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読書「自省録」

10月4冊目は岩波書店「マルクス・アウレーリウス 自省録」です。

自省録は、ローマ皇帝マルクス・アウレリウスが、戦場や困難な状況の中で自身の内面を見つめ、日々をどう生きるべきかを問い続けた哲学的な随想集です。

自省録のテーマ

現在に集中し、自分を律することの大切さ

アウレリウスは、「今この瞬間」に意識を集中し、過去や未来にとらわれないことを強調します。自分がコントロールできるのは目の前の行動だけであり、他人や環境に左右されず、自分の内なる「ダイモーン(良心や内なる導き)」に従って生きることが理想とされます。

宇宙の理(コスモス)と調和して生きる

『自省録』では、個人の存在は広大な宇宙(コスモス)の一部であり、宇宙の理と調和して生きることが重要だと説かれています。起こる出来事はすべて宇宙の秩序の一環であり、そこに無意味なものは存在しないと考えます。この理解に基づき、困難も冷静に受け入れ、自分の役割を果たすことが求められます。

死を恐れず、与えられた時間を全うする覚悟

アウレリウスは、死を避けられない自然の一部として受け入れるよう勧めています。宇宙の循環の中で、すべては移ろいゆくものであり、人生はその一時的な贈り物です。こうした視点から、無駄な執着や恐怖から解放され、与えられた時間を誠実に生きることの大切さが示されています。

これらの教えは、アウレリウスが哲学を思索するだけでなく、皇帝としての重責の中で実践した、心の平静を得るための指針でもあります。

感想

岩波書店の『マルクス・アウレーリウス 自省録』は、一見ボリュームがあるように思えますが、短い言葉の集まりなので、好きなときに気軽に読むことができました。疲れて忙しい日々の中でも、この本は心に落ち着きを取り戻し、優しさや勇気、そして責任感を呼び覚ましてくれる一冊です。
また、巻末にある著者によるマルクスの解説が非常に丁寧で、ストア派の思想を一層深く理解する助けとなりました。哲学に初めて触れる人でも、安心して読み進められる構成が魅力的です。

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