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優位性を生むために、興味・関心から事業を始める

5月より、Xデザインスクールというオンラインのデザインスクールに通い始めました。

この記事は、第1回目の講義を受けて、感じたことを起点に書いています。
(講義内容をベースにしていますが、個人的な考えをまとめたものです。)

デザイン思考とアート思考

Midjourney

第1回の講義では、デザイン思考とアート思考を対比した説明がありました。

デザイン思考が「顧客観察を基に課題解決」を行うのに対し、アート思考は「個人的好奇心や体験を基に創造活動」を行う。

デザイン思考が他者起点なのに対し、アート思考は自己起点で事業を考える。

デザイン思考とアート思考で、役割や有効な局面が異なるという事です。

Xデザインスクール 講義資料を参考に作成

『13歳からのアート思考』という書籍にある、こちらの一文がアート思考を端的に表現していると思います。

アート思考とは、「自分の内側にある興味をもとに自分のものの見方で世界をとらえ、自分なりの探求をし続ける」こと

13歳からのアート思考

デザイン思考の限界を突破する

デザイン思考は”改善”の局面で強みを発揮する一方で、”それ以上のもの”を生むことは難しいと言われています。

参考)SHIFT:イノベーションの作法/濱口 秀司

その一方で、アート思考と呼ばれるような、自分起点でビジネスを考えることは、デザイン思考で難しい”それ以上のもの”を生み出す可能性があると考えます。

※前提として私は、『「デザイン思考」や「アート思考」自体が、マーケティングの産物であり、あくまで自分の思考を客観視する・思考の切り口を変える為のツール程度と捉えるべき』、というスタンスです。

ここからは、”アート思考”の有用性について、考えてみたいと思います。

1, 優位性の構築

アート思考の有用性として、最も重要な点として、優位性を構築しやすい、という事があります。

シリコンバレーの事業家のナヴァル・ラヴィカントは、事業の優位性を生む要素を”特殊知識”と呼び、その獲得プロセスは個人の純粋な好奇心や情熱を追求すること、と言っています。

Quora

特殊知識を見つけるには、何であれ今の流行を追いかけるより、君の純粋な好奇心と情熱を追い求めよ

特殊知識を身につけるプロセスは、君には遊びのように思えるが、 傍目 には仕事をしているように見える。

シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント. サンマーク出版

特殊知識を見つけるには、君の生まれつきの才能や、純粋な好奇心、情熱を追い求めたほうがずっといい。今人気の仕事の養成所に行ったり、投資家の注目する分野に進んだりしても、特殊知識は見つからない。

 無限のレバレッジが手に入るこの時代、純粋な知的好奇心がかつてないほどの莫大なリターンを生むようになっている

だから今儲かっているものを追いかけるよりも、君の純粋な知的好奇心を追求したほうが、キャリアの基盤としてはずっといい

不思議なことだが、君だけ、または君を含む少数の人だけしか知らない知識は、君の情熱や趣味から生まれるんだ知的好奇心が高じた趣味を持つ人は、そういう情熱を育むことが多い

シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント. サンマーク出版

事業の優位性を構築するためには、”時間軸”を考慮する必要があります。

最適化された市場環境で、優位性を構築するためには、一定以上の期間が必要です。

そして、その一定以上の期間を続けられるか?、結果が出ない状況でも、行動を続けられるかは、事業家本人がどれだけ、その領域に思い入れがあるかによると思います。

そういう点において、自分自身の問題意識から始める”アート思考”は、顧客観察という客観的な視点から始める”デザイン思考”には無い利点があります。

起業家は自分がビジネスを始める際に、その領域を10年続ける覚悟が自分にあるかを問うと思います。

自分ごと化しづらい客観的な課題をテーマとした場合、10年続けるのは難しいように感じます。

圧力というのはやはり「人生がかかっているか」、粘着質にそれについて考え続けて研究し、歴史を検証し、現代を検証し、批判する人間、肯定する人間の意見をきちんと自分で検証し、その上である種の発表された論文なり研究が客観性を持ってなるほどとわかるようなところまでやれば、これは芸術になれるかもしれない。

村上隆. 芸術闘争論 (幻冬舎文庫) (p.141). 株式会社幻冬舎

2, 適応的パフォーマンス


能力の発揮には、適応的パフォーマンス戦略的パフォーマンスという考え方があります。

戦略的パフォーマンスは、「道筋が決められたタスクをいかにうまく遂行するか?」という局所的なタスクでのパフォーマンスを表すのに対し、

適応的パフォーマンスは、「解が無いような、創造性を発揮するような領域」という、より大局的な状況でのパフォーマンスを指します。

戦略的パフォーマンスと適応的パフォーマンス、どちらも重要ですが、事業家にとって、より重要なのは適応的パフォーマンスだと思います。

人がどういう状況で、戦略的パフォーマンスと適応的パフォーマンスを発揮しやすいかが研究されています。

研究の結果、適応的パフォーマンスは、直接的動機が発揮される領域で発揮されやすいとされています。

直接的動機というのは、仕事自体の楽しさや結果に基づくモチベーションです。

対する間接的動機は、社会的な外圧や経済的な理由で発揮されるモチベーションです。

この直接的動機、中でも、行為自体が楽しいからやるという際に、適応的パフォーマンスが発揮されます。

社会環境の変化を捉えて、既存のビジネスと差別化しながら、優位性を構築し、moatを築く、事業家には高い適応的パフォーマンスが求められます。

その際、適応的パフォーマンスが発揮されることは非常に重要になります。

最高の社風の作り方

3, UXの最適化


最後は実体験からの話になります。

ユーザー体験を作り込む際には、細部に徹底的に拘る必要があります。

人間の感覚というのは敏感で、少しのことでも違和感を感じるし、その小さな違和感の積み重ねが、イライラしたりと負の感情になって、サービスの離脱を生むからです。

これまで、様々な種類のサービスの開発に関わって来ました。

この微調整をする際には、ユーザーへの共感では難しく、自分がユーザーとしてサービスを触る必要があるなというのが実感です。

もちろん、会社員で自身の担当領域を選べない場合や、コンサルタントなどのアドバイザリーとして関与する場合は、領域を選択するのは難しいと思います。

一方で、自分で事業領域を選べる起業家という立場であるなら、自分ごと化しやすい、自分の問題意識のある領域で事業をすべきなのではと思います。

自分自身、あまり興味のない領域で、プロダクトを開発する事がありました。

どんな状況でも、真剣に熱意を込めれば、事業課題を突破できるアイデアは湧いてくると思います。

ただ、好きになれない領域で、それをやるのはエネルギーを大量に使います。

それだったら、自分が自然にたくさんアイデアが湧いてくる領域・課題を対象とした方が良いと思います。

以上、優位性を生むために、興味・関心から事業を始めるという内容を記載しました。

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