Identity Crisis
Identity Crisis
猛烈に自分自身を様々な角度から見て探り試し分析する時期のこと。主にティーンエイジャーが経験するがそうじゃない場合もある。Eriksonにより提唱された。Identity vs Role Confusionという対比が見られる。自分の熱中できるもの、信じるものや価値観、社会での役割や立ち位置、人生の目的は何か？、そして何より「自分は誰なのか？」といった疑問を持つ。
Identity
経験、人間関係、価値観、信念、記憶などによって形作られる主観的なセルフイメージ。「継続的な自己」を持っている感覚をもたらす。新たな困難を乗り越えたり新たな人生の局面を迎えるにつれて変容していく。
Identityの形成
カルチャー（音楽やファッションなど）・メディア・宗教・ジェンダーなどの社会的影響、家族の中での役割や恋人との関係などが大きな役割を果たす。また、Individuationという過程を経て形成される。自分の好み・価値観・信念・人生観を、他人の批判・判断から自由な環境で一人自分と向き合い確かめていく。この時期は家族や社会の規範に対して懐疑的・反抗的になることもある。自分の内面に集中するため他人のことに頭が回らず自己中心的になりがち。他人の目線を避けるため一人になりたがり秘密主義的になることも。加えて、社会の中で次々と様々な役割を担ったり、スタイルを試して自分に合うかどうか試す。試着室で色々な服を試すのに近いイメージ。
Identity形成のメリット
特定のアイデンティティに集中できる。キャリア・人間関係・趣味・スタイル・価値観が安定する。自分に自信が持てるようになる。自己コントロール感が身につき自立・自律していると感じる。人間関係において一貫性が生まれて誠実になる。そのため安定した関係が築きやすくなる。アイデンティティの形成に強いコミットメントをした人はそうでない人よりも幸福で健康であるという研究もあるという。
Role Confusion
確かなIdentityが形成されていない状態。自分が何者なのかわからない。また、適性や居場所がわからず仕事や人間関係を次々に変える。過保護・放置・無視・虐待など望ましくない環境で育った場合に多く見られる。物事に集中して取り組めない、人間関係が不安定、自分に自信が持てない等といった状態に陥る。自己肯定感の低下や鬱・孤独感・不幸感・不安・悲しみや恐れなどを感じやすく、精神的ストレスが増加して意欲の低下、摂食障害、判断力の低下、自傷行為やその場しのぎの快楽に走る危険もある。自分や周りの人が危なそうだったら迷わずセラピー・カウンセリング・治療・保護を受けるべきで、それは決して珍しいことでも恥ずかしいことでもなく、その人自本来の輝きを取り戻すための極めてポジティブなアクション。
Role Confusionへの対処法
新しいことを試して自分の好きなモノや適性のあるものを見つける、興味のある分野の活動に参加してみてそこで何か自分からアクションを起こしてみる、この先の人生で自分が秀でる何かを見つけてその分野で力をつける、などしてidentityを形成する。一人になって色々考える時間も、周りにサポートを求めることも時には必要なのでためらわず恥じらわずに背中を預ける勇気を。
あとがき
アイデンティティ・クライシス。どうやら大学入学以降ずっと感じていた、この得体の知れない鬱蒼とした何かにはファンシーな名前があったらしい。そして割と人類普遍の悩みらしい。思い返してみれば、なんかよくわかんないけど、ずっと精神的にキツかった。人間関係や単位など数々のものが犠牲になった。ここ数年で会った人のうち相当数には悪印象を与えただろうし、何するにしてもパフォーマンスがかなり落ちる。そして自信喪失。ニヒリズム突入。
たぶん同じように苦しんでいる人は少なくないんだろうなと思う。自分では認識できていない、もしくは認めたくない場合も多いだろうし、他人には見せ(れ)ないけど実は、っていう場合も多いと思う。でもまぁ、これは割と近代以降における人類普遍の課題だから自分だけ恥ずかしいとか無能とかいうわけでは全く無い。そして幸いなことに、頭の良い人達が心理学というれっきとした学問の枠組みの中で研究して、治療や対処法もあるし経験して乗り越えた人達も結構いる。だから普通に人に相談したり頼るといいと思う。全員にオープンにする必要もないけど。あとググったら色々出てくるからそういうの見るのもいいかもね。この長くて暗いトンネルの先には、どうやら、幸せと健康が待っているらしいので、そのためには必要なプロセスだってことで受け止めて、なんとか、生き延びていこう。
参考記事
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