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短編官能小説

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1万字程度の官能短編集です
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記事一覧

【官能小説】自分勝手なお願い【短編】

本作品はR18指定作品です。 18歳未満の方の閲覧は固く禁止しておりますので、18歳未満の方はブラウザバックをお願いします。 本編1 懐かしい女から連絡が来た。女は僕がよく行く喫茶店で店員をしていた。年齢は当時四十五歳で、僕とは親子ほど年が離れている。そしてあまりよく見ない、珍しい名前をしていた。 『方波見|≪ほなみ≫です。私のこと、覚えていらっしゃいますか』 2  方波見さんは胸もお尻も控えめな女だった。だけどそれを補って余りが出るほどの高い身長と、モデルのように均

【官能小説】贖罪【短編】

本作品はR18指定作品です。 18歳未満の方の閲覧は固く禁止しておりますので、18歳未満の方はブラウザバックをお願いします。また、当作品には過激な描写があります。苦手な方、嫌いな方もブラウザバックをお願いします。 本編 1  眩しい光が目に入った。見ると、中途半端にめくれたレースの隙間から陽の光が顔を覗かせてリビングの床を反射させていた。  冨高祐子は椅子から立ち上がり、レースを直した。同時に、紺色の遮光カーテンも閉めた。部屋の中がすぐに暗くなった。  照明をつけよ

【官能小説】いい女【短編】

 十二月の風が頬を撫でた。すり切れるように冷たい風は、朝よりもだいぶ鋭さを増している。白井由香里は買い物袋を持ち直し、歩き出した。  スーパーから自宅までは五分とかからない。雨の日でも買い物へ行くには非常に便利だ。考え事をする暇もなく、もう由香里の住むアパートが目の前に見えはじめた。  彼女の自宅は同棲者向けのアパートで、間取りは3LDKもある。元々は婚約者と共に住むために借りた部屋だが、今ではその婚約者の姿はどこにもない。同棲の一週間前に彼の浮気が発覚し、別れたからだ。  

【官能小説】虎穴に入らず虎児を得る

 笠原陽子は戸惑った。目線が目の前に座る男と手に持った履歴書を何度も往復した。履歴書には二十三歳と記載されている。これが事実なら、この男は自分よりも七歳年下ということになる。しかし目の前に座っている人物が、陽子の目にはどう頑張っても中学生ぐらいの男の子にしか見えなかった。 「あの、大変失礼なのですが、身分証を拝見させていただいてもよろしいですか?」 「あ、はい。どうぞ」  そういって、彼が財布の中から車の免許証を出してきた。陽子はそれを受け取り、履歴書と照らし合わせた。名

【官能小説】繰り返しループ【短編】

 手が詰まる。  いくら考えてもこの先の文章が思い浮かばない。頭の中でイメージができても、適切な言葉が浮かんでこない。こういうことはよくあるのだが、よくあることだからこそ僕は頭の中で描いたイメージを文章へ起こせないことにイラついた。  いくら頭を振っても消すことのできないイラつきを抱いたまま、僕は部屋を出た。廊下を歩くたびに胸へつっかえた気持ち悪さが僕の存在そのものを否定して、僕はさらにムカついて、遂には普通に歩くこともできず、わざと廊下を鳴らすように足を進めた。目指している

【官能小説】浮気性の年下彼氏

「浮気してるでしょ」  絵里子は詰め寄った。同棲中の彼氏である信彦が、昼間に自分以外の別の女性と歩いているところをたまたま見かけてしまったのだ。その場で詰め寄ってもよかったが、仕事中ということもあり、その場は写真だけ撮ってあとにした。そして帰宅したいま、あらためて彼に詰め寄っているのだ。 「だからなに? どこで何してようが俺の勝手でしょ」  清々しいほど憎たらしい返事が返ってきた。浮気を隠す気は一切ないらしい。 「それは認めるっていう意味? ねえ、これで何回目よ」 「

浮気して美人弁護士に服従しました【官能小説】

 川上修二の足取りは重かった。一歩ふみ出すごとに、心が罪悪感で押しつぶされそうになる。隣を歩く町田優香が時折話しかけてくるが、適当な相槌しか打つことができない。そんな彼女が笑顔を向けてくることが、なにより心苦しかった。  優香とは五年の付き合いになる。高校二年生の時に修二から告白した。彼にとっては初めての彼女だった。自分にはない天真爛漫なところに惹かれ、誰にでも好かれる明るい性格に何度も助けられた。高校卒業後は同じ大学に進学し、今は半同棲のような生活を送っている。すでに彼女

【ss官能小説】自演

 床に座って両脚を開き、漆黒に覆われた秘部をさらけ出した。人に見られる羞恥が肺を押し潰し、息が絶え絶えになる。  苦しい。  苦しくて、苦しくて、それでも彼を喜ばれるためにやらなければならなくて、私は心を痛めつけながら目を閉じた。目の前に広がる暗黒に少しの安心感を覚えながら、同時に今までにない心臓の高鳴りが軀の内側から聞こえた。全身の血が沸騰し、頭の中を真っ白にする。私は彼の道具。そう思いながら、私は漆黒に生い茂る秘部に右手を伸ばした。  今から行う行為がどれだけ恥ずかしいこ

【官能小説】身勝手な人

注意 この小説には暴力的な表現が含まれています。(SM、凌辱等) 苦手な方はブラウザバックをお願いします。  三ノ輪駅近くの洋服店前には、今日も数人の男たちがいた。まだ朝の九時だというのに、皆どこか浮ついた雰囲気を漂わせながら、しきりに何かを待っている。  信号が青になったのを見て安藤峰子は歩き出した。ほぼ毎日といっていいほどこの男たちを見るのが苦痛で仕方がない。裏道を使う手段もあるが、彼女が経営する『安藤書店』へ行くにはこの道を真っ直ぐ行くのが一番早い。  ふと男たち

【官能小説】普通と苦痛

 ふと嫌な予感がした。また彼が女を連れ込んでいるような、そんな予感だ。  昔ながらの日本家屋の前で、滝本恵美は門扉を開かずにただ玄関を眺めていた。引き戸式になっている屋根付きの和風門扉から見える自宅は確かに彼女の家であったが、全く他人の家である雰囲気が所狭しに漂っていた。確認のために表札を見ると、しっかり『滝本』と書いてあったが、他人の家である雰囲気がやはりぬぐえなかった。  恵美は踵を返して自宅を後にした。用もないのに向かった先は近所のスーパーで、昨日数日分の買い物をしたに

【官能小説】コトダマ

 電車の車窓を叩きつけるように、いくつもの雨粒が斜めに走りだした。降り出した雨は徐々に勢いを増していき、最寄りの駅へ着くころには大粒の雨に変わってザーザーと地面に降り注いでいた。  改札を抜けたところで藤嶋晶は足を止めた。あいにく傘を持っていない彼女は待ちぼうけをすることになった。それもこれも、予報になかった雨のせいだ。  改札前には彼女と同じく、待ちぼうけを食っている人が何人もいた。皆一様に藍色の空から降り注ぐ飴細工のように白い雨を眺めていた。中には濡れることを恐れぬ強者も