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#椿屋四重奏

【歌詞批評】恋の哀歌: 椿屋四重奏『紫陽花』

 椿屋四重奏の「紫陽花」は、傑作である。
 その理由は、紫陽花の比喩が、恋愛の終わりとそれに伴う哀しみ、時間の流れを巧みに織り交ぜているからである。

「笑いながら君は 雨に流れて消えた
ずぶ濡れの紫陽花みたいに 綺麗で悲しい」

 ここでの「雨に流れて消えた」という表現は、悲しみや失った愛を象徴する一方で、一過性の出来事や時間の無常さも示唆する。
 紫陽花は、日本で初夏から雨季にかけて咲く花であ

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【歌詞批評】雨の擬人法: 椿屋四重奏『ぬけがら』

 椿屋四重奏の「ぬけがら」の歌詞は傑作である。それは、擬人法の使用が優れているからだ。

「降り出した雨が 小馬鹿にするんだ」

 擬人法とは、物や自然現象に人間の特性を与えて描写する手法である。

 雨が人間のように「小馬鹿にする」行動を取るとされている。雨があたかも嘲笑うように降るという描写は、主人公の失恋の孤独感や無力感を巧みに表現している。
 雨は通常、悲しみや憂鬱の象徴として用いられるこ

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