金沢市で能登半島地震を受けた際の避難の振り返りと反省
はじめに
この記事は、金沢市で能登半島地震(震度5強)を受け、避難した際の振り返りNoteです。
筆者はすでに安全を確保し、自宅で待機中の状況ですので、ご安心ください。
個人の避難の記録を残しておくことで、今後の災害への対策や、多くの人の目に災害の危険さが伝わればよいかなと思い、拙い文章ではありますが、記録しております。
地震発生時 (16:10頃~)
行動の記録
PCで作業中に緩い揺れが発生。「珍しく長い地震が来たな」となる。
長いなーと思っていると、急激に大きな揺れへと変わっていき、ディスプレイが跳ね出すので必死に押さえつける。
揺れ始めてから、持っている端末全てから緊急地震速報が鳴り出す。
大きな揺れが長時間続くことによってデスクトップPCが机から落下。
あのクソ重いPCが落ちるのはマジでやばい。と焦りだす。
作業部屋には背の高いものや棚などの、揺れた際に危険な物がなかったため、何かが落ちてくることはなかったので、身体は安全だった。
別の部屋では食器や積んでいた箱などが落ちたり崩れたりしだす。
ガラス製のものを持っていなかったので、足場に危険はなさそうだが、飾っていたプラモデルや本などで部屋がとっ散らかる。
良い点
ガラス製品をほとんど持っていなかったため、落ちた食器に危険性がなかった。ほとんどが軽いプラスチック製の食器だったので、頭に仮に落ちても大丈夫ではありそう。
作業部屋に、背の高い家具など、地震の際に危険な家具がなかったので安全だった。
改善点
揺れ発生時に、ディスプレイを抑えたこと。
→ さっさとディスプレイを諦めて、机の下などに避難すべきだった。
今回は大丈夫だったが、上から何かが落ちてきたりした際に怪我をする可能性があった。眼の前の5~6万x2が跳ね出すと、冷静な判断はとても難しい。
その裏で20万のPCが地面に落下している。
高い箇所に飾っていり、積んでいた箱や棚などからモノが散乱して、地面の状況が最悪だった。スリッパかつほとんどがプラスチックか紙だったので突破できたが…
→ 高所かつ重いものはとても危険。
高い場所になるべくモノをおかず、整理整頓したほうがよい。
地震対策の滑り止めを貼ったものはそんなに揺れていなかったが、貼っていないものは机を大移動していた。デスクトップPC/デロンギのコーヒーメーカーなど。
→ 重いものは基本的に滑り止めを貼っておくべき。
落ちると危険だし道を塞ぐし壊れる。
ブレーカーとガスは止めたほうがよかったのか?
焦っていたのでスルーしてしまったが、可能なら閉めたほうがよかった?この地震だとガスも水道も元から壊れるそうだしあんまり意味ない・・・?とはいえ、全焼している家なども見たので難しいところ。
地震発生時 (16:15~16:25)
行動の記録
揺れが収まったが現状がまったくわからない。
クソ重いデスクトップPCが机から落ちたことから、かなりの危険が迫っていると判断。前回の能登半島地震の際も金沢にいて、うろ覚えではあるがその比ではないと思い、311を連想し、危険への焦りと恐怖がでてくる。
自分の住居は、内陸で5階に住んでいるが、川が近い。
311の情報などから、川の氾濫や津波、家屋の倒壊などの危険性が高いと判断。
近くの坂を登った、高所への避難を決意。
とっさに自分が持っている一番大きい軍隊リュックに、水2㍑2本、電源、ノートPC、水、机のチョコレート、ガスバーナーを突っ込む。
冬用の自転車防寒具を着込み、ヘルメットをつけ、マンションを駆け下りる。
駐輪場に到着、駐輪場は倒壊などはしておらず、周りの道も壊れたりしてなかったので、マウンテンバイク(MTB)を選択し、家から脱出。
良い点
とっさに、逃げるべきと判断できた。
自転車/アウトドア寄りな趣味のおかげで、物資と装備が豊富だった。
防寒着もしっかりしているため、1~2日の野宿なら凌げそうな装備で脱出できた。日頃からネットスーパーで買いだめするタイプだったので、食料と水はまぁまぁあった。
改善点
リュックに咄嗟にものを詰め込むのに時間がかかった。
→ 事前に防災バッグのようなものは準備しておくべき。
避難 (16:25~16:30)
行動の記録
とっさに坂までMTBを漕ぎ出す。
道にタイルやモノが落ちている箇所があり、路面の情報は悪かった。
悪路にかなり強いMTBだったので、問題なく進むが、歩きや普通の自転車だとちょっとしんどそうだなとMTBを買っていたことに感謝する。
漕ぎながら見た周囲の様子は、家から出て不安そうにしている人、マンション全体から水が吹き出して、不動産?に電話している人など様々な状態。
全体的に、自分の焦りよりも、みんな外に出て割りとのんびりしているので、大丈夫か?と思いながらも坂を漕ぐ。
一応、高所に避難が完了。
坂の上からまわりを見渡すが、そこまで普段と変わりはなさそう。
とりあえず、金沢は古い家屋が多いので、倒壊などを恐れて、大きい公園や病院など、開けた場所を目指そうとする。
良い点
悪路に強い自転車を持っていたこと。
普通の自転車では、逆に危険だったり途中で手放すことになっていそう。歩きと自転車、どっちで逃げるほうがいいんだろうか?
逃げる道が日頃走っている道なので、迷わず坂まで到達できた。
金沢市内に津波の影響がなかったが、石川・七尾港の津波到達予想時刻は午後4時30分、とのことなので、もし来ていたとしてもなんとか助かっていたっぽい。
改善点
一部の坂では、土砂崩れなどが発生していたようで、坂を目指すのは危険な可能性があった。登りきれば安全性が高いが、恐怖と焦りでそこまで気が回らなかった。
→ 学校など、高くて頑丈な箇所を目的地とすべきだったかも、
事前の避難先をしっかり調べておくべき
正常性バイアスが強いのか?のんびりした人が多く感じました。
→ 声を掛け合って、早めの避難などを理想を言えばすべきだったかもしれない。ただ、他人にかまっている余裕は正直なかったです。
避難 (16:35~17:00)
行動の記録
坂を登りきったので、ひとまず安全だろうと、とりあえず自転車から降りて落ち着く。
スマホを確認すると、県内外問わず、友人知人から連絡がきている。
とりあえず生存報告かつ、高所に逃げたことを報告。
災害を経験してきた人などから、自販機で水分/糖分の確保や、可能なら飯を確保して、暖かくして時間が過ぎるまで安全確保して耐えろ、可能なら避難場所まで移動したほうが良いというアドバイスが来ていた。
とりあえず水は2Lもっていたので、自販機で温かい飲み物と、甘い飲み物を糖質として購入。温かい飲み物をカイロ代わりに水炊きを飲みながら自転車を押して歩く。
買った商品の写真を取って感謝を送る余裕が出てくる。
一部水道管が壊れたのか?水が溢れている箇所などもあったが、開けた場所に到着。
この辺で緊急車両のサイレンなどが鳴り出し、非日常感というか、災害が発生してきた感じが街の雰囲気に出てくる。
再度座ってスマホを確認する。
大津波警報や大地震の警報が大量にでているが、いまいち何をすればよいのかわからない。
良い点
高所に手早く逃げ切れたので、情報を確認できる余裕が生まれたこと。
災害経験者から、自販機での水と糖分の確保を教えてもらえたこと。
改善点
正式な坂の上での避難場所などを把握していなかった。
病院は封鎖されており、入れなかった。→ 事前に情報を持っておくべき
待機 (17:00~21:00)
行動の記録
大学病院に来てみるが、封鎖されており、とりあえず開けた場所で待機を続けてスマホを見てみる。
目の前の道路が市内から逃げる車やコンビニの列で大渋滞になったりしている。
金沢市の情報を公式で確認してみようとするも、避難場所がいまいち分からず、避難場所が開いているのかもわからない。
避難所ページにPDFで列挙されていたりもしたが、スマホで探すのが滅茶苦茶面倒。
高台で待機しているので、良いが、とっさに確認するのは不可能。
基本的に近くの学校に行けば良いと思うが、行って開いてなくても面倒だし、自分は安全かつ余裕があるので、広場待機を継続。
県外の友人へ避難先を調べてもらう。
今確認してみると、下記のようなページが立ち上がっていたっぽい。
Twitterはインプ稼ぎに荒らされていたり、情報が錯綜しており役に立たない。NERVがAPI制限されて情報が途切れる。
遭難したらTwitterなんか見ないで良いと思った。
地震が連続して起きている情報などは体感しているので必要なくて、今自分がどう動くのが一番生存率が高いのかという、ミクロな判断の情報を自分は全く持っていなかった。
高所に逃げたあとも死ぬ可能性があるのではないか、家は大丈夫かなど、とにかく不安だった。
良い点
自転車かつ、予め物資がそこそこあり、早めに移動できたので、渋滞などに巻き込まれなかった。
車で逃げるとなると、渋滞で動かず終わるパターンもあるのだろうなと思いました。
県外の知人友人が、現在の情報をDiscordやLINEなどで送ってくれたこと。話し相手になってくれたこと。とても心強かったです。ありがとうございます。
改善点
災害時の情報アプリ、ラジオなど、リアルタイムかつ正確な情報を取得できるものを確保しておいたほうが良い。
流石に冬のアウトドア防具でも寒い。
→ カイロ/毛布とかがあってもよかった。
帰宅 (21~22:00頃)
行動の記録
サイレンや緊急車両の数がすごいが、調べたり周りを見ていると、高所と自分の家付近は大丈夫そう。広場に集まっていた人も、ほぼ帰った。
満潮が20時前で、そこが一番危険という情報があったので、そこまで待機して川の氾濫が無いことを確認してから帰宅。
ある程度邪魔なものをどかして、ネットで情報収集を開始。
いつでも逃げられるように服を着込んだ。
腹巻き、二重にズボンや服を着るなど、このまま野宿できるくらいのもこもこ具合になる。
とりあえずリュックに災害用のカレーなどをたまたま持っていたので詰めておく。
自転車のライトやモバイルバッテリーなど充電が必要なものを片っ端からまとめて充電しておく。
良い点
避難時の装備を更に充実できた
改善点
避難した高所から帰って良いかどうか?の判断がつきにくい。
一応、津波警報などがなくなったタイミングで帰ったはず。
家の外壁など、家自体が大丈夫そうかなど、家に入るときに確認しておかばよかったと今思う。
就寝まで (21:00 ~03:00)
行動の記録
定期的に揺れが発生するので、寝るに寝れない。
万が一、大地震がもう一度来た際にとっさに対応できるようにしたかったので、すぐに飛び出せるように服を着込んだまま 。椅子で寝ようとする。
定期的に揺れで起こされる。
寝れないので、モニターや重いものなど、とりあえず地面に倒しておく。
23時頃?地震警報が来て飛び出すが誤報だったので、ホッとする。
とっさにリュック担いで飛び出せる訓練になってよかったと思うことにする。
良い点
フル装備でいつでも飛び出せる状態で寝るようにしたこと?
椅子ですぐに起きれるように寝たこと?
家具の余震対策ができたこと
でかい棚などはもう倒しておいたままのほうが良さそう。
(我が家にはなかった。)
改善点
寝て揺れて起きてを繰り返すのでまともに寝れなくつらい。
が、改善しようがない風にも思う。とりあえず寝て起きてを繰り返す。
起床後 (11:00 ~)
行動の記録
水はあるが食料が心もとないこと、近くの知人が夜勤明けで帰宅し、水と食料に困っていたっぽいので、補充にでる。
コンビニや一部のスーパーが空いており、とても助かりました。
水とパン、おにぎりなどは買い占められていたが、それ以外は普通に残っていたので、ノンカフェのお茶とカップ麺、冷凍食品を2日分ほど購入し、渡す。自分の分も確保し、帰宅。
道中、一部が崩れ落ちた建物や、全焼した家などを見て恐怖する。
初詣に行っている人がいて普通にビビりました・・・。
田舎の正常性バイアスはすごそうです・・・大人しく家などにいた方が良さそうな気もしますが・・・
現在 (15:00~ )
余震で軽く揺れる状況が続いていますが、水、電気、ガス、ネットのインフラは大丈夫そうなので、PCを開きこの記録を書いています。
外のサイレンやヘリはなり続けています。
一応今もフル装備でノーパソさえ鞄に突っ込めば逃げれる状況にはしてあります。
以上が大地震を受けてから約1日の記録でした。
SNSを見ていると、金沢市内はかなり復旧しているっぽく、炊き出しをしている飲食店や、営業し始めた銭湯なども出てきて、なんとか日常に復帰できていそうです。多くの人に支えられてなんとか、金沢市内は機能している感じがします。自分はエンジニアという、ネット上でしか影響を出せないので、こういった記事などで注意喚起が少しでも行えれば・・・と思いまし
た。
まとめ
こうして振り返ると、下記のような事前の対策が全てだなと、思いました。
家具やモノの地震対策。動かない。落ちない。など。
どこに逃げるべきか?どこが危険で安全か?などの情報を日頃から確保。
防災バック/飲料水/調理不要の食べ物/電源 などの物資の確保
自分がこのレベルの被災するまでは、気をつけようかな程度でしたが、ここまで死ぬかもしれない恐怖に直面すると、やらなくてはならない。となりますね・・・
運送周りが落ち着いてきたら防災バッグなど揃える予定です。
一気に書いたので、文章が残念かもしれませんが、これで一旦記録を公開したいと思います。
この災害からの早期の復興をお祈りします。
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