音楽をする人たちのための「音」に関する知識を掘り下げてみよう!(その1)

こんにちは、最近ラウドネスノーマライゼーション(ちょっと前からちょくちょく話題)だとか音圧戦争(ちょっと古い)だとかそういう議論を私の周りではよく巻き起こります。

ですが、音量(音の大きさ)ってなによ?音圧ってなによ?てかそもそも音って何よ?って話ってあんまり一致していないな?と最近感じています。そこで今回は複数回に分けて、音についてなんか全般、理科とか全然わかんない人でもわかるように書いていこうかなと思います。

「音源データ」から「音を感じる」経路



そもそも今日音楽が耳に届くまでどんな経路があるかって話をしておきます。そうすることで、これから話す世界の全貌を見渡しておきましょう。

音源データから音を感じるまで

普段音楽を楽しもうとしたら、まず音源データが必要で、音源データの再生機器を通して、音楽が耳に届けられて、音を感じることができる。こういうイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか?これは間違いではないですが、この解像度をもう少し下げて考えていきましょう。

音源データから再生機器を拡大してみる

まず音源データから再生機器の間を拡大してみていきましょう。

拡大部分1

拡大してみたものが以下になります。

音源データからスピーカーまでを詳しくした経路

ちょっと字が小さいかもしれませんが、拡大してみました。ちょっとオーディオがわかる人にとっては常識的で、または物足りない部分があるかもしれませんが、分からない人にとってはいきなり複雑だと思うので、ちょっとだけ解説します。

  1. 音源データを読み込み、デジタル信号(電気)を送る(コンピュータ) 。現代ではレコードやCDで音楽を聴く人が(残念ながら)まず少数ですので、iPhoneやパソコンで音楽を聴くと想定します。まず「音源データ」があります。これはパソコンやiPhoneなどに保存されていたり、もしくはインターネットを通じてクラウド上に乗っかっているかもしれませんね。そのデータをコンピュータが読み込み電気のデジタル信号を送ります。

  2. デジタル信号をアナログ信号に変換する(DAC, デジタルアナログ変換器)。コンピュータが送信するデータは基本的にデジタル信号(詳しくは別の記事で解説しますので、今はカクカクした信号と思ってください)なので、それをアナログ信号(なめらかな信号と思ってください)に変換します。

  3. アナログ信号を強める(アンプ)。DACのアナログの電気信号ではスピーカーを動かすにはとても弱い信号なので、スピーカーが動くように強める必要があります。これがアンプの役割です。

  4. 電気信号から音響信号へ変換する。スピーカーはよく音量を大きくする装置だとい勘違いされがちですが、オーディオの世界では、電気信号を音響信号(音)へと変換する装置とみなしてください。
     
    この辺りはしっかり分からなくてもこの後の記事などで詳しく丁寧に解説しますので、雰囲気でこんな感じだと思っていただければと思います。

スピーカーにまつわる3つの分野

さて、上の図で、スピーカーについてもうちょっと掘り下げておきたいと思います。ちょっと先の図のスピーカーの部分を切り取ってみましょう。

スピーカー電気信号から音響信号に変換する

さて、この図の通りスピーカーは電気音響変換器としてみなすことができます。実はこれはもう少し詳しくしてみると、以下の図のようになります。

スピーカー:電気から機械を得て音響へ

電気信号がどのように音響信号に変換するかなんですが、電気の振動から、それを機械の振動に変換します。スマホとかのバイブレーションとかをイメージしていただくと良いと思いますが、電気の振動によって、スピーカーにある振動する部品が振動することによって、空気が振動して音響信号となると考えてください。

ここで重要なのが、スピーカーを考えるときには電気、機械、音響の3つの分野にまたがって考えなければいけないということです。ちなみに、マイクロフォンはスピーカーの逆バージョンと考えてください。(音響→機械→電気の変換器)

音が聞こえるまで

さて、最後に人間が「音が耳に届けられて、音を感じることができる」という点についてちょと解像度を上げましょう。

音を感じるまで

解像度を上げると何が出てくるかっていえば、耳の構造から、神経を伝わって脳まで伝達されるということになります。

音が脳に届くまで

耳について構造から外耳、中耳、内耳などの話を詳しくしたいのですが、長くなるので、また詳細なことは、別途記事を書いてみようと考えています。


「脳で音響信号を処理する」ことは、「音が聞こえる」ということではない。

実のところ重要な話をしておきたいのですが、さて、音源データが脳まで送り届けられる話をして、ここまで書いてきたのですが、実のところ、「音を感じる」までには達していません。なぜなら、脳に電気信号が処理されたとしても、その人が音を感じる証明にはならないからです。

「音を感じる」ということはとても感覚的、主観的な体験です。つまりその人が、「音を感じた」という感覚を持たない限り、「音が聞こえる」とはならないのです。

では、「ある音が聞こえる」というにはどうすればいいでしょうか?この質問には主語がありませんが、例えば「ある人がある音を聞こえる」かどうかを証明するのは簡単です。その人に「聞こえますか?」と尋ねればいいのです(もちろん、その人が嘘をつかない、だまさない信頼関係があればという話ですが)。主語を広げて、「人間はその音が聞こえる」と科学的に証明するにはどうすればいいでしょうか?それは、たくさんの人に「聞こえますか?」と尋ねて、多くの人が聞こえるとするならば、人間にとって聞こえる音ってのがわかるのです。

そうやって、音の感じ方を調べる方法を主観評価法と言ったり、また音の感じ方などを研究する学問を音響心理学または聴覚心理学と言ったりします。

さて、今回は以上にします。次回は、「音」の現象について詳しく書いていこうかなと思います。

今後とも継続して記事を更新していきたいと思いますが、ぜひともサポート(投げ銭)していただくとモチベが上がりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

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