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Fractal Audio Systems Axe-FX III Firmware 24(FW24.05) アップデート 概要紹介&レビュー

先日、Fractal Audio Systems Axe-FX IIIのファームウェアバージョン24のアップデートが公開されました。
FW24.00の公開後、バグフィックス版のFW24.01、DELAYブロックの挙動調整や入力段のノイズゲート機能が調整されたFW24.02、バグフィックス版のFW24.03と更新され、AMPブロックの多数のモデルに改修を施したFW24.04の後、2/2(金)にFW24.05アップデートが入っています。

本記事ではFW24.00からFW24.05に至るまでの更新内容をまとめてみました。
今回も更新内容が多い為、記事自体もかなり長くなってしまい見辛いかもしれませんが、あらかじめご了承ください。


アップデート内容について

FW24.00から順にリリースノートの内容と要点についてご紹介します。



FW24.00

  • スピーカーコンプレッションとアンプの相互作用モデリングの改良

  • Recto 1 アンプモデルのマスターボリュームのテーパーをより実機に近づける掛かり具合へ変更

  • JS410 アンプモデルにグローバルマスターボリュームを追加。(旧来のマスターボリュームはチャンネルマスターボリュームに改称)

  • USA MK V Red アンプモデルを追加

  • USA JP IIC+ アンプモデルのモデリング精度改良

  • TX Star アンプモデルのモデリング精度改良。(グローバルマスターボリュームを追加、およびプレゼンスコントロールとの相互作用を再現)

  • DELAYブロックのStack/Hold機能の挙動改良

  • エクスターナルワードクロックの処理についての改良

  • 筐体背面パネルのジャックを介したプリセットナンバーの操作範囲を拡大

  • COMPブロックのDynamicomp モデルについて、過大入力に対する挙動を修正

  • Class-A 30W アンプモデルの修正

  • Div/13 CJ アンプモデルの修正

  • Two Stone J35 アンプモデルの修正

  • Car Ambler アンプモデルの修正

  • CABブロックのPreampセクションにおけるVUメーターの表示不具合の修正

  • その他いくつかの不具合修正および機能改善


FW24.01

  • CABブロックのPreamp機能がONの状態で右側chの音量が減衰する不具合の修正

  • DELAYブロックにおいて入力信号が極端に過大な場合に歪みが発生する症状の修正


FW24.02

  • DELAYブロック TapeタイプのStack/Hold機能の挙動改良

  • Inputブロック Intelligent/Noise Reducerタイプのノイズゲート機能の改良

  • AMPブロック Brit Sliverモデルの改良

  • DELAYブロック Ping-Pongタイプの不具合修正

  • Scene切り替え時のポップノイズを修正

  • その他いくつかの不具合修正および機能改善


FW24.03

  • AMPブロック Mr Z MZモデル使用時にクラッシュする不具合の修正

  • Noise Gate不使用時に奇妙なノイズが発生する不具合の修正


FW24.04

  • Tuner使用時のMute機能の改修

  • AMPブロック Fryette D60モデルの改良

  • AMPブロック Citrus RV50モデルの改良

  • AMPブロック CA3+ Rhythm/Leadモデルの改良

  • AMPブロック Friedman BE/HBEモデルの改良

  • AMPブロック Recto1/Recto2モデルの改良

  • DELAYブロック Bit Reductionが機能しない不具合の修正

  • その他いくつかの不具合修正および機能改善


FW24.05

  • AMPブロック Two Stone J35モデルからPresenceコントロールを削除

  • PITCHブロックのShiftとDetuneパラメーターが両方とも0.0に設定されている場合に異常な遅延が発生する不具合の修正


FW24.00-05の要点

アンプモデルではUSA MK V Redの追加がポイントでしょうか。

昔ながらのメサブギー好きには嬉しいMARKシリーズ。
FW23で追加されたGreen=1chに続いて、Red=3chが追加されました。

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Mesa BoogieのMARK Vの3chをモデリングしており、Rectoとは全く違った音の濃さ、中低域の太さと暖かみが魅力です。
残念ながら僕自身はMARK Vの実機をしっかりと触ったことがないので、3chのどのモードを再現したのかと思っていたら、Mark IIC+、Mark IV、Extremeの各モードのノーマルとBrightスイッチオンの6パターンを全て網羅していました。

この分ならゆくゆくMARK Vの2chもモデリングしてくれるじゃないかと期待してしまいますね。

相変わらずのこだわりの強さは感服するしかありません。
ベタながら、5-Band Mark EQをVカーブにセットしたGEQブロックと、Spring ReverbにセットしたREVブロックを、AMPブロックとCABブロックの間に挟んであげたいですね。

USA MK V Redの追加以外にも、Recto 1/Recto 2、USA JP IIC+、TX Star、JS410、Brit Sliver、Fryette D60、Citrus RV50、CA3+ Rhythm/Lead、Friedman BE/HBEといった機種の挙動に改良が加えられています。


上記のアンプモデルの中でCitrus RV50とJS410以外は全て、個人的に好みのアンプモデルで何かしらのプリセットで使用していたため、今回のアップデートではなかなかの数のセッティングの再確認や見直しによる最適化を進めることになるかもしれません。
僕自身は細かいことにはあまりこだわらないというか、基本的にSet and Forgetタイプの人間なのですが、例えば今回のRecto 1のようにマスターボリュームのテーパー変更やJS410のようなグローバルマスターボリュームの追加による機能割り当て変更などの場合には、プリセットとして保存された数値に対しての挙動が従前とは明確に変わってしまっているはずなので、さすがにチェックしておく必要があると考えます。
Axe-FXは元々、Recto実機の特徴であり悪癖でもあるChマスターボリュームに追従して膨れ上がるローエンドを再現してくれていたので、テーパーカーブの確認も込みでじっくり触り直してみたいところです。

DELAYブロックのStack/Hold機能の挙動改良については、Stack FeedbackとHold Feedbackのパラメーターが追加されており、StackモードとHoldモードで個別にフィードバック量を調整できるようになりました。
また、CompanderがOFFで Bit Reductionを0に設定した場合には無限にリピートが得られるようになっています。
なお、Tapeタイプでの使用時にはホールドしたサウンドがリピートする度に音質劣化し続けるようにしてあって、リアルタイムでのコントロール性と音色面のリアリティをうまく追求しているように思えました。


今回のアップデートもメインのアップデートが入って動作を確認している間に矢継ぎ早にアップデートが入り、それを触っている間にも次のアップデートが来て…という状態で、ある程度落ち着いたら記事にしよう…と思っていたらだいぶ時間が過ぎてしまいました。
Fractal Audio Systemsユーザーで記事を読んでくれている方には遅くなった割に中身の薄い記事で申し訳ないです。

僕は基本的にベータバージョンについてはリリースノートの先読み程度で、不具合が出た場合のロールバックの手間などを嫌って実用上触らないようにしている為、正式版が出た後のアップデート内容の突き合わせだけでもそれなりに時間がかかってしまうのです。
また普段自分が使っていない機能に改良が加えられた場合などは、正直何がどう変わったのか実感できないままということもあります。
しかしながら、僕はAxe-FX IIIという機材を大変気に入っていて、FASというメーカーも敬意を持って信頼しているので、その進化の過程についてリリースノートを直和訳するだけではなく、自分なりの解釈や解説などを"FAS愛用者の与太話"として少しでも楽しんでもらえたら嬉しく思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ご自身の音楽の役に立つ内容や、機材に対しての興味を持っていただける要素が何かしらあったなら幸いです。

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