彼女はサヨナラの寂寞を知った、消えゆく遊園地の物語
「次は、豊島園。豊島園です」
黄色の電車にガタンゴトンと揺られ、小さな駅のホームに到着した。窓の外には、ポップなエントランスがもう見えている。
ピッ、とSuicaをかざして改札を抜ける。そのまま歩いていくと、半袖のブラウスにショートパンツ姿のフミが待っているのが見えた。フミ、と声をかけると彼女の丸い目がこっちを向き、大きく微笑んだ。
「ユイ!おはよう!」
手を振って駆け寄ってくるフミに「おはよう!待った?」と聞くと、「ううん、さっき着いたばっかり!」と明るく答える