ジリ貧を避ける

先日新聞の方に起業の経緯などを取材をしていただきました。高専に入学した時からの話をしました。記者の方から
「高専入学時から戦略的にやられていたのですね」
という感想をもらいました。私が普通科高校に入らなかったこと、起業を選んだこと、今回起業の分野として農業を選んだことなどから共通点を見つけてもらったようでした。とてもインタビューの上手い方でした。

私としては戦略を立ててやっていたというよりは、そういうふうにしかやってこれなかったので、ジリ貧を避けるという考え方から、必然だったり、消去法で選んできた感じも強いのですが、よく言えば戦略通りということなのでしょう。どのあたりがそう思ってもらえたのか例をいくつか紹介します。

  • 普通科高校に行かずに高専に入った理由はロボットコンテストに出たかったらだが、一番の普通科の高校には進学できる成績ではなかったというのもあった。

    • 二番手以下の高校にいくと、当然二番手以下の大学に行く可能性が高く、その先どうなるか不安があった。であれば工業系で一番の学校に行くべきだと考え高専を選んだ。

    • 第二志望には商業系、第三志望に農業系で一番の高校を希望として出して先生に脈絡がないと怒られたりしていた

  • 最初に買った車はゴルフ1カブリオレ(確か50万円)という旧車だった。自分の予算の中で買える中途半端な車に乗っているようでは車を買っても楽しくないしモテないと思った。モテはしなかったが楽しい思い出になった。

  • 就職しなかった。いいところに就職できればいいが、優秀な同級生には就職活動で勝てなさそうだったし、全国の学生を競争するなら尚更なので、学校の心理検査で『超内向的』という診断を受けた私は就活という勝負には参加してはいけないと思った。

    • 他には投資家、競馬で儲けるなども考えたが、事業オーナーになるのが一番確率が高いと判断した。

  • 1社目に立ち上げた会社でVCからの資金提供を受け、受託の仕事を一切やめた。共同創業者とはかなり議論になり、私も自己資本での経営を止めるのは不安だったが、会社を立ち上げて2年目でずるずると受託で中途半端になっていくのが怖かった。思い描いていたような会社にするには調達を受け入れて全リソースを今のサービスに傾け、大成功か倒産かという道を選ぶしかないという決断をした。結果資金調達で会社は成長した。

  • 子どもが産まれ引っ越すにあたり自分が借りれる範囲で一番高い中古のマンションを購入した。賃貸や安いマンションではインフレに負けていくだけであり、住んでて資産となるのは買える範囲で一番高いマンションだという結論に至った。

こういう考えは心の中で「ジリ貧を避ける」「宝くじを1枚は持っておく」みたいな感じで常に何か決断をする時は考えるようにしています。

ジリ貧

こういう時のジリ貧というのは私の好きな将棋でよく使われる用語でもあります。すぐには負けないけれども、最善手を差し続けても望みがない局面、勝ち目がない局面のことです。そうなったらリスクが高くても相手のミスを誘発するような他の選択肢を選ぶ必要があります。(羽生善治九段がTEDxで話しています

私は将棋が好きですが麻雀の方が例えとしては人生に近いかもしれません。自分が負けないためには確率が低くても順位がひっくり返るような高得点の役を狙わなくてはいけません。麻雀だと明らかですが人生だと意外と「他の人と同じでいいか」と私も流されてしまうことがあるから不思議です。

ジリ貧ならいつでもリスクを取るべきか?

そうではないと思います。お金や時間を大きく失わない方がいいです。私がリスクを取るのは、リターンが賭け金に対してとても大きい時です。得られるリターンが賭け金に対して100倍になる、自分の所持金に対して何倍にもなる可能性がある時がチャンスです。逆に損失の最大が見えてないような時はリスクを取ってはいけません。当たり前ですがリターンが100倍見込めるなら100打席1安打でいいですが、リスクが無限なら一発退場だからです。

使いすぎ注意

ただし、ジリ貧を避けるという方法は使いすぎ注意です。なぜなら目の前の課題から逃げ続ける言い訳にも使いやすいからです。ただ無闇にリスクが高いことを狙う考え方とは違います。基本は1位をまっすぐ狙いながら、ダメな時にはジリ貧を避ける行動をとるというのが大事です。

最後に

「よくそんなリスクを取りますね」「怖くないですか」と聞かれる時もよくあるのですが、そういう時も「リスク取ってるけどこれが最前手なんですよ」と思うことが多いです。そのリスクを取らないとジリ貧だから仕方がなく取っているのです。他の人から見た時にはリスクが高く見えているだけなのでしょう。

皆さんは大事な決断をするときに考えるコツやルールはありますか?ぜひ教えてください。

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