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わたしのことを嫌っているねこ

 10月になってしまったし、日記(月記?)を書こうかしら、という気分だ。こういうのは上旬のうちに済ませておいたほうがいい。

 月が変わって、長かった夏休みも終わり、大学は秋セメがはじまった。怠惰な大学院生の夏が終わり、週に数回はむりやり大学に足を運ばなければならない面倒な生活の幕が開けてさいあくだ。もうM2のこの時期になるとわくわくすることはない。相変わらず、修論は1文字も書けていない。

雨が降っていて幸先がわるい

 授業の教室を調べずに大学に着いてしまったので、「2限の教室どこ〜」友人にDiscordを飛ばした(うちの研究室はDiscordで情報のやりとりをしている)。だけどすぐに「自分で調べたほうがいいよね」と思い直し、調べてみたらすぐにわかった。目的の教室に着いてPCを開いたら、さきほどDiscordを飛ばした友人から、「教室はたぶん〇〇!」と返信がきていて、善意の無駄遣いをした気分になった。

 授業は2限だったので、久しぶりに学食に来た。2限がはやめに終わったので空いているかなと思ったら、想像以上に人がたくさんいてげんなりした。初回授業だから、きっとどの講義もはやく終わったのだろう。

462円。高いのか安いのかよくわからない

 偏食の名を借りた気分屋なので、学食に行っても「食べられる気分のものがない…」といって、昼食を摂るのを諦めることが多い。だけど今日は好物の「豚キムチ炒め」があったので、調子に乗って小鉢や小ライスまで頼んでしまった。久しぶりだから美味しく感じる。これが毎日となると食べられないのだけれど。

 この段落はご飯を食べた直後に書いているけれど、いま、おなかが7.5分目でくるしい。わたしは「おなかいっぱい」の感覚が嫌いだから、いつも腹6分目で食事をやめる。なのに今日は7.5分目。米はなくてもよかった。動きたくない。

 小ライスの大きさについて文句を言いたい。もうすこし、少なくしてくれ。仏壇にあげるくらいの少なさでいい。お米、ふたくちだけ食べたいっていうときがある。

研究室のデスクに置いていたカレンダーが6月で止まっていたので、あわてて10月までめくる

 午後のゼミでは進捗報告会をした。もちろん進捗はない。

 わたしは人間の悪意とか、加害性に注目した研究を行っている。それもあってか、修論の研究計画が倫理審査にひっかかり研究のスタートが半年以上遅れている。倫理審査、というのは「この研究は倫理・人道・道徳に反していないか」というのを審査される仕組みで、これは必ず通さないといけない。倫理スレスレの綱渡りをしているわたしは、ここで余計な足止めをくらっている。

 それとは別の研究になるが、今、海外の学術雑誌に出す論文を書いている。終わる気配がない。大学3年生のときにとったデータをむりやり英語論文にしようとしているので、結構無理がある。

 ゼミでは、「はやく論文を書けー!」と詰められたので、へらへらと笑って誤魔化した。

研究環境は悪くないのにどうしても大学に足が進まない

 院生室ではいつも、中国人留学生が知らない言語をつかいながら大声で話している。ちょっとうるさいの。でも静かにしてくれと声をかけに行く勇気はない。あと、院生室で美味しそうな匂いのするスープを食べないでくれ、こっちまでおなか空いちゃうから。あと、雨の日は窓開けないで。あと、できればブラインドは下げたままにしてほしいな、日焼けしたくないから。

 ああ、わたしはいつだって他人に何かを勝手に期待して、相手の行動がそれに沿わないと勝手に落胆してる。ほんとう、自分勝手だな。

わたしのことを嫌っているねこ

 (以下、院生経験者にしか話が通じないと思うけど、書きたいから書くね)

 学振DC1は不採用だった。研究の独自性の点数はすごく高かった。上位1〜2割くらい。だが、「研究者としての資質」の得点がまあ平均くらいだった。面接にすらお呼ばれされないライン。担当教員は悔しがってくれた。わたしはそれを、どこか他人事のようにとらえながら、「まあ、来年また申請書書きますわー」といって笑っておいた。うまく笑えていたかどうかはわからない。

 研究者としての資質、ってなんだろう。まあ、ふううに業績が足りないから、なんだろうな。論文を書けなかったわたしがわるいぜ、どう考えても。

 わたしの研究は、「ゼロをプラスにする研究」じゃなくて、「マイナスをゼロにする」研究だ。みんなを幸せにする研究じゃなくて、不幸な人を減らすための研究。一見地味だけど、ぜったいに誰かがやらないといけない研究だと思うの。だから、わたしがやる。みんなを抱きしめてあげたいから、研究もがんばらなきゃね。


おわり


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