見出し画像

お金を出して二酸化炭素を買ってる話

こんにちは、トクイテンの豊吉です。トクイテンでは農場を拡大していくべく次の農地を探しているのですが次の条件を掲げています。

  • 排熱や地熱が近隣で入手でき冬の暖房代を節約できる

  • 工場などの横で二酸化炭素が安価に手に入る

そのため、自治体や製造業の企業に連絡をとらせていただいて条件に合う農地がないかと探しております。

そういった話をする中で、結構農家が二酸化炭素を必要としているというのに驚かれることがあるのでその話を紹介します。

トマトを作るには光合成が必要で、光合成には二酸化炭素が必要

植物は光合成という反応をして自分自身に必要な物質をつくっているというのは小学校で習ったことを覚えている人も多いと思います。

光合成は光と水と二酸化炭素を吸収して行われますが、逆にいうと光合成ができないと植物は成長せず、トマトもできず、おいしくもなりません。

施設園芸(ハウス栽培)では二酸化炭素が足りなくなる

施設園芸では冬は熱が逃げないように閉め切って栽培をしています。そのため植物が二酸化炭素を吸い続けると、施設内は外気より二酸化炭素濃度が低い状態になります。人間が酸欠になる逆のような状態です。

そうなると夏であれば換気をすればいいのですが、冬は冷たい風が入ってきてしまい温度が下がるのでできません。

そこで、農家は二酸化炭素をボンベから供給したり、灯油を焚いて二酸化炭素を発生させたりするのです。(炭酸ガス発生器という名前で売られています)

さらに、外気より濃度を上げると植物は喜ぶ

温室内のCO2濃度を340 ppm(1995年時点)から2倍に増加させると、様々な農作物に対する実験結果を平均すると生長量が20%ほど上昇することがわかっている

農業におけるCO₂の有効利用(CCU)の推進 | キヤノングローバル戦略研究所 https://cigs.canon/article/20201209_5523.html

上記のサイトにもあるように、外気の二酸化炭素濃度(約400ppm)よりも濃度を上げるとさらに成長するというデータもあります。これは太古の昔はもっと二酸化炭素濃度が高く、植物はその環境下で進化・発展してきたからという説があります。植物が地球上に大繁殖したから段々と下がっていって今の二酸化炭素濃度に落ち着いているというわけですね。

トクイテンは二酸化炭素をボンベで買っている

この茶色のシートの裏に緑色のボンベ(通称みどぼん)が数本ある

というわけで、トクイテンでも二酸化炭素を外部から供給しています。ハウス内の濃度を計測しており下がったら自動で供給される仕組みで自動化しています。

工場などで排出されたものを大気に捨てるのではなく植物に吸わせているのでエコですが、わざわざトラックで運んでもらっているのはなんとかならないかと感じています。

理想的な取り組み

上記の例ではカゴメが野菜ジュースの工場ででた二酸化炭素をトマトのハウスにパイプラインで直接入れています。

何十キロのパイプライン。余ったものは海に溶かす (https://www.ocap.nl/)

先日視察にも行ったオランダではさらに農家にとってリッチな取り組みがされています。製油所から排出された二酸化炭素をパイプラインを通して農業地帯まで運んでくれているのです。五百以上の農家で共同利用しているということです。

まとめ

冬の施設園芸では二酸化炭素が足りなくなるので多くの農家は二酸化炭素の入手に費用をかけているという話でした。

この記事を読んで「そういえばうちの会社って二酸化炭素余ってるし隣に農地あるな」と思った方、ぜひお知らせください。排熱でもいいです。我々に農業をやらせてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?