黄色い果実
久しぶりに実家に帰った。
周囲をぐるりと囲む山々が、茶色くなっていた。
前に帰ったときは、緑だった。
軽く散歩に出ると、以前緑色だったはっさくの実が黄色く色づいていた。
『橘始黄(たちばなはじめてきばむ)』を体感できて、ワクワクした。
自然は順調だ。
時間の経過とともに、在るものは変化していく。
成長もあれば衰退もあるだろう。
衰えていく両親を見ると、しあわせに過ごしてほしいと願う。
長く懸命に生きた人が、ただしあわせにつつがなく暮らせる社会の実現というのは、そんなに難しいことなのだろうか。
誰もが長生きすればお年寄りになる。
お年寄りがしあわせな時を過ごせるということは、明るい希望になると思うけどな。
どこかから、少しずつでもいい。
黄色い果実のように、明るいしあわせな光を発していきたいと思う。