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商工中金が完全民営化へ

こんばんは。
今朝の日経新聞で、政府が商工中金の保有株を売却する方向で調整している旨の記事が出ていました。

商工中金とは

まず、簡単に商工中金がそもそもどういう組織なのかおさらいです。
中小企業に深く関係する金融機関なのでご存じの読者の方も多いかと思います。

「株式会社商工組合中央金庫」が、正式名称です。
もともとは1936年に、商工組合中央金庫法に基づいた政府や中小企業団体が出資する協同組織金融機関「商工組合中央金庫」として設立されました。
中小企業団体、すなわち協同組合などに所属する中小企業に対してのみ融資を行ってきました。

2008年に、商工組合中央金庫法が廃止され、株式会社商工組合中央金庫法に基づいた、特殊会社「株式会社商工組合中央金庫」が設立されました。
株式会社という名前はついているものの、国(厳密には財務大臣)が発行済株式総数の46.5%を保有しています。

設立当時、最終的に完全民営化を図り、会社法に基づく株式会社に移行する計画が発表されました。
しかし、その後、「中小企業者及び中堅事業者等に対する資金供給の円滑化」が主張され、政府保有株式の処分は行われないままと現在まで存続してきました。

現在、すべての都道府県に最低一か所は支店があり、店舗数は国内100ヵ所(出張所・営業所含む)だそうです。

商工中金の融資先

商工中金は、中小企業に深く関係する金融機関だと申しましたが、商工中金の融資先は中小企業団体に所属する中小企業のみです。

具体的には、中小企業等協同組合、事業協同組合、事業協同小組合、火災共済協同組合、信用協同組合、協同組合連合会、企業組合、協業組合、商工組合、商店街振興組合、生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、酒造組合、酒販組合、内航海運組合、輸出組合、輸入組合、市街地再開発組合およびそれらの連合会、中央会といった中小企業団体です。

なので、そういった団体に所属していない、中小企業経営者の方も多くいらっしゃるかと思います。

2016年の不正行為

不名誉なことではありますが、商工中金がメディアで話題になったのは、平成28(2016)年から29(2017)年にかけて報道された「危機対応業務等における不正行為事案」です。

平成28年10月24日に、商工中金が内部で調査を行ったところ、職員による取引先の試算表等の数値・日付の入替や変更が発覚し、重大な問題となりました。
融資を行うために、商工中金の職員が、融資先企業の決算等のデータを不正に改ざんしたのです。

それ以外の業務についても不適切な運営実態があったため、平成29年10月25日に行政処分を受けています。

完全民営化に向けて

2008年に、商工組合中央金庫法が廃止され、株式会社商工組合中央金庫法が制定された際に、最終的に完全民営化することが決まりました。
ただ、その後リーマンショックや東北大震災もあり、民営化が見送られてきました。

ここにきてようやく、経済産業省の有識者会議で民営化に向けた議論が進んでおり、日経新聞によれば早ければ2025年度に政府による株式売却が実現する可能性もあるようです。

また、現在は商工中金の代表取締役の選定に政府認定が必要なのですが、それも廃止する方向、とのことです。

株主によるガバナンス機能を強化し、過去のような不正防止にもつなげていただきたいです。

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