ryo_kameda

昭和46年生まれ。田舎の自営業者。

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マガジン

  • 意識・クオリア・情報処理主義

    暇に飽かせて意識について考え始めたら、おもしろくてたまらなくなりました。 残念ながら、哲学についての専門的な教育を受けたわけではないですし、そもそも学がありませんので、素人の思いつきと言ってしまえばそれまでなんですが。 生成系AIを画面に二つ並べ、議論しながら書いています。

最近の記事

死と意識:汎心論から汎情報処理論へ

1.はじめに 人間に意識が存在することを、ほとんどの人は疑わない。人間は、考えることができ、感じることができる。犬や猫に意識があることも、多くの人は認めるだろう。彼らも感情表現が豊かで知能があり、意識を持っているのだろう。では、ネズミはどうだろうか。魚はどうか。昆虫になると、意識を認めない人の方が多いかもしれない。ウィルスに意識は? ロボットやAIに知能は認めることはできても、意識と言われるとよくわからない。植物の意識なんて、皆目見当も付かない。人間以外に意識を持つ存在は

    • 『リンゴの気持ちは知らないけれど ~「メアリーの部屋」からの脱獄~』

      1.はじめに 意識のハードプロブレム、つまり物理的な脳のプロセスがどのように主観的な意識体験を生み出すのかという問題は、現代の心の哲学において最もやっかいな問題の一つとされている。 前回のコラム『意識はハート♡プロブレム:知覚・体験・意識の連続性』では、知覚と体験の本質的な同一性や、意識の階層性と連続性に着目し、情報処理の観点から、意識のハードプロブレムは存在しないことを論じた。 今回は、また別のアプローチで、意識のハードプロブレムがないことを示してみようと思う。前回と

      • 意識はハート♡プロブレム:知覚・体験・意識の連続性

        1.ジョージの家 ジョージは優秀なエンジニアだ。彼はTVの仕組みについて徹底的に学び、すべてを理解していた。ブラウン管、電子銃、蛍光体、電子回路……。でも、彼の家にはTVがない。 ある日、友人が彼に尋ねた。 「ジョージ、君はTVのすべてを知っているんだから、TVを見たことがなくても、TV番組を見ることがどのような映像体験なのか説明できるんじゃないか?」 ジョージは自信を持って答えた。 「うむ、TVの仕組みはすべて理解しているからな。TV番組がどういうものか、説明できるは

        • 本当のクオリアが何なのか、教えてくれよ。

          1.クオリアという謎への招待1.1 「ばか」とクオリア 「ばか」という言葉を聞いて、あなたはどのような感情を抱くだろうか。怒り、悲しみ、恥ずかしさ、あるいは軽蔑や侮辱の念だろうか。おそらく、その感情は人によって、そして状況によって大きく異なるはずだ。 例えば、見知らぬ人から突然「ばか」と罵倒された時と、恋人が甘えるように「ばか」とつぶやいた時とでは、感じ方は大きく違うだろう。前者では怒りや不快感が募るかもしれない。一方、後者では微笑ましさや愛おしさを感じるかもしれない。

        死と意識:汎心論から汎情報処理論へ

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        • 意識・クオリア・情報処理主義
          5本

        記事

          データからアートへ:創造性は組み合わせの妙

          先日、Twitterでひとつの投稿を目にした。主旨はこうだ。 ・AIの創造性は幻想である。 ・AIは学習データの組み合わせでアウトプットを生成しているだけ。 ・データは有限なので、いずれパターンは収束してしまう。 ・AIの創造性とは、性能の低さゆえに生じるハルシネーション。 ・AIの性能が上がると、より最適な回答を出力するようになる。 ・その結果、出力のバリエーションは逆に減る。 なるほど。確かに一理あるようにも思える。 一般に、創造性というと「0から1を生み出す能力」

          データからアートへ:創造性は組み合わせの妙

          四月馬鹿の話

          エイプリールフール、だそうです。 ということで、ぼくのウソをお聞き下さい。 「馬鹿」って言葉の由来をご存知でしょうか。 Wikipediaをみると、現在7つほどの説が掲載されています。 かつて、ここにぼくの説も載っていた、というよりも、ぼくの言葉がそのまま語源とされていたことがありました。 1995年より少し前、だったと思います。正確な日時は記憶していませんが、ともかく、当時はまだインターネットよりも、パソコン通信でのやり取りが主流でした。そんなパソコン通信上でのやりとり

          四月馬鹿の話

          成田悠輔に悪意の一票を

          まずはじめに断っておきたいのですが、このテキストは成田悠輔の擁護を目的としたものです。その試みが上手くいったかどうかはさておき、それを目指して書きました。ですので、それを承知でお読み下さい。 本稿では、以下の流れで成田悠輔の発言について考察します。 「集団自決」発言の不適切さ 発言の真意は高齢化問題ではなく世代交代にある 著書を踏まえれば、成田の真の関心は22世紀の民主主義のあり方にある 本質や真意とは関係なく言葉の表層に惑わされる人々の反応は、成田の主張する「無意

          成田悠輔に悪意の一票を

          読書感想文「ぼくらが原子の集まりなら、なぜ痛みや悲しみを感じるのだろう」

          意識はアナログ 知識はデジタル「まえがき」を半分くらい読んで、「おもしろそう」「これなら読めそう」と。ところが、かなり難解。「まえがき」の最後に「哲学の本をまったく読んだことがない人には、この本の内容も、十分難しく感じられるだろう。」と書いてあった。 早々に投げ出すことを決めます。それでも最後くらいは読んでみよう。 ん? 「意識経験にかんする物理的な知識をどれだけ獲得しても、実際に意識経験を持たなければ知りえないことがある」(第7章第2節) そんなことはないだろう、とい

          読書感想文「ぼくらが原子の集まりなら、なぜ痛みや悲しみを感じるのだろう」

          「外れくじ」の重み ― 障がい者に押しつけられた不自由

          車椅子ユーザーの方が「イオンシネマで不適切な対応を受けた」としてSNSで告発。結果、イオンシネマは謝罪に追い込まれる、ということがありました。しかし、この一連の出来事に対するネットの反応が酷い。 投稿者への中傷が溢れかえっているのです。「車椅子ユーザーが過剰な要求をしている」「従業員に負担をかけすぎだ」など、一見もっともらしい意見も、よく読めば障がい者への無理解と偏見に満ちています。 しかもそのほとんどが、投稿者個人の資質や言動を問題視しています。 今年1月に起きた羽田

          「外れくじ」の重み ― 障がい者に押しつけられた不自由

          息子との幸福度バトル ~勝利の先に見えたもの~

          うちの息子ときたら、私にそっくりで議論好き。大学生になった息子は、春休みで帰省中なんだが、今日も、いつものように議論を吹っ掛けてきやがった。 息子の主張はこうだ。人生のピークを迎えたら、そのまま死んじまいたいらしい。でも、いつがピークなのかわからない。だから、麻薬で幸福度をマックスにして、そのタイミングで さよなら人生 ってわけ。あと、失敗や衰えが怖いから、早めに逃げ出したいとかなんとか言ってたっけ。 さあ、論争スタート。 人生は株式相場じゃない。毎日の幸福度を決算する

          息子との幸福度バトル ~勝利の先に見えたもの~

          新しい駒ヶ根のリーダーズ

          写真が出回っちゃったので、もう隠し通せません。はい、駒ヶ根市長選、私の一票は剛也に行きます。理由?単純明快、彼は私の友人だからです。 ただ、アンビバレントな思いは友情にはつきもの。実際、剛也と私の間には、様々な面で大きな隔たりがあります。 剛也はコンサバだけれど、私はリベラル。 彼は大衆主義で、ぼくはエリート主義。 アイツはジュビロ、オレはエスパルス。 要するに、私たちは正反対。でも、そういう違いを越えても、剛也に投票します。なぜか?そう、友人だからです。 彼が当選しよ

          新しい駒ヶ根のリーダーズ

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          イギリスでスナップ撮影

          イギリスでスナップ撮影

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          イギリスはメシマズ国?

          一週間ほど、イギリスを旅してきた。 イギリスと言えば「メシマズ国」と言われる。 渡英前はずいぶん心配した。一週間とは言え、食べるものなかったらヤダな、と。 結論から言うと、おいしくないものもあるけれど、全体的には結構おいしい。日本の方がおいしいと思うが、それは「ホームアドバンテージ(慣れの問題)」と言われれば、まあそうかも、と思える程度の差だ。 個別に見ていこう。 ハッシュドポテトがおいしい。私が生まれて初めてハッシュドポテトを食べたのは、日本のマクドナルドの「朝マック」

          イギリスはメシマズ国?

          Thank you for waiting.(←旅行中に覚えた)

          2023年12月8日から14日まで、イギリスに行ってきた。10月から、娘が留学中なのだ。 帰宅後、インフルエンザで一週間寝込む。 記憶がだいぶ薄れてしまった。 12月7日は木曜日。平日なので、職場は通常営業。18時閉店で19時出発、というのは、無理のない予定だ。が、こんな日に限って、閉店が19時にずれ込む。少し慌てるけれど、それでもかなり余裕を持った計画ではある。 本当に慌てることになるのは、中央自動車道を運転中。「通行止め」の表示。夜間通行止めが本日まで、とのこと。知らな

          Thank you for waiting.(←旅行中に覚えた)

          読書感想文「失踪の社会学」

          読書感想文 「失踪の社会学」/中森弘樹/慶應義塾大学出版会 親密性と責任 本書ではまず、現代社会は自由であり不自由である、というパラドックスを指摘する。そして、その不自由さの原因は「親密なる者への責任」にあると結論づけられる。 私たちは日常生活において、責任という言葉を深く考えずに使いがちだ。 この本では、責任とは何であるかが丁寧に説明される。 責任という言葉の説明が、本書の最大のテーマというわけではないが、私としては、責任を「行為-因果モデル」「傷つきやすさを避けるモ

          読書感想文「失踪の社会学」

          彼こそが、力士。

          白鵬が引退。 朝から泣けてくる。 写真は5年前。 5年前も「すでにピークは過ぎた」と言われていて、そこから5年後、6場所休場明けの先場所が全勝優勝。 ものすごい気迫。あれにも涙が出た。 相撲とは元来、神事である。 大相撲が神事かは微妙ではあるけれど、少なくとも、その起源は神事だ。 神事としての相撲は、何を奉納しているのか? それは、勝ち星。 白鵬が、これまでのどの力士よりも崇め奉られるべきなのは、これまでにもっとも多くの勝ち星を奉納しているからだ。 しかし、とにかくクソ

          彼こそが、力士。