが損なわれる事が往々にしてあります。
LE LABOのインタビュー記事にはエスティーローダーとの関係性について言及があり、以下のようなものでした。
彼らは非常に優れたブランドマネージャーである。ブランドの本質を崩してしまったら、5年後にあるべき姿に成長出来ない事をよく理解しており、LE LABOが主体性を持って自由に取り組める環境作りを行っているそうです。その為、LE LABOの新しい店舗や新製品の開発に関してLE LABOのチームメンバーが特権を握っていると語っています。
感想
LE LABOについて調べていくなかで、創業者達の芸術や職人芸に対するこだわり、環境問題に対する配慮など、創業者2人の思想がブランドに反映されており、エスティーローダーに買収されてもなお一貫性を保っている事にブランドとしての信念や情熱を感じます、彼らにはこのまま独自のスタイルを長いこと貫いてほしいなと願っています。香りに関してはROSE31のローズ×ウッディ、雨上がりの香りペトリコールを表現しているBAIE19などニッチ特有の尖りを感じながらも優しく香り肌馴染みもよい物が多く、ニッチにしては珍しいブランドではないかと思いました。
最後に
これからも香りに関して書いていけたらなと思います。何卒よろしくお願いいたします。
参考文献
公式ホームページ
Wikipedia
日本、海外インタビュー記事沢山。