BL小説「彼を食べたい俺と俺に食べられてもいい彼の不道徳で安らかで不埒で笑える日々」試し読み
「俺はきみを食べたいんだ。きみの人肉を」
そう告げて真顔のままでいても、テーブルの向かいに座る十才の彼は無表情で無反応。
はじめて会ったときから変わらず、底なし沼のような黒々とした目。
俺と苗字が同じ彼は、智輝。
白樺家の次男の息子であり、俺の兄の子。
白樺一族とは元華族でありつつ、明治時代を生きぬいた先代が製薬会社を大成させたという、由緒ある桁違いの資産家のお家だ。
代々の当主が商売上手で、時代の流れに合わせてビジネスの形態を変え、今では薬だけでなく、化粧品などの女性