【緊急提言】大澤昇平東京大学特任准教授が「中国人は採用しません」とヘイトスピーチを拡散しているのは東大の責任です
東大の特任准教授である大澤昇平氏が、極めて深刻な差別をツイッターで連発している。看過できないほど酷い内容なので、緊急にブログで発信することにする。
〔11月24日加筆:一連の記事をマガジンにまとめましたので、こちらもご覧ください。〕
〔11月26日加筆:末尾の提言に加筆しました。〕
大澤昇平東京大学特任准教授がおこなったヘイトスピーチ
まず大変酷い内容だが、ツイートをみていただきたい。
大澤昇平氏の会社Daisyでは、なんと「中国人」を採用しないというのである。
これは紛れもなく国籍による差別、あるいは人種/民族による差別である。人種差別撤廃条約の第一条にいう「人種差別」である。
さらに酷いのは、批判されたあとに彼が反論した、このツイートである。
なんと単に中国人を差別するだけではない。
そもそも面接を受けさせないと言うのである。
書類をみて、中国人であれば、それを落とすのだそうだ。
これが差別でなくてなんだろうか。
グローバルスタンダードの差別の定義
だが上の発言が差別だと思えない人もいるらしい。
念のため、大澤昇平氏の発言が、差別であることを説明しておこう。
差別とは何か。
ここで問題となっているレイシズム(人種/民族差別)については、世界181カ国が締約し、日本政府も95年に批准した人種差別撤廃条約の定義がグローバルスタンダードな(人種/民族)差別の定義といえる。その定義を抜粋すると次の通りだ。
この条約において、「人種差別」とは、〔①〕人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における〔②〕平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は〔③〕効果を有するものをいう。(第一条、外務省訳、強調は引用者)
ちょっと難しいかもしれないが、決定的なのは2つの要素だ。つまり、
①(人種/民族等)グループに対する
②不平等(平等な人権の否定)
である。
つまり①グループへの②不平等が差別である。
そして重要なのは差別する意図や目的がなくとも、
③効果
さえあれば、それは差別であると定義づけられている点だ。
まとめると①グループへの②不平等が差別である。そして意図が無くとも③効果がありさえすれば差別だと扱われる。
これがグローバルスタンダードな差別の定義だ。
では次に大澤昇平氏の発言がこの定義に当てはまるか検証しよう。
大澤昇平氏のツイートが差別である理由
ツイートを再掲しよう。
「中国人は採用しません」「中国人って時点で面接に呼びません」とハッキリ書いてある。つまり、
①中国人というグループ(国籍、人種/民族)を
②不平等(一律に採用しない、書類で落とす)に扱っている
これは①グループに対する②不平等という人種差別撤廃条約の差別の定義に当てはまる。
したがってこれは紛れもない差別だ。レイシズム(人種/民族差別)である。
なぜ差別をしてはならないのか?なぜ差別を許してはならないのか?
だが大澤昇平氏は差別だと批判されても、むしろ開き直って中国人差別を正当化し続けている。
既に説明した通り、大澤氏の発言はあからさまに中国人というグループ(国籍か、あるいは人種/民族かで)を一律に採用しないと明言しているから、差別なのである。誰でも採用しろとなど、誰も批判していない。
卑劣な論点のすりかえとしか言いようがない。
そもそもなぜ差別をしてはならないのか? 原点に立ち返ってみよう。
グローバルスタンダードである人種差別撤廃条約が採択されたのは1965年であるが、それは第二次世界大戦時にドイツのナチがユダヤ人差別を利用して政権を奪取し、ヨーロッパ各地で数百万人を殺したホロコースト(ユダヤ人虐殺)の反省のうえに成り立っていた。
ナチの台頭も、ホロコーストも、差別を許したから、引き起こされた。そういう判断のもと、過去を反省する文脈で、人種差別撤廃条約がつくられたのである。戦後欧米先進国はじめ、差別禁止法をつくって差別撲滅を社会の義務にしたのは、戦争やジェノサイド(人種/民族抹殺)や差別に基づいた暴力(ヘイトクライム)を防止するためである。
日本もジェノサイドやヘイトクライムについては、他人事ではない。
1923年の関東大震災時の朝鮮人虐殺や、1945年の沖縄戦での集団強制死(「集団自決」)など、差別を許してきたからこそ起きたジェノサイドの歴史がある。また戦後も日本には在日コリアンへのヘイトクライムだけでも60年代の殺人事件までふくむ朝高生襲撃事件や、90年代のチマチョゴリ切り裂き事件などが頻発してきた。2000年代後半からは在特会らによるヘイトスピーチが頻発し、いまや暴行事件や銃撃事件までも起きている(詳しくは拙著『日本型ヘイトスピーチとは何か──社会を破壊するレイシズムの登場』影書房、2016年を参照)。
大澤氏の差別発言を、単なる失言として見過ごすことができない理由はここにある。
差別は許してしまえば、社会的条件次第では、簡単に暴力や虐殺に行き着いてしまう。差別を許すことは、道義的にまずいのではなく、リアルに危険なのである。
だから大澤昇平氏は、自身が差別したことを認めてそれを撤回するだけでは足りない。東京大学や東大の同僚教員が大澤昇平氏の差別を批判し、処分はじめ氏の差別についての責任を取らせなければならない。
大澤昇平氏の差別を許したのは、三浦瑠麗氏のスリーパーセル差別発言を許した東京大学の責任
私は大澤昇平氏の責任よりも、東京大学の責任(そしてそれを放置する同僚の教員の責任)のほうがはるかに重いと考えている。
なぜか。それは同じ教員による差別を、東京大学は過去に許してきたからである。
たとえば三浦瑠麗氏である(東京大学政策ビジョン研究センター講師)。
2018年2月11日、ワイドナショーというテレビに出演し、「スリーパーセル」という語を用いて、彼女は在日コリアンへの差別を煽動した。だが東大はこの差別に対して、何の処分も下さなかったし、何のコメントもしなかった(知る限りは同僚の東大教員も何もしなかった)。
具体的な発言は次のとおり。
三浦 実際に戦争が始まったら、テロリストが仮に金正恩さんが殺されても、スリーパーセルと言われて、もう指導者が死んだっていうのがわかったら、もう一切外部との連絡を断って都市で動き始める、スリーパーセルっていうのが活動すると言われているんですよ。
東野 普段眠っている、暗殺部隊みたいな?
三浦 テロリスト分子がいるわけですよ。それがソウルでも、東京でも、もちろん大阪でも。今ちょっと大阪やばいって言われていて。
松本 潜んでるってことですか?
三浦 潜んでます。というのは、いざと言うときに最後のバックアップなんですよ。
要するに、北朝鮮のスパイであるテロリストが日本に大量に潜んでいて危険である、と言っている。人を殺す北朝鮮のテロリスト(本当にいるかどうか根拠もないが)の危険性を強調することで、彼女は在日コリアンへの差別を煽動したのである(大阪はよく知られている通り、歴史的に在日コリアンが最も多く住む地域だ。彼女がわざわざ「大阪やばい」とダメ押していることには理由がある)。
ところでもしかしたら、上の発言だけでは差別とは言えないのでは?という疑問の声が上がるかもしれない。つまり三浦氏は「スリーパーセル」が「在日コリアン」だとは言っていないので、差別だと言い切れるのか?と。
じつは批判を受けた後、当の三浦氏本人がそういう論法で開き直っていた。
私は番組中、在日コリアンがテロリストだなんて言っていません。(前掲記事より。強調部引用者)
だが、彼女のスリーパーセル発言は120%差別だ。
なぜか。それはたとえ彼女が「スリーパーセル」=「在日コリアン」と言っていなかったとしても、北朝鮮テロリストが国内に潜伏して危険だとテレビで煽ること自体が、日本では間違いなく①在日コリアン(というグループ)に対する②偏見や差別(不平等)を煽る③効果をもつからだ。
先に確認した人種差別撤廃条約が、社会が撲滅すべき差別の定義を、①グループに対する②不平等だけでなく、③効果の有無という観点から定義づけていることに注意しよう。
そして動かぬ証拠がある。実は三浦氏の「スリーパーセル」発言の直後から、在日コリアンを差別する道具として「スリーパーセル」というキーワードが大活躍しているのである。三浦瑠麗氏は東大教員という肩書で、人種差別撤廃条約に違反する違法行為を行ったのである。
証拠はたくさんあるが、たとえば、下記記事をみてほしい。
2018年6月に発生した大阪地震時に、さっそく次のようなツイートが流布された。これはARICが当時保存したもので削除されたものもある。
「不逞鮮人」とは、もちろん戦前に植民地支配のなかでつくられた朝鮮人への差別語である。「スリーパーセル=不逞鮮人=朝鮮人」となっている。
これはもっとひどい。杉田水脈議員にメンションを送り、差別するよう促しているのである。
このように大学教員という権威ある(とみなされる)人物の差別は、放置しておけば、災害時にヘイトスピーチやヘイトクライムの道具として利用されるのである。そして災害時の差別は2019年10月の台風19号でホームレスが避難所の入所を拒まれたように、命にかかわる危険な行為となる。
災害時だけではない。「スリーパーセル」という語は三浦瑠麗氏という東大教員の権威のおかげで、庶民のなにげない日常会話などでもポロリとでてくるほどの在日コリアンへの差別テンプレートとして普及してしまい、マイノリティの心身を深く傷つけている。
3年ほど前の、ある日。彼女のルーツを知っている年上の女性の友人から、突然こんなことを言われた。
「あなたは、祖国と日本のどっちの味方なの?」
すごく仲が良いと思っていた。だからこそ、ショックは大きかった。
女性は言った。日本には「スリーパー・セル」が潜んでいて、国家の転覆をはかっているのだ、と。だからこそ、「今はっきりしとかないと今後あなたは日本にいられない」と。
「愛国者」を自称していた女性は、こうも語っていたという。
「あなたは勉強が足りない。何も知らないから。今のメディアは偏向してるから、そういうのを許せないの」
車いすの詩人である豆塚エリ氏の体験である。
太字にした部分で「スリーパーセル」という言葉はどのように用いられているのか。
三浦氏が普及したスリーパーセルという言葉は、「すごく仲が良いと思っていた」友人から発されて、朝鮮半島にルーツがあるという一点だけで豆塚氏と「スリーパーセル」が結びつけられてしまい、「今後あなたは日本にいられない」と国外追放を豆塚氏に要求する正当化根拠となっている。これが差別でなくてなんだろう。
もう十分だろう。
三浦瑠麗氏のスリーパーセル発言は2018年2月に発されて以降、テレビで拡散し、SNSで拡散し、日本各地で差別を煽動しているのである。
それが大問題にも、ニュースにさえもならないのは、単に日本が差別をみんなが許し、見て見ぬフリをしている社会だからだ。つまり欧米先進国のように差別禁止法があって、国も自治体も差別を調査し統計をとって公表して、マスコミもそれを報道するし、大学教員が差別したら大学で処分されたり(そうでないにせよ)同僚の教員が反差別アクションを起こす、という社会ではないからにすぎない。豆塚エリ氏の被害経験は、この国のどこかで、マイノリティの誰かが、学校や企業や家庭やらで、日夜経験している差別の、氷山の一角に過ぎないのである。
まとめよう。三浦瑠麗氏のスリーパーセル発言は、上のグローバルスタンダードな差別の定義に照らせば、
①在日コリアンというグループを
②まるごと「テロリスト」「スリーパーセル」扱いする(不平等扱いする)
③客観的な効果がある(2018年大阪地震直後の差別や、豆塚氏への差別など無数に差別を煽動した)
ので、明らかに差別なのである。
このように人種差別撤廃条約というグローバルスタンダードをモノサシにすると、差別なのか、単なる区別なのかは、じつは容易に区別できるものなのである。
しかし問題は三浦瑠麗氏ではない。東京大学である。
これほど明白な差別煽動だった2018年2月の三浦瑠麗氏のスリーパーセル差別発言が、東京大学で何の処分もされなかったことが、今回2019年11月の大澤昇平氏の中国人差別を生み出したと言える。
もしも三浦氏が差別事件で解雇されていたら? あるいは解雇までいかずとも停職や減給などがされていたら? あるいはせめて東大が総長声明や所属機関長の声明で、スリーパーセル発言が許されざる差別であることを明言し、スリーパーセルという語を使って在日コリアンはじめマイノリティを差別することをやめるようよびかけていたら? あるいは東大が三浦氏のスリーパーセル発言を重く見て、教職員研修を行い、新任の教員に対して(大澤昇平氏も含めて)スリーパーセル発言事件を例にとるなど具体例を用いながら何が差別で何がそうでないのかを共有し事件の再発防止にとりくんでいたら? そしてそういう一つひとつの事例をマスコミが報道していたら?
大澤昇平氏はここまで大っぴらに、差別できていただろうか?
わたしは大澤昇平氏とは違い、差別が自然現象だとはみなさない。差別は社会的につくられる。だからこそ差別は防止することができる。
三浦氏のスリーパーセル差別発言を東大が放置したことが、大澤昇平氏の差別を生んだということができる。
(もっといえば、2003年に東大は学園祭で麻生太郎氏が講演会で創氏改名に関する歴史否定発言を放置してきているわけだし、また女性を排除するサークルを公認していたりと、差別を放置してきた責任は以前からあるので、それだけ差別防止措置をとらなかった責任は重い)
【以下、緊急提言】①大澤昇平氏と東京大学が防止すべき事態は何か
大澤昇平氏や東京大学はなにをすべきだろうか。
すでに長くなってしまったが、緊急に大澤昇平氏と東京大学がすべきこととして、現時点で言えることを書いておきたい。
事態は非常に深刻だ。私は大澤昇平氏が直接中国人差別をしたことよりも、その差別煽動効果のほうが憂慮すべきで、緊急に対処すべきだと考える。
上に書いた三浦瑠麗氏の2018年2月の差別発言が、いまだに差別を煽動し続けていることから教訓を得なければならない。
つまり権威ある東大教員の肩書をもつ大澤昇平氏が差別したために、たとえば以下のような差別が煽動されることを防がねばならない。
①大澤昇平氏の論法を使った差別の発生、増殖(中国人を採用しなくても、それは企業の自由だ等)
②SNSでの差別の煽動(大澤氏のツイートを利用する差別など)
③学校、企業、家庭などさまざまな社会空間で中国人(やマイノリティ)差別が煽動される事態
(特に東京大学。たとえば大澤氏の授業や、とくにIT関連の学部学科の学生がAIやIT企業を議論するさいに中国人差別が誘発されないか。あるいはキャンパス内で中国人留学生に「お前らはリスクがある」などのヘイトスピーチが投げつけられるなど)
④在特会や日本第一党などの極右差別主義者らが大澤昇平氏の差別を利用して、あるいは間接的にネタにして差別に利用する事態
⑤IT業界での中国人の採用を控える雇用差別の助長・煽動
このように具体的に、差別の煽動効果が現われそうな社会領域や起こりそうな差別行為を想定し、それを抑制するにはどうしたらよいか、と考えてゆけば実効的な差別防止アクションをとることができるだろう。
すでに大澤昇平氏の差別を支持するツイートも現れているだけに、事態は深刻だ。
提言②大澤昇平氏がすべきこと
次に大澤氏と東大がすべきことはなにか。
差別したとき、差別の社会的効果を抑制するという観点にたった責任の取り方を、私は下記連載記事で考察してきた。
道徳的に誠実であるだけでなく、リアルに危険な差別煽動効果を打ち消すためのポジティブな謝罪がありうる。それには①事実認定、②違法性の判断、③責任の履行や謝罪、④再発防止措置、という4つの必要なプロセスを通る必要がある。
決定的に重要なのは、①と②だ。つまり自分の過去の行為を認め(①)、それがルール違反=つまりグローバルスタンダードの差別禁止ルール(人種差別撤廃条約)に違反していたかどうかを判断する(②)ことだ。その結果、差別だと判断したなら、違法な差別をしたという判断のもとで、③と④を誠実かつポジティブに行うことが可能だろう。
①から④のプロセスに沿って、大澤昇平氏は次のことをすべきであろう。
①事実の認定。当該ツイートが差別であったと公的に認めること
②違法性の認定。①が人種差別撤廃条約第一条にいう差別に該当することを認めること。(つまり当該ツイートが、中国人というグループに対する、不平等な効果をもっていたことを認めること。)
③責任の履行。②の責任を果たすこと。つまり、
A当該ツイートの削除、
B謝罪(①と②の認識を公にしたうえで、中国人に対する差別を煽動した旨を謝罪する。社会一般に対しての謝罪と、在日中国人というグループへの謝罪が必要だろう)、
C辞職を含む職責にみあった責任の取り方。つまり東大教員という権威を使って差別した社会的責任をとって辞職するか、それに相当する処分を願い出るなど。
④再発防止措置。
A自分のツイートを使って中国人ほかマイノリティを差別をしないよう、ツイートで呼びかける。またサイトでもそれを公言する。東大の研究室にもサイトにもそれを掲示する。
B反差別研修を受ける。東大に加え、弁護士かNGO等と協力。
C自分の研究室や授業、ゼミで差別防止策をつくり実践する。東大にもそれを求める。
D IT業界や著名人とともに、自分のツイートが差別であったことを公言するとともに、IT業界が中国人の採用を控えることがないよう呼びかける。
上で要となるのが、①と②であることがわかるだろう。
決定的なのは、差別の定義を、自分の主観ではなく、グローバルスタンダードの人種差別撤廃条約をつかって、①事実認定と②違法性判断をすることだ。(大澤氏は東大教員なので、東大=国立大学法人=人種差別撤廃条約の義務を履行しなければならない)
それがなければ全て無になるといってよい。その場合、大澤氏はもしかしたら謝罪に追い込まれるかもしれないが、それはその場しのぎの日本型謝罪となるだけだろう。それがまずいのは、過去の差別の煽動効果がまったく野放しになってしまうことである。
提言③東京大学がすべきこと
東大の責任が最も重い。直接の大澤氏の差別行為を防げなかった責任は、東大が国立大学法人で人種差別撤廃条約を守らねばならない当事者であるだけに一層重いし、間接的な大澤氏の差別煽動効果を防止する上でも東大の責任は重大だ。
先の①から④に沿って、東大がとるべきポジティブな責任履行を提案する。
①事実の認定。東大は公的に調査チームを立ち上げて、
A大澤氏の当該ツイートを調査し、差別があるかどうかを公表すること。
B東大の、大澤氏の差別ツイートを許した学内体制にどんな欠陥があったかを調査し、東大に差別防止できなかった落ち度がないか調査すること。とくに実効的な差別禁止ルールが存在しなかったことと、三浦瑠麗氏のスリーパーセル差別発言を処分せず声明も出さず教職員研修もしなかったことが、差別発言の再発を招いた事実を認めること。
②違法性の認定。①の結果認められた事実が人種差別撤廃条約に照らしてどのように違反していたのかを判断すること。
A大澤氏のツイートが人種差別撤廃条約第一条にいう差別に該当することを判断すること。(つまり当該ツイートが、中国人というグループに対する、不平等な効果をもっていたことを判断すること。)
B東大が三浦瑠麗氏の差別を処分しなかったこと、東大に実効的な差別禁止ルールが存在しなかったことなどが、大澤氏の差別を許した、つまり差別を防止すべき人種差別撤廃条約上の義務に違反していなかったかどうかを判断すること。
③責任の履行。②の責任を果たすこと。つまり、
A大澤氏に対して。ツイート削除はじめ、前述の「大澤昇平氏がすべきこと」で書いたことを本人に対して行うようにすること。とくに辞職させるなど処分すること。
〔11月26日加筆:辞職決定まで時間がかかるなら暫定措置として授業の停止と学生への代替措置や、当該授業での差別防止策を緊急にとること〕
B東大が総長声明あるいは学部長声明などをつうじて、公的に、大澤氏が差別したことを非難し、二次的な差別が起こらないよう強く呼びかけること。
C東大の体制に関しては、米国の大学のヘイトスピーチ規制などを参考にして、実効的な差別禁止ルールをつくり、教職員研修を徹底すること。また三浦瑠麗氏に対してはスリーパーセル差別発言について辞職含む処分を行うこと。
④再発防止措置。
A前述の「大澤昇平氏がすべきこと」で書いたことを本人に対して行うようにすること(自分のツイートを使って中国人ほかマイノリティを差別をしないよう、ツイートで呼びかける。またサイトでもそれを公言する。東大の研究室にもサイトにもそれを掲示するなど)。
B③で制定した実効的な差別禁止ルールに基づいて、反差別研修の全教職員に実施すること。東大に加え、弁護士かNGO等と協力。
C①②③について東大が掲示板やサイトで公表し、大澤氏の差別を利用して、差別を正当化したり二次的な差別をすることが絶対に無いよう強く呼びかけること。
D IT業界が中国人の採用を控えることがないよう呼びかける。
AIを利用した差別を正当化してはいけない
最後に。
大澤氏のツイートが抱える問題は、じつはこれだけではない。
もっと深刻なツイートをしている。記録もかねて、例をあげよう。
一読して、あまりにも重大なことがわかるだろう。私は次のように批判した。
この問題については次回書こうと思う。