【官能小説】特別な関係【1/X】
「藤井さーん」
支払い窓口から中年の女性が声をかけてきた。藤井は立ち上がり、歩を進めた。先ほど声をかけてきた女性とはもう何度も窓口で会ったことがある。向こうも気が付いているはずだが、一ヵ月に一度くる男のことなど覚えていないのか、はたまたそれが院内での決まりなのか、事務的な口調で名前を聞いてくる。
「お名前お願いします」
「藤井良介です」
「ありがとうございます。それでは精算機でお支払いをお願いします。お大事になさってください」
そういって中年女性は二枚の紙と保険証を