見出し画像

水瓶座の冥王星

3月24日 00:25 冥王星が水瓶座に入りました。


ウォルタークレイン「ペルセポネの運命」1877年

ギリシャ神話

冥王星は、ギリシャ神話のハーデスです。
ハーデスは、クロノスとレアの息子として生まれました。
冥府を支配するようになる以前は、兄弟たちに協力的な頼れるお兄さんでした。ゼウスが彼らの父であるクロノスに戦いを挑んだ時も共に闘いました。

クロノスに勝利した後、ハーデスは死者の国である冥府を支配するようになります。
これにより、ハーデスはオリンポスを離れることとなり「オリンポス12神」ではなくなります。

ハーデスの神話はほとんどなく、ハーデスといえば、デーメテール(乙女座)の娘コレー(冥府名ペルセフォネ)を浚う神話くらいです。

ハーデスがコレーを浚うことになったいきさつには、多くの神の謀り事が積み重なっています。

女神アフロディーテとデーメテールの対立
ゼウス、太陽神アポロンと、名だたるオリンポスの神々が関わっています。

愛の女神アフロディーテのことを良く思っていなかったデーメテール。
アフロディーテも、デーメテールのことを良くは思っていません。
デーメテールを困らせるために、ハーデスに愛の呪いをかけてハーデスがコレーに惚れるように仕向けるアフロディーテ。
コレーに一目ぼれしたハーデスは、ゼウスにコレーに会わせてくれるよう頼みます。

ゼウスの許可を得たハーデスは、コレーに近づき、浚っていきます。

愛娘コレーの姿が見えなくなったデーメテールは半狂乱になりながら探し回ります。
そして、ハーデスによって冥界に浚われたこと。
ハーデスにコレーを浚う許可を与えたのはゼウスであるということを
太陽神アポロン(ヘリオス)から聞き出すのです。太陽神ヘリオスは真実を伝える神(神託の神)なので、本当のことを言ってしまうのです。

ゼウスの謀り事であることにショックを受けたデーメテールは一切の豊穣の女神としての責務を放棄し、オリンポスを去ります。
すると、地上には干ばつと深刻な飢饉とそして冬が訪れました。

これに困ったゼウスはデーメテールにオリンポスに戻るよう説得しますが、デーメテールの怒りは固く帰ろうとはしませんでした。

ついにゼウスはデーメテールの怒りを解くため、ハーデスにコレーを地上に帰すよう進言します。しかし、ハーデスはすでにコレーに冥界の食べ物である柘榴を食べさせてしまっており、ペルセフォネー(冥界の女王)となっていました。そのため、地上に戻ることはできません。
このため、1年の1/3を冥界で、2/3を地上で過ごすようになり、デーメテールの怒りは収まり、地上には四季ができました。
ペルセフォネーが冥界に降りる季節は冬となりました。
単身で戻ることができなくなったペルセフォネーを地上まで誘導するのは、
旅人の神ヘルメスでした。

これはギリシャ神話の中でも悲劇として描かれるわけですが、原初のギリシャ神話では、この冥界にまつわる神話は、
ペルセフォネー自身がそうなるように仕向けた、というお話もあって
ペルセフォネーとハーデスは豊穣神(作物は地中から芽を出して成長する)としての役割があることもそのお話の信ぴょう性を高めているようです。
さらに時代が下ると、冥界はダンテの神曲「地獄編」によって、よりドラマティックに語られることになります。

それが故に、ハーデスは悪の権化として絶大な力を持つ「敵」として描かれることが多くなります。

冥王星

  • 占星術における冥王星は蠍座の支配星で「破壊と再生」の意味を持ちます。

  • しかし冥王星はなんでもかんでも破壊しているわけではありません。冥王星が破壊するのは実は「偽りの上に成り立つもの」なのです。

  •  役に立たなくなった体制やしがらみの上に成り立つもの

  •  自分には必要のないもの、

  •  まやかしであるもの

これらを破壊して、新たな再生を促します。
それは単なる再生ではなく、変容(トランスフォーメーション)です。

水瓶座の冥王星

冥王星が求めるトランスフォーメーションは、水瓶座が意匠する事柄に向けられていきます。

水瓶座は風の不動宮。山羊座(地の活動宮)で作られた体制の見直しと自由度の確認、集団と個人の自由を高めていきます。
自由は無秩序と異なり、ある一定の秩序や義務も含まれます。
秩序や義務は個人の自由よりも、集団の維持のためにあり、
個人は、一定の義務を負うことで集団の中での自由を保障されています。
一言でいうと、ちょっと頑固ですよね。

その集団の維持のために私欲を認めない水瓶座に冥王星が入ることにより
制限が解除されることになるのでしょうか。
1つ前の山羊座の中での冥王星は、さまざまな旧態依然のつながりを壊していきました。

水瓶座自体が、山羊座の不具合を調整する働きを持っているので、
破壊にさらに拍車がかかるという見方もあれば、
個人主義を認めないことを壊すことで、さらに個人としての動き方が加速されるという見方もあります。

科学や技術の全く新しい形が生み出されたり、
科学技術の常識を覆すことがどんどん進んでいくのは、一見冥王星とは関係なく進んでいきそうです。

でも、個人をあまり顧みることのない水瓶座の中で
自由を求めることや、技術革新を進めること
それらを広く共有することのはざまで悩むことも多くあるでしょう。

自由と公平が大きなテーマになりそうな感じです。


水瓶座に冥王星が滞在するのは、2023年は2か月ほど、2024年は7か月ほど、2025年からはずっと水瓶座にあり2043年頃まで滞在します。
ざっと20年の水瓶座冥王星時代となります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?