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牡牛座の水星

4月11日 水星が牡牛座に入ります。
占星術における水星はコミュニケーション、メッセンジャーを象徴します。
これは「二つの間に繋がりをつくる」ことが本質で、繋がるために必要な事柄すべて(会話、読み書き、移動など)を象徴することになります。

牡牛座の水星

牡牛座は地のサインです。地のサインの中での水星は、本来のきびきびとした動きや変わりやすい性質が「固定」されるため、集中したり安定させたりすることに適しています。そのため、牡牛座の中での水星も、考えをより実際的・実用的に発展される力、地に足の着いた考え方をすることができるようになります。
とは言っても、牡牛座は地の不動宮でもありますので、とにかく、固める力が強力です。

事前の計画や集中力が重要であると知っている水星にとっても、想像を超えた固める力の前に一見、なにも手立てがないとすら思えます。
しかし、動けない、動きにくいからこそ、周到に考え熟慮に熟慮を重ねます。そんな牡牛座の中の水星が発する言葉は、とても重要で、よく考え抜いた上での言葉となります。
同時に、その言葉を「どのように感じるか」ということにも、細心の注意が払われているのです。
私たちが発する言葉一つ一つの重みがより深くなるのが、牡牛座に水星があるとき、と言えます。


ヘルメス

水星は、伝達の神ヘルメスです。
ゼウスの使者でオリンポス12神のひとりです。ゼウスとマイアの間に生まれたヘルメースは、ゼウスが託したいくつかの「策略」と「能力」をいかんなく発揮する、ギリシャ神話の中でも特に多彩な神です。
生まれてすぐに太陽神アポローンを騙したり、ゼウスの正妻ヘーラーのお気に入りのアルゴスを殺してもヘーラーに可愛がられたり、ハーデスの妻となったペルセフォネーが母デーメテールに会いに地上に帰還する際にエスコートしたりと沢山の場面や策略にヘルメースが登場します。

ヘルメースそのものが信仰の対象であったものが、のちにギリシャ神話に包含されたり、包含されたギリシャ神話から特出しされたりしているのだろうと思います。

占星術における水星はコミュニケーション、メッセンジャーを象徴します。
これは「二つの間に繋がりをつくる」ことが本質で、繋がるために必要な事柄すべて(会話、読み書き、移動など)を象徴することになります。

ディオニソス

ヘルメスが関わる神話の1つ「ディオニソス」にまつわるシーンです。

コリン・ド・バーモント「ディオニソスをナクソスに託すヘルメス」1725年Musee des B-A de Tours

ディオニソスは、ゼウスとテーバイの王女セメレーの子です。
ゼウスは浮気をし、妻ヘーラーを怒らせます。怒り心頭のヘーラーは、ゼウスへの戒めもあって、セメレーに
「あなたの愛人は、本当にゼウスその人なのかしら?」
という疑惑を吹き込みます。

神によってもたらされた疑惑の力は絶大です。セメレーはその疑惑に耐えきれずついに行動にでてしまいます。まず、ゼウスに必ず願いを叶えさせる、ステュクスに誓いを立てたさせます。冥界を流れるステュクス河の水に誓ったものは、たとえ神であってもその約束を違えることはできないという、大変に強力なものです。そのう上で、セメレーは「ヘーラー様に会う時と同様のお姿でいらしてください」と願うのです。
ゼウスはとても困惑します。しかし、ステュクスに誓いを立ててしまった以上その約束を違えることはできません。仕方無く雷霆を持つ本来の姿でセメレーと会いにいくのですが、人間であるセメレーはその光輝に焼かれて死んでしまいます。セメレーにはすでにゼウスとの子を宿していました。

ゼウスはヘルメスに命じ、セメレーの身体からまだ胎児だったディオニソスを取り上げさせます。ヘルメスが取り出したディオニソスを、ゼウスは自身の腿の中に埋め込み、臨月がくるまで匿ったのでした。無事、ゼウスの太腿から生まれたディオニソスを、ヘルメスがシチリア島のナクソスに託す、というシーンです。
ディオニソスは成長後、豊穣と酩酊の神として多くの神話に登場し活躍します。ローマ神話ではバッカスと呼ばれます。

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