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「HELLO, HELLO WORLD!」を実際に遊んで

「って、なんで俺くんが!?改めまして、ありがとうございました!」


率直に言おう、薄っぺらいにもほどがあるクソゲーだ


はじめに

 オートマトンさんのこの記事がTLに流れてきた爽やかクトゥルフ風味RPG『HELLO, HELLO WORLD!』が無料公開。終末の迫る世界で女子中学生が過ごす5日間」

 ルルの記事を日頃読んでるような層には分かるだろう、この手のゲームは見えている地雷なのだ。やらなくても、ああクソなゲームだ、シナリオが酷いんだなと言うのはおおかた予想が付く。
そもそも、オートマトンの記事に、

現代系のTRPGなどでクトゥルフ神話に親しんだユーザー向けといえるだろう

 こんな事書いて時点で、クトゥルフ神話に親しんだ層が遊んだらアレルギーを起こすぞ!と言っているようなものだ。
 その予想は実際正しい、しかし、まさか天下のオートマトンが商業ゲームならまだしも、商業臭の薄い同人、しかもフリーゲームを記事として取り上げているのだ。

 フリーゲームと言えばどんなに名作でも個人ブログでの絶賛が精々で、最近でこそ名作フリーゲーム作者がDLsiteで有料にシフトしたりすれば、有名個人ブログで取り上げらこそすれど、ちゃんとしたメディアに取り上げられる事は稀である。

 じゃあ、もしかしたら?と思ったり、フリゲの皮を被ってちゃんとした監修があるとか?と思う。まあ、そんな事はなかったし、地雷源を走破する心構えをしていたら一緒に親子爆弾まで埋められていたそんな感じだ。

 こんなゲームの存在は許せない。そして、体験してほしくない。そう思うからレビューを書く。そして何故、駄目なのか解説を踏まえ、これからゲームシナリオを作る人に同じ轍を踏んで欲しくないので記すことにする。

サムネの時点でネタバレもクソもないが以下ネタバレ注意


良いところのないシナリオ

 言うまでもなく、受けるシナリオと受けないシナリオというものは存在する。シナリオに限らずとも、人気、不人気は様々なエンタメコンテンツには存在する。

 受けるシナリオとは何か?よき言えば王道や万人受け、悪く言えばテンプレ、ありきたりと言ったものだろう。受けないシナリオとは?良く言えば尖ってる、人を選ぶ、難解、悪く言えばつまらない、理解不能。

 このゲームのシナリオが悪いのは先に言った通りだが、どこが悪いのか?この章タイトルにもしているように良いところがないのは言い過ぎでは?と思うだろう。

 まず、サムネから察しが付くだろうが、ストーリーは全部夢である。さらに言うならVR空間の人体実験として眠らされているので5日間を繰り返す。紹介にある兄も記憶の中から作り出した存在しないデータに過ぎない。
 そして、兄が失踪した理由は世界の真実に気が付きバグとして消えた。

 夢オチBADエンドシナリオとしてはありきたりだろう。しかし、あなたが見ていたのは全部夢でした!というのが受けるテンプレかと言われれば、真逆だ、キャラクターの存在、行動すべて否定されるし、特に2~3時間で遊べ、同じ5日を繰り返すだけのストーリーではどんなに感動的な雰囲気を醸し出そうが薄っぺら過ぎて、目覚めてもどこに残っているというねんという感想しか浮かばない。
 そもそも、受けるテンプレから言えば夢オチEND自体が受けない、シナリオとして駄目な終わり方の典型だろう。
 もちろん、世の中には夢オチENDでさらに言えば本作のように絶望でも評価されている作品はある。作者の好きなクトゥルフ神話TRPGでもDavid Conyers氏の「The Burning Stars」やBrian M. Sammons氏の「Time After Time」などがある。言うまでもなく、受けるシナリオかといえばNOであり、尖っているとか人を選ぶシナリオではあるし、ゲームとしてより読み物として楽しみたいという側面が大きいが。

 で、本作がそれらと違う所といえば簡単だ、主人公が中心ではないということに尽きる。夢オチが賛否両論なのは置いておくとして、それが評価されるのは主人公たるPCが気づいての足掻きやそれでも!という展開だろう。しかしだ本作、真実に気が付きが最後にポッと出、これ自体は夢オチでよくあることとして、足掻くのすらポッと出だ。足掻かせろ、というより、作者が自己投影したような名無しNPCのせいで最序盤から薄々察しているんだ。
 さて、さらに言えば主人公に焦点があたっていない。この手のTRPGシナリオでよくある作中に作者のうちの子が出てきて私も!私が!て言ってPCより目立とうとするのを眺めるそんな感じだ。まあ、この主人公も作者の子なんだけどね。で、この主張し始めるうちの子、多くが名無しNPCだし、そんな情報を集めてどうすんねん。
 作者のうちの子ゲーなのにうちの子が他のうちの子に置いてきぼりにされるてもはやギャグか?てくらいやってはいけないことやっている。

 さて、次に絶望しかないことだ。基本的に最後はハッピーエンドの方が受けは良い。もちろん、BADでも良い作品はある。主人公の放り込まれたVR世界は世界の破滅が逃れられそうにないから、逃れる手段への無限の演算のために送られている。だから、目覚めても世界が滅亡寸前というのは変わらない。夢オチの時点でもうこの手のシナリオはどうでも良いのだが、基本目覚め=死亡ということが作中明らかにされる。しかし、トゥルーでは生きて目覚める、それは世界を破滅させるのとは別の「邪神」のお陰で。

 もう、やってはイケないシナリオのテンプレ、地雷原で地雷だけを丁寧に踏んで歩行する作者の時点で察し付く人もいるかも知れないが、この邪神はあなた!つまりプレイヤーなのだ!あなたのお陰で目覚められたし、これからはあなたが世界を滅ぼすんだ!

ふざけるのも大概にしてくれ

 クソフリゲのエンディングで制作者一覧に「プレイヤー」を加えられて勝手にこんなゲームの制作者にするなて怒ったりした経験はフリゲプレイヤーなら珍しくないだろう
 この作品はそれだけでは飽き足らず、うちの子クソシナリオ世界の住民、いやその世界の邪神として「あなた」を選択したのだ。このふざけるなと叫びたくなる(叫んだ)ような事実は、勝手に制作者に加えられるよりも酷い。


クトゥルフ神話要素がおまけ

 居酒屋の名前がるる家、女子高生がルルイエとクトゥルフくらい知ってろて会話してる、喫茶店の名前が星羅夢、くとぅるふふたぐんとだけ書かれた文字列、本棚に闇に囁くものなどのクトゥルフ神話要素これをクトゥルフ神話要素というのはいくらなんでもユーザーをバカにしすぎてる。いや、世界滅亡の邪神が夢に干渉とかタコとかで明らかにクトゥルフ何だけど、その程度の要素。あれは……何?ていって一瞬それっぽい姿が映るだけのクトゥルフ要素。さらに言うならクトゥルフ以外の邪神がいるという解説だが、前述のようにプレイヤーを勝手に邪神にされただけで、他はどんな存在かすら出てこない。なんかご当地に封印されてる各地の邪神て設定が出た程度だ。

どこがクトゥルフ神話風味のRPGだよ

 適当にクトゥルフの名前出しておけばクトゥルフ神話作品になるなら、ハスターの名前が出てるからプリンセスメーカーはクトゥルフ神話のゲーム、JESUSではクトゥルー作品からのセリフの引用があるからクトゥルフ神話の漫画、ロマサガ3のいけにえの穴は「壁の中のネズミ」を思わせるからクトゥルフ神話のゲームなどと言って売りに出されたら優良誤認も詐欺も良いとこだろう。
 このゲームはそれをやってるのだ。結局の所、作者の自己満オナニーシナリオに作者の中でブームぽいクトゥルフ神話TRPG的な何かを加えた故に成ってしまった事実なのだが。(作者の垢のプロフからはTRPG鍵垢への誘導がある)


総評

 こう言う評価は減点法ではなく、加点法でやれとか言うよくわからない人もいるから減点法、加点法両方ですることにしてみる。

減点法 5/100点
加点法  30/100点

以上の結果だ、減点法でこの点数になるのは上記で説明した理由の通りだ、残った5点はおまけ、正直0点でも良かったが、絵やドット自体は評価したく、それは減点対象ではなかったからだ。しかし、他が酷い、上記のはそのままとして、マップグラフィックがかなり見づらい、道の描写を理解できたのは1週目も終盤だ。さらに、画面がフリーズするバグがところどころ起きる地点がある。ただでさえ見ずらいマップをフリーズバグが起きないように祈りながら歩くのはストレスフルだ。ただでさえ、シナリオがクソで、情報集めのゲームと言っても夢であるという伏線のために満足行く情報収集を最初からさせてくれないゲームシステムのせいで、うちの子の会話を眺めるだけという1周目でストレスフルな内容なのに。
 あと、最初にも書いたようにゲームシナリオがクソなのは紹介の時点で予想はできた。しかし、どうせありきたりなクソシナリオである作者の脳当て的な面倒くさい謎解きがあるのかなという程度に捉えてたのが敗因だった。まさか、うちの子のシナリオにすら関わらない関係の会話を延々と聞かされるだけとは……
 そして、このゲーム、これを導入に邪神たるプレイヤーが主人公を操作して現実世界を破滅させるかもしれないと言う終わりだ。エンディングから先の展開をゲームにしてくれ。どうでも良いうちの子キャッキャな会話だけを見させられても辛いし、苛ついてくる。ゲームとして遊ばしてくれ

 加点法の評価点は、まあ絵は可愛かったからそれだけだ。


バグのシーンとかも配信で流したよ

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