『冬の旅』(Sans Toit ni Loi, The Vagabond)を菊川の映画館Strangerで見た。
アニエス・ヴァルダ監督・脚本作品(1985年製作/91年公開)。サンドリーヌ・ボネール主演。
冬のある日の早朝。南仏の寂しい畑で、18歳の少女が孤独な旅の果てに野垂れ死んだ。彼女の名前はモナ。海から野原へ。彼女の孤独な旅の様子が、旅路で出会った人々のドキュメンタリー風の証言映像を挟みながら語られる。
「私にはモナが海から来たように思える。」
ヴァルダによ
HBO制作のアメリカのドラマ『EUPHORIA』を見て、アメリカの人たちは逞しいと思った。ドラッグと銃がこれだけ身近に溢れていて、暴力を介してしか他者と繋がれない人たちに囲まれていても、正面から事態を受け止めて物語る力があることが眩しい。だからタイトルはサラ・ポーリー監督作の『物語る私たち』(Stories We Tell)でもよかったと思う。
白昼夢の無菌状態の冷凍都市で寄る辺ない闇に落っこち続けている90年以降のニッポンの30年を「物語る私たち」する作品が出現したら、