一橋問題(20)マンキューソ准教授を擁護するハラスメント対策委員会(2)2016年12月14日ARIC襲撃事件についての資料初公開

下記の記事は、一橋関係者に大きな衝撃を与えているようです。

このように丁寧に被害者の話を取材し、加害者や大学側に取材をしたうえで、客観的にハラスメント対策委員会の問題を提示してくれた記事は、今回がはじめてでした。

私は2年半以上も、マンキューソ准教授のハラスメントだけでなく、一橋大学ハラスメント対策委員会の露骨なセカンドハラスメントの被害を一橋大学の関係者に訴えてきました。しかし正直な所、ほとんど理解されませんでした(私が在日朝鮮人の男性であるということは大きいと思いますが、それに加え反差別運動をしている院生だということで偏見の目で見る教員も多いのです)。

一橋大学のリベラル教員よりもはるかに批判的にハラスメント対策委員会の問題を指摘している記事です。ぜひお読みください。

さて、この記事が世に出たこともあり、一橋大学ハラスメント対策委員会がいかに酷い対応をしてきたか、少しずつ書いていきます。

今回は、マンキューソ准教授による2016年12月14日ARIC襲撃事件について、一橋大学ハラスメント対策委員会が行った調査結果と、その後の審議結果について資料を公開することにします。解説は改めて書きます。

お読みいただければお分かりの通り、前回公開したARIC襲撃事件の私以外の6名分の被害学生の証言は一切証拠としても採用されていないし、証人としても採用されなかったのです。そして最終審議結果にはなんとマンキューソ准教授がマイノリティに理解があるとお墨付きを与えるものとなっています(下記資料)。最後にこの資料には、教員と学生が非対称な権力関係にあるという、アカデミックハラスメントを考える上では最も基本的な問題が、一切考慮されていません。

マンキューソ准教授を擁護するための文書であることは間違いありません。そして以前書いたように、このハラスメント対策委員会がマンキューソ准教授を処分せず容認したことが、マンキューソ准教授の私への差別・ハラスメントを劇的にエスカレートさせることになります。

※書き起こしはレイアウトをそのまま反映したものではありません。また急いだので誤字脱字などがありえます。どうかご了承ください。


一橋大学ハラスメント対策委員会委員長佐藤宏「ハラスメント対策委員会の審議結果について」(2017年6月30日)(PDFと書き起こし)

平成29年6月30日
梁 英聖 殿
一橋大学ハラスメント委員会委員長
佐藤 宏

ハラスメント対策委員会の審議結果について
平成29年2月8日付で貴殿から提出されたハラスメントに対する
措置の申立てについて、ハラスメント対策委員会の審議結果を下記のとおり通知します。



平成28年度第2回ハラスメント対策委員会(平成29年3月7日)に提出されたハラスメントに対する措置の申立に関するハラスメント調査委員会の調査報告が平成29年5月29日付で提出された。平成29年6月27日開催の平成29年度第2回ハラスメント対策委員会において本申立に関する審議を行い、以下の理由により、ハラスメント対策委員会による措置を要する事案とは認定できないとの結論を得た。

1. 本申立において最も主要な点は、平成28年12月14日および12月20日に被申立人が申立人の国籍やエスニシティについて差別的言動を行ったか否かであると考えられる。
申立人は、被申立人が申立人の国籍、エスニシティや在留カードの所持などに言及し、差別、誹議中傷を行ったと主張する。これに対して被申立人は、申立人が問題とする発言は、被申立人自身の経験から申立人の立場に共感を覚えて行ったものであると弁明している。
申立人が記録し、調査委員会に提出した12月20日における被申立人の発言内容にもとづけば、被申立人は、日本社会におけるエスニックマイノリティに対する人権侵害が深刻な問題であるとの認識を示したうえで、問題を象徴する事例として身分証明(在留カード)に言及している。これは被申立人が日本社会における国籍やエスニシティをめぐる人権問題に敏感であることを裏付けるものと理解される。
2.申立のその他の点は多岐にわたるが、そのほぼすべてにおいて当事者双方の事実認識、主張は対立しており、本委員会として個々の事実関係を明らかにすることはきわめて困難である。

以上

【本件事務担当】
〒186-8601 東京都国立市中2-1
国立大学法人一橋大学
総務部人事課労務係 安井
Email:per-ro@dm.hit-u.ac.jp


一橋大学ハラスメント対策委員会「ハラスメント調査委員の調査結果について」(2017年6月9日)(PDFと書き起こし)

平成29年6月9日
梁 英聖殿

一橋大学ハラスメント調査委員会
ハラスメント調査委員会の調査結果について

ハラスメント対策委員会に報告される本調査委員会の調査結果をお送りいたします。なお、ハラスメント対策委員会において、本調査所及び関係資料に基づき措置の申立てについて審議を行うこととなります。

【本件事務担当】
〒186-8601 東京都国立市中2-1
国立大学法人一橋大学
総務部人事課労務係 安井
Email:per-ro@dm.hit-u.ac.jp

ハラスメント対策委員会委員長 殿
ハラスメントに対する措置の申立てについての調査結果

平成29年5月29日
ハラスメント調査委員会
黒住英司(委員長)、ジョン・ミドルトン、小松哲

ハラスメントに対する措置の申立てについての調査結果について、以下の通りご報告いたします。

1、申立人の主張・被申立人の弁明

以下の通り、申立人の主張と被申立人の弁明を開く機会を設けた。
平成29年4月27日(木)9:30〜10:50:申立人の主張
平成29年5月22日(月)15:30〜17:15:被申立人の弁明
申立人は「ハラスメント対策委員会提出書」に加えて、2017年1月31日作成とされる2度の事件に関する資料を提出し、被申立人が申立人に対して誹謗・抽象発言及び民族差別発言を行い、ARIC公開研究会でのその研究報告を妨害したと主張し、措置の申立てを行っている。これに対し、被申立人は申入書、英文及び和文による陳述書、事件が起きた国際研究館内の写真、ARIC公開研究会のチラシ、並びにARICのブログ及び申立人のツイッターの写しを提出している。

2、事実関係の調査結果

問題とされる出来事は、(1)2016年12月14日に開催されたARICの公開研究会の開催15分程度前、及び、(2)2016年12月20日の被申立人の5時限目授業時間終了時、である。それぞれにおける調査結果は、以下の通りである。
(1)2016年12月14日に開催されたARICの公開研究会の開催時
ARICの公開研究会は本学東キャンパスの国際研究館4F共同研究室2で開催予定であった。被申立人の主張によれば、被申立人は本学東キャンパスの多数の教室にて配布されていたARICのチラシに誤り(ドナルド・トランプ氏の写真と発言内容の不一致)を見つけ、それを指摘するために研究会会場へ向かっている。両者の主張に沿って事実関係をたどると、被申立人は開催15分程度前に申立人が国際研究館1Fのエレベーターに乗ろうとしていた申立人に対して、研究会での発表者であることを確認の上、4Fの会場及びその周辺の廊下などにてやり取りがあった。被申立人がARICのチラシに誤りがあると指摘したこと、その後、申立人が被申立人の氏名などを聞いたが返答はなく申立人はドナルド・トランプのために働いているという趣旨の発言をしたこと、については事実と認定できる。しかしながら、発言した際の両者の態度、その他のやりとり内容などについては、両者の主張には大きな隔たりがある。総じていえば、
・ 申立人は、被申立人がにらみつけ、怒鳴り、一方的に誹辞・中傷発言を行い、申立人の
パスボート情報、IDカード、「 外人カード」(在留カード)の有無について質問をしてきたと主張
・被申立人は、冷静に話を始めたところ、申立人といた他の5人の学生に取り囲まれ、攻撃的に体を押しつられて、申立人とその仲間が大声で怒鳴り続けたと主張、在日コリアンの問題については話したが、申立人は在日コリアンとしてその問題を取り扱うべきだと話したと主張している。
(2)2016年12月20日の被申立人の5時限目授業時間終了時
申立人の主張によれば、(1)の出来事の後に、被申立人が本学准教授であることが分かり 、(1)の出来事の真相を聞くために、また、(1)の出来事の際の一連のやりとりを謝罪してもらうために、被申立人の授業の教室へ友人と二人で訪問した。訪問したこと自体は 事実と認定できるが、両者の主張には大きな隔たりがある。 総じていえば、
・申立人は、居合わせた学生に授業が終了したことを確認の上、被申立人に話しかけたが、再び誹議・中傷的な言葉や民族差別的な言葉を浴びせられ、最後は被申立人は開き直った態度で謝罪の言葉を言ったと主張
・被申立人は、申立人等が授業終了の鐘の合図と主に勢いよく教室の扉を開けて怒鳴りつ けてくる一方、申立人の友人が再び、体を暴力的に被申立人に押しつけてきて、罵倒された、そのため、授業終了後の学生の個別指導ができなかった、被申立人は(1)の出来事の理由について説明しようとしたが、申立人は聞かずに被申立人を罵倒し謝罪を要求、申立人は民族差別発言はしていないと主張している。

3.調査委員会の判断

申立人のヒアリングだけでは分からなかった点は、(a)なぜ被申立人が12月14日のARICの公開研究会へ行ったか、(b)なぜ被申立人は申立人が在日コリアンであることについて触れたのか、(c)なぜ被申立人はfで始まる下品な表現を使ったか、である。被申立人によれば、(a)については、メディアによる情報操作という観点からARICのチラシの誤りを指摘し、申立人のリサーチスキル向上について議論を検討していたため、(b)については、ドナルド・トランプの件に重きを置くよりも、日本における在日コリアンの状況について議論をする方が重要だと思ったため、(c)については、教育学上の正当な理由のため、である。申立人・被申立人からのヒアリング調査では、申立人及び被申立人の主張は,著しく異なっている。両者のヒアリング調査より,本調査委員会は以下の通り判断する。2016年12月14日及び2016年12月20日に申立人と被申立人の間で接触があり、口論があったことは認められる。しかしながら,双方の主張には大きな隔たりがあり,措置の申立て理由となっている被申立人の態度・発言については、事実確認ができなかった。物的証拠がない以上、事実判定は困難である。調査委員会の調査機能には限界があり、現時点ではこれ以上の事実調査の継続は困難であると判断する。

以上



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