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No.2 [読書記録] ずるい考え方 ゼロから始めるラテラルシンキングの考え方

 周りの人が思いつかないようなアイデアを考えたい。面白いことをして注目されたい。そのために必要なのは、今までと違う新しい考え方をすること。その一つが”ラテラルシンキング”です。

私は超文系の学生なのですが、超理系の父から常々「AIに負けない人間になりなさい」とプレッシャーをかけられています。でも、超文系です。新しい公式を考えることはできないし、不老不死の薬の開発もできない。きっとIT関係の仕事もできません。文系でAIに負けないことって何だろう。文章を書くのは好きだけど、そんな人はたくさんいるしその中でベストセラーなんて書けっこない。

そんななかで出会ったのがこの本。書いてあることの中に難しいことは一つもありません。ほとんどが自分の身に起こりそうなことだったり、有名な話だったり。なのに、今まで見たことのないような鮮やかな解決方法や考え方が盛りだくさんで脳みそのどこかが開いた気がします。

考えてみれば、日本の社会は疑うところだらけかもしれません。テレワークの普及でますます問題視されているハンコ文化などがその一つ。最短距離で利益を得るためには、こうした当たり前のことに疑いの目を向けて新しい方法を考えていかなくてはいけないのです。

社会を変えたいという気持ちがあるけど、何からしたらいいかわからない。面白いアイデアが思いつかない。そんな方にぜひおすすめしたい一冊です。


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[要約]

 ラテラルシンキングとは、ある問題を解決するときに前提となる条件や常識にとらわれずに自由な発想をするということです。よく混同されるのはロジカルシンキングですが、こちらは決まったルールの中で筋道立てて一つの答えを導き出すという方法です。反対にラテラルシンキングには決まった方法はありません。あらゆる方向から可能性を探し、今までになかった方法を生み出します。


 例えば、この本の中にはこんな例が出てきます。

問)13個のオレンジを3人で均等に、文句が出ないように分けるにはどうしたら良いでしょう

これをロジカルに考えると、「1人に4個ずつ渡して残った1つを3等分にする」という答えが最もシンプルです。しかし、ラテラルシンキングだと「全てをジュースにして同じ量ずつ配る」という新しい答えが生まれるのです。確かにこの問題には「形を変えてはいけません」という条件はありません。しかし、私たちは無意識のうちに存在しない条件や常識に縛られているのです。


 では、どうすれば良いのか。ラテラルシンキングをみにつけるためには3つの力が必要です。

1つ目は"疑う力"。

ラテラルシンキングには固定観念を捨てることが必要不可欠です。普段当たり前にしている行動でも「どうしてこれをする必要があるんだろう」「どうしてこの方法でしているんだろう」と疑問を持つことで、今まで気づかなかった新しい方法が見えてきます。

2つ目は”抽象化する力”。

物事を疑った後新しい方法を見つけるにはこの力が必要です。まず特定の物事が何を目的としているのか、ということを考えます。その目的を抽象化することで、同じ目的を達成できる新しい方法が見つけられるのです。本の中には面白い例が紹介されています。冷戦時代、アメリカとソ連は宇宙開発で競っていました。その中で、彼らは「無重力空間ではインクが押し出されないからボールペンが使えない」という問題に直面したのです。アメリカは長い年月をかけて無重力空間でも使えるボールペンを開発しました。一方、ソ連はすぐさま鉛筆を使いました。ソ連はボールペンの「ものを書く」という本質に気づき、同じ目的を達成できる方法を考え付いたのです。

3つ目は”セレンディピティ”。

偶然を偶然のままにしないという能力です。一見何の価値もないような物事の中から大きな発見があったということは、人類の歴史の中で数多くありました。このような発見ができるようになるには、1つ目の”疑う力”とともに、普段から余裕をもって生活することです。物事の価値を決めるのは人間、つまり価値は相対的です。偶然の中に意味があるのか、それがプラスなのかマイナスなのか。それを決めるのも自分自身なのです。


 ラテラルシンキングは「楽したい、儲けたい」という欲求を最小限の努力で満たすための方法です。そのためには3つの力を持ち視野を広げ、経験を増やすことが必要です。ロジカルシンキングで物事を解決することはロボットにもできます。しかし、ラテラルシンキングで画期的な方法を思いつくことは人間にしかできません。これからの社会で生き残るにはラテラルシンキングが必要なのです。



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