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細胞に刻まれたデスゲームの快感。僕を中学生に還してくれる作品たち。 <amphibianシナリオ『レイジングループ』>

社会問題ともなった傑作『バトル・ロワイアル』をはじめとしたデスゲームは定期的に名作が排出される印象がある。国外でも『ハンガー・ゲーム』が大ヒットするなど、文化を問わず心惹かれるテーマであるようだ。
代表的な作品を(個人的偏見に依っていることを自覚しつつ)挙げると『仮面ライダー龍騎』や『ダンガンロンパ』シリーズ、『GANTZ』などがあるだろう。どこまでをデスゲームとするかは難しいところだが、こうした作品にはどこか危険な香りがして、中高生のころ大変に惹かれたものだ。そして、その感情はおとなになった今でも褪せていない。

”人狼ゲーム”のゲーム化『レイジングループ』

ケムコのアドベンチャーゲームシリーズの一作として発売された『レイジングループ』は、(個人的には)看過できるレベルのゲーム構造が引き起こすシナリオ矛盾を起こしているものの、間違いなくデスゲーム系作品の傑作の一つに数えていいだろう。
『ダンガンロンパ』などと比較すると、一見登場人物が地味に見える。しかし、実際には個性豊かで魅力的なキャラクターに彩られている。ネタバレを回避するためにその内容を書かないが、流血系メインヒロインの千枝実やガラの悪いコンビニ定員など、突飛すぎない程度に抑えたユニークが読んでいて楽しい。
また、「伝奇系」作品でもあり、緻密に組まれた設定が物語の説得力を補強する。人狼ゲームをベースとしたデスゲームのルールも理解しやすく、没入しやすい。
リアリティラインをどこまで求めるか、というのは人により異なると思うが、僕としては”好きな”ラインの引き方だった。「現実世界で起きることはないと断じることはできない」くらいのライン。ここがハマる人は最後まで楽しく遊べるだろう。
数日でクリアできるボリュームも、飽きることなく最後まで遊べるポイントの一つ。僕は「もっとこのキャラクターたちと過ごしたいな」と思うくらいのところでゲームが終わるのが嬉しい人なので、完璧なサイズだった。

今後もきっと、定期的に良策デスゲーム作品が生まれるだろう。そのたびに僕はきっと、中学生に戻って楽しめる。

一言コメント

『ひぐらし』にハマった人って、こういうのが好きって呪縛から逃れられないよね。

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