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Starting Out: Grand Archive TCG Vol. 15 - 優先権について

前回書いたターン進行では、優先権について、その発生がどこにあるか、だけを書いていきました。
今回は、それに続いて優先権が発生した後、カードがどのようにプレイされ、解決されていくかをまとめます。
前回同様(というか前回以上に)かなりテクニカルな内容なので、若干難しいかもしれません。

優先権の大原則

優先権。
Grand Archiveでは厳密に定まる用語としては、Opportunity。
その仕組みは、IT業界っぽい概念でできています。
ゲームによって微妙に違いはありますが、Grand Archiveでは、

  1. 優先権をもつプレイヤーのみがカードのプレイや効果の起動ができる

  2. 優先権をもつプレイヤーが何かしら行動し終えたら、相手に優先権が移る

  3. カードのプレイ/効果の起動と、実際にそれを解決するのは別

  4. 1枚解決するごとに優先権が再発生

が原則です(1対1のみを想定して言葉を使っています)。
それぞれ、順番に見ていきます。

1. 優先権をもつプレイヤーのみがカードのプレイや効果の起動ができる

相手の番でもカードのプレイはできますが、「いっせーの、せ!」って同時にプレイするわけではありません。
常に、同時に1人ずつ順番にプレイします。
その順番を決める概念が優先権です。
優先権をもつプレイヤーは、その権利として、以下の選択肢から1つを選んで実行できます

  • カードに書かれた効果を起動する

  • Fastスピードでプレイできるカードをプレイする

  • それが自分のMainフェーズ中であり、他にカードや効果が実行されていない場合、Slowスピードのカードをプレイする

  • パス

特にパスについて、今は一旦、「そういう選択肢があるんだなー」くらいに思ってください。
すぐ解説します。

2. 優先権をもつプレイヤーが何かしら行動し終えたら、相手に優先権が移る

複数のカードや効果を続けてプレイすることもできます。
「パス」を選ぶまでは、優先権は動きません。
誰かが行動を実行し終えたら、すなわち「パス」を選んだら、優先権は即相手に移ります
原理としては必ず行動し終えたら相手に「何かありますか?」と聞いている体となります。
もちろん、最初に行動をしたプレイヤーからその相手に渡される優先権は、もともとの優先権と同じ権利をもらっているので、上で書いた4つの選択肢から選択して実行する、ということはかわりません。
相手に優先権を渡す、ということは、暗黙に「パス」を選択しているのと同じ扱いになります。

3. カードのプレイ/効果の起動と、実際にそれを解決するのは別

さて、ここまでさりげなく使ってきた"実行"という単語ですが、少し厳密にこの言葉を考える必要があるタイミングになりました。
ここでいう実行は、あくまでそのカードのプレイや効果の起動をして、「今からこれを使いたいよ!」と相手に宣言するまでを指していました。
ここに至るまでで、いかなるカードや効果も、実行だけでは盤面には原則として何も影響を与えていません
優先権をもつプレイヤーが実行した行動は、そのコストの支払い以外何も変化を作っていない状態です。
2人のプレイヤーが続けてパスを選択すると、初めてカードの解決を行います

実行されたカードや効果が盤面/局面に影響を与えるには、解決される必要があります。
総合ルール中で、"first-in-last-out (FILO) system"と書かれているように、最初に実行されたカードや効果は、最後に解決されるのがこのゲームの優先権処理の決まりです。


実際の例を出しながら説明します(ちょっと長いよ)。
画像は相変わらずのhttps://build-v2.silvie.org からのスクリーンショットです。
今はAさんのターン、ということにしましょう。

TauntもFloating Memoryもあるのは極めて優秀。

このカードがすでに対戦相手であるBさんのコントロールで場にあるとします。
Tauntなので、Championに確実にAllyによるAttackを通すためには場からいなくなってもらうしかないのですが、Floating Memoryももっているため、(いくら相手がすでにLv3のArisannaになっているとはいえ、まだ出てきてないRegaliaを簡単に出させたくないので、)破壊したくはありません。
そこで、AさんはゲームからStalwart Shieldmateを一瞬除外したい、と思いました。

AllyだけじゃなくてregaliaまでSuppressできる優れものです。

Suppressすれば、そのターン中に限るとはいえ、場から取り除いた上で墓地にもいかない、ということが可能です。
そういう目論見でShieldmateを対象としながらZephyrをプレイしますが、ここではまだあくまでプレイだけです
これをプレイして、Bさんに「何かありますか?」と問いかけます(つまり、パスしました)。

このカードがプレイされたことを見たBさん、その目論見に気づきます。
そして、当然それはうれしくないので、手札を見ながらじっくり考え、あるカードが使えそうだ、と気づきます。

3つのモードから効果を選べるMRCのカード、Water編。

Bさんはこのカードをプレイして、Aさんに「2コスト払わないとZephyrは打ち消し、つまりZephyrは失敗だよ」と問いかけます。
やっぱりまだ、ここではプレイだけで、Aさんはまだ2コスト分の支払いをするかどうかはまだ決まっていませんし、その判断もしません
Bさんはこれで手札がなくなったので、パスです。
このまま払えないでいてくれたらうれしいところ。

今度はAさんが行動する番です。
手札は1枚しかないのですが……

ゲームから取り除くことでお互いに1枚引くRegalia。
タイミングに指定がないので、Fastスピードで使える効果です。

そういえばこんなRegaliaがまだ自分の場にありました。
追放したら1枚引けて、この打ち消しをとめられます。
相手にも1枚引かせてしまいますが、1枚ならきっと大丈夫、そう思いながらこれを追放して、Bさんに「お互い1枚引こうよ」と問いかけます。
やっぱりここでも、引くのはまだですよ!
追放するだけで行動を終えたので、扱いとしては「パス」です。

問いかけられたBさん、もう手札がないので対応できません。
場にも有効なRegaliaが出てなさそうなので、この優先権のやり取りでパスをしました。

2人続けてパスしました。
使われたカードがどうなってるかを確認すると、最初のカードから順番に、

  1. Zephyr

  2. Cerulean Decree

  3. Bauble of Abundance

となっています。
最後に出たカードから順番に解決するので、まずBauble of Abundanceが解決されます。
ようやくお互いが1枚引きます!

で、お互いが1枚引いた結果、Bauble of Abundanceは解決されたので、次に解決するのはCerulean Decreeです。
Aさんは、(その解決まで進んだ段階で、)2コストを支払ってCerulean Decreeの打ち消しを防ぎました


と、こんな感じで、カードを解決していきます。
最後に使ったカードや効果から、順番に最初に使ったカードや効果までどんどん戻っていきながら処理していくことになるのです

4. 1枚解決するごとに優先権が再発生

さて、ここまでだったらまだ少し簡単、だったかもしれません。
この仕組みを難しく、かつ面白くしているのはここからです。
実は、カード1枚や効果1つを解決するごとに、もう1回「何かありますか?」のやり取りを繰り返すのがルールです
どういうことか見ていくため、さっきの例に戻りましょう。


BさんがプレイしたCerulean Decreeは打ち消しに失敗しました。
そうすると、今プレイされているカードはZephyr 1枚だけです。
これの解決に入りたいのですが、ルールとしてはここでお互いまたカードや効果を使うか確認が必要です。
まあ、AさんはCerulean Decreeの打ち消し阻止のために手札を全部使ってしまったし、Regaliaにももう有効そうなカードがないため、パスを選び、Bさんに「何か使いますか?」と聞きました。

聞かれたBさん、Aさんの追放領域を確認してから(喜びながら)、「はい、Astral Sealをプレイします」と答えました。

いずれかのBanishment=追放領域にあるカードなら、なんでも0コストで打ち消します。

Aさん、実はChampionをLv1に上げる時にZephyrをMemoryから追放していたんですって。
Bauble of Abundanceで引いた1枚が、あまりにも効果的な1枚でした。

これをプレイすると、使ったカードはこんな感じになっています。

  1. Zephyr

  2. Astral Seal

  3. Cerulean Decree

  4. Bauble of Abundance

3と4は解決済みなのでもうありませんが、そのCerulean Decreeが解決された後の場所にAstral Sealが入ります。
新しくカードがプレイされたので、また優先権の確認です
とはいえ、お互いもう完全に手札もないので、お互いパスを選び続け、そのままZephyrは打ち消されて、Stalward Shieldmateは無事(?)そのまま場に残りましたとさ。


3と4が特に難しい、となる人が多いと思います。
でも、Grand Archiveを目いっぱい楽しむためには、慣れるしかないので慣れてください
一度慣れると簡単に処理できるようになり、Grand Archiveに限らず様々なTCGをより遊べるようになるはずです。

ちなみに。
このゲームでは上の一連の処理を、Effect Stackと呼びます
ルール等を読む際は、この語を覚えておくと読みやすいと思います。

全部テキストじゃわからないよ! - まとめにかえて

一応、上記の通り優先権とその解決について、ざっくり例を交えながら解説しました。
が、簡単じゃないものを長ったらしく説明したせいでわからない、という人もいると思います。
そんな方へ、朗報です。
全部英語ですが、https://www.reddit.com/r/grandarchivetcg/comments/11hq4jr/opportunity_system_flowchart_simple_version/#lightbox
こんなチートペーパーがあります。
上で書いた解説通りのことが、簡単なフロー図で書いてあります
……私が作ったものではないので、日本語版はないです。
ごめんなさい。

また、動画のほうがいいという方は、
https://www.youtube.com/watch?v=K4j9B6rDLF8
を見ていただくとわかりやすいと思います。
……これも私が作ったものではないので、日本語版はないです。
ごめんなさい。

さて、宣伝コーナーですが、今回もお休みです。
次回からは復活の予定ですが、前回と今回は、その性質上頻繁に参照することが多いと思うので、一過性の情報を除いております。

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