宮﨑駿監督『君たちはどう生きるか』感想(ややネタバレあり)
スタジオジブリの映画『君たちはどう生きるか』をようやく観てきました。
以下、若干ネタバレありの感想です。
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自分の中では、正直に言うと消化不良、ストーリー展開が「どうしてこういう流れになるのだろう」「なぜこれが禁忌扱いになっているのだろう」という部分が少々分かりづらかったです。
しかし、ファンタジー要素は、ジブリ作品らしさが活きていて、物語のラストもハッピーエンドになっていて良かったですね。
私の中では、『風立ちぬ』より良いと感じました。(といいつつも『千と千尋の神隠し』を観たときの感激には届かないという感じです。)
もし、富野由悠季監督がこれを観て何かコメントを残すことがあれば、聞いてみたいものですね。
吉野源三郎の原作との直接的な関連はわずかで、宮﨑駿監督のオリジナルという感じでした。
しかしながら、主人公・眞人が亡き母が残してくれた『君たちはどう生きるか』を読んで涙を流しているシーンに感情移入してしまいました。
おじさんがコペル君に教示している挿絵や、コペル君が友達を守れなかったことに負い目を感じ、しかしそれを乗り越えて友情を取り戻す話に、この眞人少年も母への想いと合わせて感激の涙を流したのではないか、勝手にそんな事を考えていました。
余談ですが、昨年壇ノ浦に旅行に行った際、電車内でこの原作を読み通し、コペル君と友人たちの話に年甲斐もなく車内で涙をこぼしてしまいました。コペル君と同じ年齢のときにこの作品に出合っていれば、自分の道徳観・倫理観も地に足のついたものになっていたのではないかと感じました。
ㅤ映画の終盤で、大叔父が「平和で豊かな世界をつくる」ことを眞人に提案し、結局それは生が始まる前の世界である塔の崩壊と共に為し得なかったのですが、現実に戻った眞人(≒宮崎駿)がこの時のことを忘れず・胸の奥に秘めながら、平和で豊かな世界をつくることに踏み出していこうと決意していったのではないでしょうか。映画を観たひとりひとりに「君たちはどう生きるか」という問いかけを残して。私はそう思いたい。
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