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僕が出版社CUONとチェッコリの代表キム・スンボクさんのイベントに参加した感想。

はじめに。

2023年4月8日(土)にオンライン (ZOOM) にて、僕が応援している出版社CUONとチェッコリの代表を務めているキム・スンボクさん (以下 : キムさん) のイベントが開催されました。

当イベントを延期になっていたみたいなんですが、僕としては延期になってくれていたおかげで無事にリアルタイムで参加することができて嬉しく思います♪

まず、当イベントが始まって衝撃の事実をキムさんの口から告げられました。なんと、最近までガン治療をされていたという事実です。今でも3ヶ月に1回は経過観察のために通院はされているとのことでしたが、治療されていた当時は抗がん剤などによって頭髪が抜け落ちてしまっていたようです。

zoomでの配信画面 (上手にスクショできずに申し訳ありません。)

「今はしっかり地毛で、カツラではないです。」と笑いながら仰っていて安心しました。キムさん、白眼鏡似合ってて素敵ですね。ダックスフントの服も可愛いです。

キム・スンボク (金承福) さんのプロフィール

ソウル芸術大学文芸創作科で現代詩を専攻。
1991年卒業し渡来。日本大学芸術学部文芸科卒。
広告代理店勤務後、2000年には縁あってWeb制作会社社長となる。
「来日してから欠かさなかったことは韓国の詩や小説を読むこと」というほどの本好きが高じて、韓国小説を日本語で翻訳をし、友人らに読ませ続ける中、友人にいわれた一言で自ら出版社を立ち上げて出版することを決心し、2007年株式会社クオンを立ちげる。
そして事務所移転に伴い2015年7月7日神田神保町に韓国語原書書籍・韓国関連本を専門に扱うブックカフェ「CHEKCCORI(チェッコリ)」をオープンした。

https://www.shin-gogaku.com/ikebukuro/event/detail.php?aid=175

キムさんは、幼少期の頃から読書をよくするくらい本が好きだったようです。それもあって小学校や中学校の催し物の文章大会を経て自分が書くことが好きだと認識したようです。

大学はソウル芸術大学文芸創作科で現代詩を専攻し、詩人を一度は目指しますが、他の学生や詩人の詩集を読んでいたら自分が書いた詩と違うことととてもいい詩に出会えたことによって、自分は書き手よりも読み手でいたいと強く思い、書くことに興味がなくなってしまったようです。キムさんが書いた詩も是非読みたいのに、すごく残念です。

しかし、書き手よりも読み手でいたいという気持ちとその経験によって、今のキムさんが存在しているといっても過言ではなさそうです。

また、留学するときに一度イギリスを選択しますが、実父に「イギリスは遠くないか?」と言われ「じゃあ日本ならいい?」とキムさんが応えて留学先が日本になったというエピソードを語ってくれました。
キムさんが記者としてラブホテルを1人で取材したというもう1つのエピソードをお話を聞けた時は思わず笑ってしまいました。笑

キムさんは何故韓国に帰らずに日本でお仕事をしているのか。

日本での留学を経ていざ韓国で就職しようとしていた1997年は金融危機だったこともあって韓国に帰国しても仕事が見つからないだろうという両親の話によって日本で就職することに決めたようです。

キムさんが初めて就職したのは広告の会社で主にWeb広告を扱っていたようです。当時の韓国はIT大国と言われていましたが、日本はまだまだで大変だったようです。韓留ドットコム??はキムさんが手掛けたサイトでもあるみたいですね。そんな中、2000年にWeb制作会社を立ち上げました。

出版社CUONの誕生秘話。

キムさんは、2007年頃に日本と韓国を跨ぐエージェントという役割で本を紹介して仲介するお仕事を始めますが、当時は韓国で日本文学は売れても日本でも韓国文学がなかなか売れないし成立しなかったようです。
本を進めても出版社が出版してくれないと友人に話したら「じゃあ、あなたが出版したらいいんじゃない?」という言葉によって、今の出版社CUONが誕生したようです♪

こちらの『菜食主義者』は、その出版社CUONが初めて出版した書籍です。
ちなみに僕が初めて読んだ韓国文学もこの書籍で、CUONを知ったのもこの書籍がきっかけです。『菜食主義者』の文庫化期待しています!!!
キムさんは作家さんと街中でばったりと遭遇することも多いらしく、本書の著者ハン・ガンさんとイギリス(ロンドン)の横断歩道でばったりと遭遇したこともあるみたいです。すごい。笑

順風満帆に見えたキムさんですが、本が売れなくて鬱っぽくなってしまった時期もあるようで、橋を通る度にここを飛び降りようと考えたこともあるようです。僕もメンタルをやられた時期もあって今も完治しているかと言われたらわからない状態なので、ものすごくキムさんの気持ちが分かる気がします。

それでも、健気に努力して今では「仕事が好きだ」と言えるくらい元気にお仕事をされているようです。いやー安心しました!!!

キムさんが出版する本の選定基準とは。

キムさんが出版する本の選定基準は「自分が大好きな作家や本」であることのようです。キムさん自身が大好きな作家や本を出版しているからこそ、我々読者は安心や信用して読むことができるんですね♪
翻訳者を決める基準は "縁" が大事なようです。アピールが大事なんですね。

出版社CUONで刊行された『設計者』(新しい韓国の文学)について。

実は当イベントの進行役を務められた方は『設計者』というCUONで刊行された書籍の翻訳を担当された方でもあるんです。

オ・スンヨン(以下 : オさん)というお名前で新大久保語学院に在籍されている方です。

zoomでの配信画面 (上手にスクショできずに申し訳ありません。)

オさんは丸眼鏡が似合うとても綺麗な方ですね。個人的に眼鏡かけるのも好きですし、眼鏡かけた方を観るのも好きです。

オさんが『設計者』の翻訳を担当された経緯は、キムさんに自作の小説を書いて持っていったら、「まだまだ作家になるには力不足"だけど"翻訳をやってみないか?」とキムさんに依頼されたからのようです。

しかし、オさんは文章が書きたいのであって他の人の文章を翻訳したい訳ではないと一度依頼を断ったようです。それでも、原書を一度読んだら面白かったため、結局その依頼を受けることにしたとか。まだ『設計者』は読めていないので、また読んで僕のinstagramに感想を投稿しようと思います。

ちなみに冒頭にキムさんがガン治療されていたことはお伝えしましたが、入院されている際に、オさんが分厚い自作の小説を持ってお見舞いにきたという大変貴重なお話も聞けました。

出版社CUONが主催している「翻訳コンクール」について。

CUONでは定期的に翻訳者を目指している方のために「翻訳コンクール」というものを開催しています。

その際にどこを見て判断するのかというと、「いい文章に翻訳してあるもの」「自然な日本語になっているもの」の2つのようです。人によって判断基準が違うかもしれませんが、少なくてもキムさんはそう仰っていました。

ちなみに「翻訳コンクール」に参加したり、日韓翻訳家を目指す方の90%が女性らしいです。つまり、僕は残りの10%の男性に入るという訳ですね。
僕も日韓翻訳家になった暁にはCUONさんとお仕事がしたいものです♪

キムさんに対する質問コーナーで、「翻訳家デビューしたものの仕事の取り方が分からない」という質問に対して、キムさんはこう応えました。
【いい本、面白い本だと思った原書を出版社に持ちかけて提案するといい。今の時代ならSNSで簡単に出来てしまう。私はこういう韓国の本を持っていて翻訳して是非出版したいと大いにアピールするべき。】だと。

ちなみに、日韓翻訳者には韓国語だけでなくても母国語の日本語のスキルも大事だと仰っていました。これに関してはそのような関係者が口を酸っぱくしてよく言っていることですよね!!
あと、読むのが仕事だと。

キムさんのこれからの夢

ハングル語で書かれている本は韓国だけでなくて、北朝鮮などでも書かれているので、そういった国で出版されている本ももっとCUONで取り上げていきたい(既にもう手をつけている)とキムさんの夢を語ってくれました。僕の解釈ではCUONという会社をもっと大きくしたいんだとそう感じました。

実際に僕が用意した【CUONに就職したいと考えているのですが、もし求人募集を出すとしたら、どこのポジションでどういった人材を求めますか?】という質問に、キムさんはこう応えました。
【まだまだ規模の小さな出版社だから公に求人募集をしていませんが、もし出すなら本をどうやって売るのかなどを一緒に考えてくれる人です。】
このように応えてくれました。つまり、協調性や向上意欲があり、マーケティングに長けている人ということなので、そのようなことを勉強しつつ今僕がやっている活動が少しでもお役に立てたら嬉しいなと思いました。

キムさんに対する他の質問。

キムさんは他にいくつかの質問に応えてくれましたが、その中でためになった質問と解答が「本の手放し方について」です。
僕も如何せん読書をよくするので、本が溜まってくるんですよね。
それでも、なかなか手放しづらかったりするんですが、この質問に対してキムさんは「私はよく本を手放していて、その方法は「チェッコリ」で売ることだと仰っていました。

「チェッコリ」というCUONが運営している書店では中古販売もしているんですが、そこの棚に並べるようです。とてもキムさんらしい解答ですね。
中には、キムさん宛てに書かれたその本の著者のサインや手紙が入っていたりして、それに気づいた購入者がキムさんに戻してくれることもあるみたいです。少し天然なエピソードも聴けて嬉しいです。笑

当イベントの最後に直接キムさんに質問ができる時間を設けていただいたので、僕はずっと気になっていたことを聞いてみました。
「出版社CUONが出来たのが2007年7月、そしてチェッコリができたのが2015年7月。つまり、両方とも7月に誕生した訳ですが、この月になにか意味があるのでしょうか。」
僕はそう質問してみました。そしたらキムさんは、こう応えました。
「CUONが誕生した月に意味はないですが、チェッコリが誕生した月には意味があります。チェッコリが誕生したのが7月7日なので、七夕の日なんです。人と会う、そして本と会うという意味を込めたのと実父の誕生日だからです。」と詳しく、そして丁寧に教えていただきました。ありがとうございます。

さいごに。

キム・スンボクさんは日本にK-BOOKブームを巻き起こしたパイオニアと言っても過言ではない存在です。
まだCUONから刊行された書籍を読んだことがない方も既に読んだことある方も是非一緒に『出版社CUON』及び『チェッコリ』を応援していきましょう♪

【最後に僕がおすすめするキムさんが登壇する番組をいくつかご紹介します。】

https://www.youtube.com/watch?v=_NJZi4sFbEI


【韓国文学が好きまたは興味があるあなたに僕がおすすめするyoutubeチャンネル3選。】

Ryuki


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Ryuki


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